Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Lupinus

    @lupi_eggplant

    テキストを投げ込むスペース/主刀/ファンチェズ

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🎭 🎹
    POIPOI 56

    Lupinus

    ☆quiet follow

    12/25生まれのふぉろわさんおめでとうの気持ちで書いた特にクリスマスらしくなく記念日/誕生日の話をする男さにわと日光一文字 やや頼りない感じのアラフォー男さにわがいます

    12/25のさににこ「耶蘇の聖誕祝いか」
    「うん。正確には誕生日じゃなくて、生まれたことをお祝いする日だそうだよ」
     といっても、本丸で何らかのイベントを行うわけではない。ニュース番組で流れる現世の風景を見ながらの、近侍の日光一文字とのやりとりだ。
    「たとえその日がわからずとも、節目の祝いは必要ということか」
    「そうだね、国によってはとても大事な日だし」
     日光はじろりとこちらに視線を向ける。プライベートでどれだけ親密になっていようと、審神者と近侍である昼のあいだは一線を引いた態度をけっして崩そうとはしない。
    「この本丸では、そうした節目の祝いはあまり行われておらぬようであるが。主の就任日の祝いくらいではないか」
    「うーん、作られた日まではわからない子が多いからね。それに昔の日本だと、生まれた日付はそんなに重視されてなかったみたいだし」
     生まれた日を祝う風習が根付いたのは二十世紀も半ばになってからで、それ以前は数え年が一般的だったはずだ。もちろん元服など、成長の段階ごとの祝いはあったにせよ。
    「ここに顕現した日はみんなわかっているから、その日にはきょうだいの中でお祝いする子たちもいるみたいだね」
    「俺が念頭に置いているのは主のことだ」
    「わ、私?」
    「この時代の人間ならば、生まれた日も明らかであろう。なぜ祝賀の儀を執り行わぬ」
     相手が日光一文字でなければ、なんとなく気恥ずかしいからと笑ってごまかせた。
     しかし彼の微動だにしない顔を前にすると、『なんとなく』ではとても切り抜けられそうにない。
    「え、えーとね。私ももうすっかり大きくなったし、お祝いをしてもらうくらい小さな子どもじゃないし。かといって、毎年長生きのお祝いをするほどの年齢でもないからね」
    「節目の祝いが必要、とさきほど話していたではないか」
     確かにそう話していたし同意もした。
    「そ、それはそうなんだけどね。毎年毎年、みんなに宴会を開いてもらってのお祝いはこう、照れくさいっていうか」
     宴会というフレーズに思い当たるところがあったらしく、日光は目をつぶって首を横に振る。
    「なるほど。毎年のように酒豪どもに絡まれてはたまらぬ、というのであれば致し方ない」
    「あ、あははは……」
     年に一度とは言え、次郎太刀や日本号らに囲まれ、主役として持ち上げられる時間は、どうしても喜びより羞恥心が勝ってしまう。それも理由の一つにはちがいない。
     が、折衷案を求める近侍の姿勢は変わらない。
    「ならば十年ごとの不惑や知命、還暦、その後は米寿、白寿、茶寿、大還暦など、節目とされる年にのみ祝宴を上げてはどうか」
    「そ、そのくらいならいいかなぁ」
     十年も間が空くのなら、審神者自身にとっても感慨深い記念になるだろう。毎年は恥ずかしさが先立ってしまうけれど、祝われることそれ自体は嬉しいことなのだ。
     それに十年おきの祝いを提案してくれる日光は、つまりこの先二十年、三十年をともに過ごすことを見据えてくれている。刀剣である日光にとっては、さほど遠い未来の話ではないのかもしれないが……来月の予定を決めるかのように、さりげなく口にされた年月の重みが胸の奥にずしりと響いた。
    「あっ、ところで日光くん、さっき言ってた節目のお祝い、最後のふたつは何歳なのかな。九十九歳の白寿までは聞いたことあるんだけど」
     ずっと共にあろうと考えてくれた年月がどのくらいの長さなのか、よく呑み込めていないことに気付く。人生百年時代と言われるようになって久しいが、伝統的な長寿祝いとなるとなかなか触れる機会がない。
     戦だけでなく歴史にも詳しい日光にしてみれば、なんということもない知識なのだろう。
    「茶寿とは百八歳、大還暦とは百二十歳の祝いである」
    「そ、そんなに長生きできるかなぁ……」
     聞いたことがなかったのも当然の数字が返ってきた。
    「我らの時代より、医術も進んでいるのであろう」
    「そうだね。私も健康に気をつけたら、そのくらいはいっしょにいられるかなぁ」
     もっともこの本丸で刀剣男士たちと過ごす時間は、人の世のそれとは違う流れを持っているようにも感じている。医学の発展とは別の理由で、気がつけば驚くべき長寿を成し遂げているのではないか、とも思えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🎄🎄🎄🎄🎄🎂🎂🎂🎂🎂💕🎉🎁
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    Lupinus

    DONE男審神者×五月雨江(主さみ)の12/24
    つきあってる設定の主さみ クリスマスに現世出張が入った話 なんということもない全年齢
    「冬の季語ですね」
    「あっ、知ってるんだね」
    「はい、歳時記に記載がありましたので。もっとも、実際にこの目で見たことはありませんが」
    「そうだよね、日本で広まったのは二十世紀になったころだし」
     さすがに刀剣男士にとってはなじみのない行事らしい。本丸でも特にその日を祝う習慣はないから、何をするかもよくは知らないだろう。
     これならば、あいにくの日取りを気にすることなくイレギュラーな仕事を頼めそうだ。
    「えぇとね、五月雨くん。実はその24日と25日なんだけど、ちょっと泊まりがけで政府に顔を出さないといけなくなってしまったんだ。近侍のあなたにも、いっしょに来てもらうことになるのだけど」
     なぜこんな日に本丸を離れる用事が入るのかとこんのすけに文句を言ってみたものの、12月も下旬となれば年越しも間近、月末と年末が重なって忙しくなるのはしょうがないと押し切られてしまった。
     この日程で出張が入って、しかも現地に同行してくれだなんて、人間の恋びとが相手なら申し訳なくてとても切り出せないところなのだが。
    「わかりました。お上の御用となると、宿もあちらで手配されているのでしょうね」
     現代のイベント 1136

    Norskskogkatta

    PAST主くり編/近侍のおしごと
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
    主の部屋に茶色いうさぎが居座るようになった。
    「なんだこれは」
    「うさぎのぬいぐるみだって」
    「なんでここにある」
    「いや、大倶利伽羅のもあるっていうからつい買っちゃった」
    照れくさそうに頬をかく主はまたうさぎに視線を落とした。その視線が、表情が、それに向けられるのが腹立たしい。
    「やっぱ変かな」
    変とかそういう問題ではない。ここは審神者の部屋ではなく主の私室。俺以外はほとんど入ることのない部屋で、俺がいない時にもこいつは主のそばにいることになる。
    そして、俺の以内間に愛おしげな顔をただの綿がはいった動きもしない、しゃべれもしない相手に向けているのかと考えると腹の奥がごうごうと燃えさかる気分だった。
    奥歯からぎり、と音がなって気づけばうさぎをひっ掴んで投げようとしていた。
    「こら! ものは大事に扱いなさい」
    「あんたは俺を蔑ろにするのにか!」
    あんたがそれを言うのかとそのまま問い詰めたかった。けれどこれ以上なにか不興をかって遠ざけられるのは嫌で唇を噛む。
    ぽかんと間抜けな表情をする主にやり場のない衝動が綿を握りしめさせた。
    俺が必要以上な会話を好まないのは主も知っているし無理に話そうと 1308

    Norskskogkatta

    PAST主麿(男審神者×清麿)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    今まで審神者の分は買ってなかったのに唐突に自分の時だけ買ってきて見せつけてくる主におこな清麿
    「ほらこれ、清麿のうさぎな」
    「買ったんだね」
    主に渡されたのは最近売り出されているという僕ら刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。面白がって新しい物が出るたびに本刃に買い与えているこの主はそろそろ博多藤四郎あたりからお小言を食らうと思う。
    今回は僕の番みたいで手渡された薄紫色の、光の当たり具合で白色に見える毛皮のうさぎに一度だけ視線を落としてから主の机の上にあるもうひとつの僕を模したうさぎを見やった。
    「そちらは? 水心子にかな」
    「ほんと水心子のこと好きな」
    机に頬杖を突きながらやれやれと言った感じで言う主に首をかしげる。時折本丸内で仲のよい男士同士に互いの物を送っていたからてっきりそうだと思ったのに。
    「でも残念、これは俺の」
    では何故、という疑問はこの一言ですぐに解消された。けれどもそれは僕の動きを一瞬で止めさせるものだった。
    いつも心がけている笑顔から頬を動かすことができない。ぴしりと固まった僕の反応にほほうと妙に感心する主にほんの少しだけ苛立ちが生まれた。
    「お前でもそんな顔すんのね」
    いいもん見たわーと言いながらうさぎを持ち上げ抱く主に今度こそ表情が抜け落ちるのが 506

    Norskskogkatta

    PAST主こりゅ(男審神者×小竜)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    小竜視点で自分の代わりだと言われてずっと考えてくれるのは嬉しいけどやっぱり自分がいい小竜
    「ね、みてこれ! 小竜のが出たんだよー」
    「へーえ……」
    我ながら冷めきった声だった。
    遠征帰りの俺に主が見せてきたのは俺の髪の色と同じ毛皮のうさぎのぬいぐるみだった。マントを羽織って足裏には刀紋まで入ってるから見れば小竜景光をイメージしてるってのはよくわかる。
    「小竜の代わりにしてたんだ」
    「そんなのより俺を呼びなよ」
    「んー、でも出かけてていない時とかこれ見て小竜のこと考えてるんだ」
    不覚にも悪い気はしないけどやっぱり自分がそばにいたい。そのくらいにはこの主のことをいいなと感じているというのに本人はまだにこにことうさぎを構ってる。
    今は遠征から帰ってきて実物が目の前にいるってのに。ましてやうさぎに頬ずりを始めた。面白くない。
    「ねぇそれ浮気だよ」
    「へ、んっ、ンンッ?!」
    顎を掴んで口を塞いだ。主の手からうさぎが落ちたのを横目で見ながらちゅっと音をさせてはなれるとキスに固まってた主がハッとしてキラキラした目で見上げてくる。……ちょっとうさぎが気に入らないからって焦りすぎた。厄介な雰囲気かも。
    「は……初めて小竜からしてくれた!」
    「そうだっけ?」
    「そうだよ! うわーびっくりした! 619

    Norskskogkatta

    PAST主こりゅ/さにこりゅ
    リクエスト企画で書いたもの
    小竜が気になり出す主とそれに気づく小竜
    夏から始まる


    燦々と輝く太陽が真上に陣取っているせいで首に巻いたタオルがすでにびっしょりと濡れている。襟足から汗がしたたる感覚にため息が出た。
    今は本丸の広い畑を今日の畑当番と一緒にいじっている。燭台切ことみっちゃんはお昼ご飯の支度があるから先に本丸にもどっていって、今はもう一振りと片付けに精を出しながらぼんやり考えていたことが口をついた。
    「小竜って畑仕事嫌がらないんだね」
    長船派のジャージに戦装束のときのように大きなマントを纏った姿に畑仕事を嫌がらない小竜に意外だなと思う。大抵の刀には自分たちの仕事じゃないと不評な畑仕事だけど小竜からは馬当番ほど文句らしき物を言われた記憶が無い。
    「いやいや、これで実は農家にあったこともあるんだよ?」
    これなんかよくできてると思うよ、と野菜を差し出される。まっかなトマトだ。つやつやして太陽の光を反射するくらい身がぱんぱんにはっている。一口囓るとじゅわっとしたたる果汁は酸味と甘さと、ちょっとの青臭さがあって我こそはトマトである!と言っていそうだ。
    「おいしい!」
    「だろうっ!」
    手の中の赤い実と同じくらい弾けた笑顔にとすっと胸に何かが刺さった気が 3868

    Norskskogkatta

    PASTさに(→)←ちょも
    山鳥毛のピアスに目が行く審神者
    最近どうも気になることがある。気になることは突き詰めておきたい性分故か、見入ってしまっていた。
    「どうした、小鳥」
     一文字一家の長であるというこの刀は、顕現したばかりだが近侍としての能力全般に長けており気づけば持ち回りだった近侍の任が固定になった。
     一日の大半を一緒に過ごすようになって、つい目を引かれてしまうようになったのはいつからだったか。特に隠すことでもないので、問いかけに応えることにした。
    「ピアスが気になって」
    「この巣には装飾品を身につけているものは少なくないと思うが」
     言われてみれば確かにと気づく。80振りを越えた本丸内では趣向を凝らした戦装束をまとって顕現される。その中には当然のように現代の装飾品を身につけている刀もいて、大分親しみやすい形でいるのだなと妙に感心した記憶がある。たまにやれ片方落としただの金具が壊れただのというちょっとした騒動が起こることがあるのだが、それはまあおいておく。
     さて、ではなぜ山鳥毛にかぎってやたらと気になるのかと首を傾げていると、ずいと身を乗り出し耳元でささやかれた。
    「小鳥は私のことが気になっているのかな?」
    「あー……?」
    ちょっと 1374

    Norskskogkatta

    PASTさにちょも

    審神者の疲労具合を察知して膝枕してくれるちょもさん
    飄々としてい人を食ったような言動をする。この本丸の審神者は言ってしまえば善人とは言えない性格だった。
    「小鳥、少しいいか」
    「なに」
     端末から目を離さず返事をする審神者に仕方が無いと肩をすくめ、山鳥毛は強硬手段に出ることにした。
    「うお!?」
     抱き寄せ、畳の上に投げ出した太股の上に審神者の頭をのせる。ポカリと口を開けて間抜け面をさらす様に珍しさを感じ、少しの優越感に浸る。
    「顔色が悪い。少し休んだ方がいいと思うぞ」
    「……今まで誰にも気づかれなかったんだが」
     そうだろうなと知らずうちにため息が出た。
     山鳥毛がこの本丸にやってくるまで近侍は持ち回りでこなし、新入りが来れば教育期間として一定期間近侍を務める。だからこそほとんどのものが端末の取り扱いなどに不自由はしていないのだが、そのかわりに審神者の体調の変化に気づけるものは少ない。
    「長く見ていれば小鳥の疲労具合なども見抜けるようにはなるさ」 
     サングラスを外しささやくと、観念したように長く息を吐き出した審神者がぐりぐりと後頭部を太股に押しつける。こそばゆい思いをしながらも動かずに観察すると、審神者の眉間に皺が寄っている。
    「や 1357