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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    おじさんとバニーちゃんが飲みに行った。

    ##タイバニ

    あの後飲みに行った 落ち着いたジャズの流れる、こぢんまりしたバーのカウンター席。客もほとんどいない。いわゆる隠れ家的な店だ。バニーは俺の隣に座って店内をそれとなく見渡すと、呟くように言った。
    「なんか驚きました。虎徹さん、こういうところでもお酒飲むんですね」
     それを聞いて、俺はバニーに過去酔っ払った勢いで送り付けた、飲み会の様子の写真の数々を思い出す。確かにあれは全部チェーン店の居酒屋だった気がする。ああいうところは大人数で騒いでも問題ないからだ。
     それに――。
    「だって、お前って居酒屋でジョッキからビール飲むタイプに見えねぇもん」
     それに、ワイルドな俺と対照的でスマートさを全面的に売りに出しているバニーのことだ。そんなことをしていたら、どっかのゴシップ誌にすっぱ抜かれるだろう。それはそれで女性ファンに……なんていうんだっけ。ギャップ萌え? そういうのでウケるかもしれないが、こいつが望んではいないはずだ。
     色々言いたいことはあったが、「俺だって考えたんだぞ」とだけ言って口をとがらせる。
    「あ、マスター。ハイボールふたつね」
    「ちょっと、人に聞かないで注文を決めないでくださいよ」
     バニーが眉を吊り上げたので、俺は聞かなかったふりをする。
    「ハイボールならお前の気にしてるカロリーやら糖質やらが少ない方だぞー」
    「! だからってそういうおじさんみたいなお酒……っ」
     うつむいたバニーはマホガニー色したカウンターの上でこぶしを微かに震わせている。
    「お前だって今年でアラサーだろ。もう立派なおじさんの仲間入りよ?」
    「うっ……それはそうなんですけど」
     そこで注文したハイボールが出てきたから、俺は自分のグラスを持ち上げた。バニーも諦めたのかグラスを手に取り、お互いに視線を合わせる。
    「何に乾杯します?」
     そこで俺は小さく笑った。決まってるだろ、そんなの。
    「タイガー&バーナビー、今後ともよろしく!」
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。お揃いのマグカップ。■おそろい


     モクマはチェズレイとともにヴィンウェイのセーフハウスに住むことになった。あてがわれた自室で荷物を広げていると、チェズレイが顔を出す。
    「モクマさん。やっぱり食器類が足りないので、買い出しについてきてくれませんか」
    「おっ、いいよー」
     タブレットに充電ケーブルを挿し込んで、モクマはいそいそと後をついていく。
     食器店――こちらの方ではテーブルウェア専門店とでも言うのか。最寄りの店に入る。そこには洒落た食器が棚に所狭しと並んでいた。さすがチェズレイも利用するだけあって、どれも美しい芸術品のように見える。
    「ええと、ボウルとプレートと……」
     店内を歩きながら、モクマの押すカートに食器を次々と入れていく。
    「あとはカップですが、モクマさんがお好きなものを選んでくださって結構ですよ」
    「ほんと? どれにしようかなぁ……」
     白磁に金の葉の模様がついたものや、ブルーが美しいソーサーつきのカップなどがあって目移りしてしまう。そこでモクマは思いついたように訊いた。
    「なあ、お前さんはどれ使ってるの?」
    「――そうですね、普段はこのブランドのマグカップを使っています。軽量で手首に負 825