Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Siba12finish

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    Siba12finish

    ☆quiet follow

    消えた司を類が探しに行く話です。ラフ文。書きかけ。
    やめようね 書きかけ類司 増やすのを
    (類司二次創作に関する標語 優秀作品)

     夢を見ていた。
     過去に起きた出来事を、そのままなぞるような夢だった。夢の中の類は、秋の夕日が沈む渡り廊下で、司に話しかけている。
    「委員会があるから、今日は先に帰って大丈夫だよ」
     本当は一緒に帰りたい、という類の本心を優しく掬い上げるように、司は笑った。
    「それならオレはお前の委員会が終わるまで待っているぞ。図書室にいるから、迎えに来てくれ」
     夕日に照らされた司の髪が、キラキラと橙色に輝いている。
    「フフ、じゃあ終わったら直ぐに迎えに行くよ。すまないね」
     謝罪を口にした類に、「お前と話したいことが、まだ沢山あるからな!」と司は笑顔を見せた。
     図書室で会う簡単な未来の予約を取り付けて、二人は互いに背を向けて歩き出す。

     はっと目が覚めた。
     ガレージの天井が視界に映る。
     全身が嫌な汗をかいていた。心臓の音が、全力疾走した後のようにうるさい。酸素が足りないとでもいうように、類は浅く呼吸を繰り返す。
     今の夢は類の記憶が作り出した、現実に起きた出来事の再現だ。
     夢の続きを、類は知っている。
    「お前と話したいことが、まだ沢山あるからな!」
     司の言葉が濁流のように脳を渦巻く。
     あの言葉を最後に、天馬司は姿を消した。

     類はソファから起き上がり、スマートフォンで時刻を確認する。十六時を少し過ぎたところだった。ここまで長く寝るつもりはなかったのだが、あれから随分と眠ってしまっていたようだ。
     朝から何も口にしていない腹は流石に空腹を感じていて、類は母屋へ向かうことにした。
     もそもそと向かったリビングは照明が消えており、しんと静まり返っている。平日なのだから、母も父もまだ仕事中であり、誰もいないのは当たり前だ。
     類は照明を付けてからキッチンに向かった。
     冷蔵庫を開け、適当に目に入った残り物を選び、腹の中に入れる。
     腹を満たすためだけに行った事務的な食事の最中も、類の頭を支配しているのは一つのことだった。
     司は何処へ消えたのか。

     あの夢の続き、もとい、現実の話だ。
     あの後委員会が終わり図書室に向かうと、司はそこにいなかった。思っていたよりも委員会が長引いたので、先に帰ってしまったのだろうと思った。だが、その晩司の妹である咲希から、電話がかかってきたのだ。
    「お兄ちゃん、類さんの家に来てませんか?」
     いないことを伝えると、「お兄ちゃん、まだ帰ってきていないんです」と咲希は震えた声で言った。
     連絡も付かず、一通り知り合いに聞いて回ってはいるが、誰も司の居場所を知らないのだという。
     全身が氷水に浸かったように、急激に冷えていった。
     あの司が家出をするなんてこと、あり得ない。自分が周囲に必要とされていると、愛されていると知っている司が、誰にも何も言わず何処かへ姿を消すなど、あり得ない。
     何かに巻き込まれたのだろうか。
     そして、その翌日である今日、司は学校に来なかった。
     授業に集中出来ないどころか、頭を埋め尽くす嫌な想像達に吐き気を催した類は、一限の終了も待たずして学校を早退した。
     一向に治らない気持ち悪さを、少しでもましにするために、類はガレージのソファに横になる。そうして、現実から目を背けるように、瞼を閉じた。

     昨日からの出来事を思い返しながら食事をとっていると、再び言いようのない気持ち悪さが、胃の辺りから込み上げてきた。これ以上食事をするのは辞めた方がいいかもしれない。
     残り物に再びラップをして、冷蔵庫に戻す。使った箸を洗ってから、類はガレージに戻ろうと歩き出した。
     既に長時間眠りはしたが、起きていたってしたくもない想像が、次から次へと浮かぶだけだ。もう一度眠ってしまった方がましだろう。
     そのようなことを考えながら、類は廊下に続く扉に手をかける。
     刹那、背後から無機質な音が鳴り響いた。
     その音の発信元は、プルルルル、と短い音を繰り返す。テレビ台に設置された家庭用電話が鳴っていた。
     一体、誰から?
     類が小学生の頃には、祖父母との電話等によく使用されていたが、スマートフォンが普及した今、この家庭用電話はただの飾りと化していた。
     鳴り続ける着信音を不審に思いながら、類は電話に近づき、着信表示を見る。オレンジ色に光る液晶画面には、コウシュウデンワと表示されていた。
     司くん。
     根拠は何処にもない。だが、類の頭には真っ先にその名前が過った。
     類は思わず、受話器を手に取った。
    「……もしもし」
     自身のはやる心臓の音を聞きながら、類は努めて平静を装い、そう口にした。
     少し間をおいて、受話器から、電話の向こうの主の声が聞こえてくる。
    「……類?」
     聞き馴染みのある、低くて心地良い声。
     聞き間違える筈がない。司の声だった。
    「司くん!? 今何処にいるんだい!?」
    「良かった、類……! その、オレもここが何処なのか分からなくてな」
     着信に応じた類に、司はほっとしたような声を漏らした。類は一先ず司の無事が分かり、安堵していた。
     瞬間、通話が切れた。
     受話器から流れるツー、ツーという冷えた音が、類の右耳を触る。
     絶望に似た感情が、異常なスピードで体中を支配していった。
     折角司と連絡が取れたのに。
     切られた? それとも、公衆電話に入れた金額の通話時間を、早くも過ぎてしまったのだろうか。通話時間を見ると、十九秒と表示されていた。
     こちらから公衆電話にかける手立てはない。司から再び電話がかかって来るだろうか。類にはそれを待つほかになかった。
     司が消えてから、動くことを辞めたいとばかりに無気力でいた類の頭は、急速に回転しだしていた。司からの着信を切に願いながら、類は急いでスマートフォンで公衆電話の料金を調べ始める。キーワードを入力し検索すると、電話会社のページに辿り着いた。
     現在、公衆電話の料金は、全国で一律料金となっているようだ。十円で約一分。
     しかし、国際通話や携帯電話、インターネット回線を利用して通話を行うIP電話など、電話の種類によって通話可能な時間が変わるようだった。
     類の家の家庭用電話は、確かIP電話だったはずだ。IP電話は、十円で約十八秒通話が可能だと記載がされている。となると、司は十円を投入して類の家にかけてきた可能性が高い。あまりにも短いその秒数に、もし家が固定電話だったらと、類は顔を歪ませた。
     それにしても、と類は思考を別の方向に向ける。司は何故、類の家の電話番号を知っていたのだろうか。
     今は電話番号を入力せずとも、スマートフォンのアプリで簡単に無料通話が出来る。そのため、友人の携帯の番号を知らないなんてことは、よくあることなのだが。ましてや、友人の家の電話番号なんて。
     そこまで考えて、類はある記憶を思い出した。
     無人島に遭難した時のことだ。スマートフォンが海水に浸かり、司を除くワンダーランズ×ショウタイムのメンバーのスマートフォンが、壊れてしまった。しばらく皆修理に出すので、その間の連絡手段はどうするかといった話になり、それぞれが家の電話番号を教え合うといった出来事があった。
     修学旅行に行った際も、類は人混みで落としたスマートフォンを修理に出したので、何度か類の家の家庭用電話は活躍したのだ。
     恐らく司は、その時に伝えた電話番号を覚えていてくれたのだろう。あの、自身の想いの根源すら見失ってしまっていたような、忘れっぽいきらいのある司が。
     こんな状況にも関わらず、それが無性に嬉しくて、同時に、電話をかけてくれた司の身が酷く心配で、類は泣き出しそうになってしまった。
     かけ直しの電話は一向にかかってこない。先程の通話終了から、既に三分が経過していた。
     通話可能な時間を過ぎただけなら、すぐに再び電話がかかってきても、おかしくないと思うのだが。まさか、先程の通話で全ての所持金を使い果たしてしまったのだろうか。近頃は電子マネーが利用されることも多いので、司が現金をあまり持ち歩いていない可能性もある。
     そのような暗い想像ばかりが類の頭を押し潰していると、静まっていた電話から再び、無機質な音が鳴った。
     一回のコール音が鳴り終わるのを待たずして、類は受話器を取る。
    「司くん、良かった……! 急に切れてしまうし、なかなかかかって来ないから」
    「心配かけてすまない。通話出来る時間を超えてしまったようでな。すぐかけ直そうと思ったのだが、使える硬貨を見つけるのに時間がかかってしまった」
     着信表示を見ることも疎かに、司からの電話であると判断して受話器をとったが、類の予想通り発信主は司であった。
     使える硬貨という言葉が引っ掛かったが、それよりも先に確認しなければいけないことがある、と類は口を開く。
    「司くん、公衆電話には今何円入れた?」
    「さっきの通話が短かったから、今回は百円を入れたぞ」
    「それなら、この電話は百八十秒繋がると思う。切れるまでに今の状況を出来るだけ整理しよう」
     類の言葉に、司は「分かった、ありがとう」と、安堵したような声音で言った。
     それから、真っ先に確認しなければいけないことがもう一つある。
    「誰かに連れ去られたとか、そういう訳ではないんだよね? もし事件に巻き込まれているなら、『オレは一人だ』と言ってくれるかい?」
     司の近くに危害を加える人物がいる可能性も考慮してそう言ったが、司は「心配してくれてありがとう」と言った。
    「事件に巻き込まれたという訳ではないと思う。何にしろ、気付いたら知らない場所にいて、オレも戸惑っているところなんだ」
     途方に暮れて見知らぬ街を歩いていたら、公衆電話を見つけて、それでお前の顔が一番に浮かんだ。
     司はそう言った。
     その言葉に、類の胸は締め付けられたように苦しくなる。何処かも分からない場所で、司は類に一番に助けを求めてくれた。それが酷く嬉しかった。
     いや、今は喜んでいる場合じゃないだろうと類は慌てて自分を叱責し、司の今の状況を確認しようと口を開く。
    「司くん、そこに来る前、自分が何をしていたか思い出せる?」
    「学校にいたところまでは覚えている。類を待つために、図書室で小説を読んでいたな。そこから記憶が曖昧だ」
    「公衆電話からかけてきたということは、スマホは今使えない状態なのかな?」
    「ああ、持ってはいるんだが。充電は少なくなかったはずだが、電源ボタンを押しても、うんともすんとも言わん」
     スマートフォンが使えるのなら、位置情報を送って貰ったり、セカイに避難して貰ったりと選択肢が増えたのだが、やはりそう上手くはいかないかと類は眉を顰めた。
    「街を歩いたと言っていたけれど、街の様子はどんな感じかな」
    「田舎……のようだな。全体的に少し古めかしい。ただ、なんと言えばいいか分からないんだが……」
     司の言葉が詰まったため、「上手く伝えようとしなくても大丈夫だよ」と類が言うと、司は「じゃあ簡単に言うな」と続きを話し出した。
    「所々景色が鮮明じゃないんだ。変にぼやけているというか……。酷く鮮明な建物もあれば、かろうじてビルだと分かる程に朧げな建物もある」
     類は、司が語る言葉を頭の中で整理していく。類の脳内では、一つの可能性が、粘土をじっくりと捏ねるように形作られていた。それを確信に変えるために、類は質問を続ける。
    「さっき『使える硬貨を見つけるのに時間がかかった』と言っていたけど、それはどういうことだい?」
    「ああ、どうやら公衆電話に使える硬貨と使えない硬貨があるようでな。使えない硬貨を投入したら、お釣りとして出てきてしまうんだ」
    「使える硬貨と使えない硬貨の違いは分かる?」
    「……すまん、分からない」
     類は通話時間を見やる。百三十秒。もう少しで通話が終了する。
    「司くん、この通話が切れたら一度、今持っている硬貨を全て投入してくれ。それで、お釣りとして出てきた、使えない硬貨の共通点を探して。投入出来たお金も、僕に電話をかけないで一度取り出してくれ。そうしたら、使えない硬貨と使える硬貨の違いを探して欲しい。ちなみに、硬貨はあといくつ持ってる?」
     類が尋ねると、「えーと……」という確信のない声と、硬貨がぶつかり合う軽い音が聞こえてくる。恐らく今、財布の中を掻き回しているのだろう。
    「百円が六枚、十円が十枚だな」
     少し経ってから司はそう言った。
    「まだ結構持ってるね、良かった。製造年が昭和の百円玉はある?」
    「んん……? あるが……」
     それならきっと、もう一度電話をかけることが可能だろう。類はひとまず安堵する。
    「硬貨を調べる時、製造年をよく確認してみて」
    「製造年だな。分かった、任せろ!」
    「一度全ての硬貨を調べ終えたら、また掛け直してくれ」
     通話はそこで途切れた。
     液晶画面に通話時間が表示される。百九十秒。
     類の予想が、当たっているならば。

     カチ、カチと時計が針を刻む音がリビングに響く。
     司から電話がかかってくるのを待つ間、類は判決を待つ罪人のように緊張した時間を過ごした。
     静かな電話を見つめながら、類は司のいる場所のことを考える。
     再び、着信音が鳴った。
     類は直ぐに受話器をとる。
    「類! 何となくだが、違いが分かったぞ!」
     着信に応じるなり耳に届いたその言葉に、類はほっと胸を撫で下ろした。
    「お前の言った通り、製造年を確認した。今オレの手元にある硬貨の製造年は、一番古いもので昭和四十六年、一番新しいもので令和二年だ。その中で使える硬貨は昭和四十六年から平成十六年の間に製造されたもの、使えない硬貨は平成二十五年から令和二年に製造されたものだった」
     司は説明を続ける。
    「平成十七年から二十四年の間の硬貨は今手元にないから、使える硬貨と使えない硬貨の境界は分からんが……。使える硬貨は製造年が古く、使えない硬貨は比較的新しいことが分かったぞ」
     予想通りの司の言葉に、類は安堵した。
    「新しい硬貨が使えないのは、当然かもしれないね。その硬貨は、司くんが今いる世界には、まだ存在しないから」
    「んん?」
    「司くんはきっと今、使えない硬貨の製造年より前の時代にいるんだ。つまり、過去の時代にいるんだよ」
    「な……なにーーーーっ!?!?」
     耳に当てた受話器から大きな声がして、類の耳がキーンと鳴る。
     司が過去の時代にいると思ったのには、硬貨の他に理由が三つある。
     一つは、スマートフォンが使えないこと。硬貨と同様、司がいる時代にはスマートフォンがまだ存在しないため、使用できないのではないだろうか。
     二つは、街並みが古めかしいと言っていたこと。司は「田舎のようだ」と言っていたので、司が飛ばされたのは、恐らく昭和では無く平成。昭和時代にまで飛ばされているとなると、その現在との街並みの違いから、田舎という表現には収まり切らないだろう。
     三つ目は通話時間だ。
     司からの電話を待つ中で、類は公衆電話とIP電話の通話が、二〇〇五年時点では十円で十九秒の通話が可能だったという記載を見つけた。
     現在、公衆電話とIP電話の十円あたりの通話可能時間は十八秒である。しかし、一度目の通話では十九秒、二度目は百九十秒の通話が出来ていたことに、違和感があった。一度目の通話は、誤差と言ってしまえばそれまでだが、二度目の通話で、本来の通話可能時間と十秒も差が生まれるのには、流石に違和感を覚えた。
    「ということは……オレは何かの弾みで、タイムスリップしてしまったということか……!?」
     司は普段通りの快活な大音量で言った。しかし、その声からは明らかな動揺が伝わってくる。
    「その可能性もあるけれど。僕は、司くんは小説の中に迷い込んでしまったんじゃないかと思っているんだ」
    「なにーーーーっ!?!?!?」
     本日二度目の叫び声。今回は事前に受話器を耳から離していたため、耳の痛みを防ぐことが出来た。
    「司くんはその街に来る前、図書室で読書をしていたんだろう? 街に来る直前の行動がトリガーとなって、過去に呼び出されたと考えるのが自然だ。僕が考えるに、二〇〇〇年代の街が舞台の小説の中に、司くんは迷い込んだんじゃないかと思うんだけど」
    「まてまてまて、話が飛躍し過ぎではないか!?」
     更に混乱してしまった司に、類は出来るだけ司に伝わるようにと意識しながら、そう考えるに至った理由を述べる。
    「司くんは、所々景色がぼやけていると言っていただろう? 現実では、そんなことはまず起こり得ない。ただ、そこが物語の中の世界だとしたら。創作である以上、現実として機能させられる程に、全てを作り込むことは出来ない。設定が決まっていない場所に、綻びが生じるはずだ」
     司は納得し難いというように、「うーむ……」と唸り声を上げたが、類の言葉を漠然と理解してくれたようだった。
    「小説内ではっきりと描写がされているもの以外は、オレにとっては不鮮明に見えていると……そういうことか?」
    「そうじゃないかと思っているよ。セカイがあるんだがら、小説の中に世界があっても不思議では無いさ」
     類は通話時間をちらりと見やる。もう少しで通話が終了してしまいそうだ。
     類は司に追加で百円玉を入れるように言った。これであと三分程度は話せる。
    「司くん、使える硬貨はあと何枚残ってる?」
    「百円玉が二枚、十円玉が六枚だ」
     とすれば、まともに通話出来るのは精々あと三回程度だろう。司の所持金が無くなれば、司と連絡をとる手立ては無くなる。
    「残りのお金は残しておいて。それと、寧々かえむくんの家の番号は覚えてる?」
    「ああ。絶対、とは言い切れないが、覚えているぞ!」
    「念の為今から読み上げるから、地面に石ででもいいからメモをとって欲しい。三時間後くらいに、どちらかの家にかけてくれ」
     司は不思議に思ったようだが、類の言葉に了承してくれた。類は二人の家の電話番号を読み上げ、司に書き記させる。これで、もしもの時の保険はとった。
     最後に、司に聞かなければならないことがある。
    「読んでいた本のタイトルは覚えてる?」
     図書室で突発的に借りたものであるだろうし、覚えていない可能性も十分にあると心得ていたのだが、司はタイトルを記憶していたようだった。
    「確かタイトルは――」

     類は司が口にしたタイトルを、スマートフォンにメモした。作者名は覚えていないようだったが、タイトルの漢字表記も確認し、これで大丈夫だろうと類は緩く笑みを浮かべる。
     もうじき、司との通話が終了する。
    「三時間後に、寧々かえむくんにかけるんだよ。それと、絶対にそこから動かないで。いいね?」
     類の有無を言わさぬ物言いに、司は少し狼狽えながらも、「分かった」と了承の言葉を口にした。
    「絶対に助けるから」
     受話器から鳴る通話終了の音が、類の耳を掠める。
     最後に言った類の言葉は、司に届いていただろうか。
     類はスマートフォンで時刻を確認する。十七時を少し過ぎた頃だった。
     幸運なことに、まだ学校が閉まる前だ。図書室が閉まるのは、確か十八時頃だっただろうか。
     類は急いで玄関へと向かう。
     司が入り込んだ小説を探しに行くべく、類は家を飛び出した。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖🙏🙏🙏❤❤💞💞💞🍆👍🙏❤💖💖💖🙏🙏🙏👏🙏🙏🙏😭😭❤❤🙏💞💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator