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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    チェズモク800字。お揃いのマグカップ。

    #チェズモク
    chesmok
    ##BOND

    ■おそろい


     モクマはチェズレイとともにヴィンウェイのセーフハウスに住むことになった。あてがわれた自室で荷物を広げていると、チェズレイが顔を出す。
    「モクマさん。やっぱり食器類が足りないので、買い出しについてきてくれませんか」
    「おっ、いいよー」
     タブレットに充電ケーブルを挿し込んで、モクマはいそいそと後をついていく。
     食器店――こちらの方ではテーブルウェア専門店とでも言うのか。最寄りの店に入る。そこには洒落た食器が棚に所狭しと並んでいた。さすがチェズレイも利用するだけあって、どれも美しい芸術品のように見える。
    「ええと、ボウルとプレートと……」
     店内を歩きながら、モクマの押すカートに食器を次々と入れていく。
    「あとはカップですが、モクマさんがお好きなものを選んでくださって結構ですよ」
    「ほんと? どれにしようかなぁ……」
     白磁に金の葉の模様がついたものや、ブルーが美しいソーサーつきのカップなどがあって目移りしてしまう。そこでモクマは思いついたように訊いた。
    「なあ、お前さんはどれ使ってるの?」
    「――そうですね、普段はこのブランドのマグカップを使っています。軽量で手首に負担がかからないので」
     そう言ってチェズレイが、淡い紫のスリムなシルエットのマグカップを指差した。そこで首を傾げる。
    「……なんでそんなこと、訊くんです?」
    「いやさ、どうせならお揃いがいいなー、なんつって……」
     照れ隠しに後ろ頭をかきながら顔を上げると、チェズレイが真顔で固まっている。
    「あっ、チェズレイさん!? なんかごめんね、こんなおじさんが気持ち悪いよね!?」
     モクマが慌てて手をわたわたさせると、チェズレイは棚からすっと黄色いマグカップを取ってカートに入れる。それは先程チェズレイが使っていると言ったカップと同じ形のものだった。
    「そんな可愛いことを言うなんて……今夜は覚悟しておいてくださいね」
     耳に囁かれる、その言葉に息を呑む。
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