チョロちゃんのモーニングルーティン「チョロ松、起きるんだ」
優しく身体を揺する感触は僕を眠りの国に誘う……けれど、僕はできる男だからちゃん、と、起きなく、ちゃ……
「ああん、カラ松にいさあん、僕朝はカラ松兄さんのちゅっちゅが無いと起きれないんだぁ」
「ちょ、ちょろまつっ!何を言ってるんだ!早く起きなさい」
「ええん。カラ松兄さんが冷たいよう、いつものように全身ちゅっちゅして起こして欲しいよう」
「ばっ!えっ!!と、とにかく起きるんだ!」
ゆさゆさと身体を揺する力が強くなる。だけどこの定期的に刻むリズムとカラ松の声が気持ちいい。起きようともふわふわとした感覚に包まれて、頭が、ああ、蕩けるぅ。
「じ、じゃあからまつにいさんのおとくいのばきゅうむぱっくんちょしてくれたらおきるぅ」
「い、いやいや!お得意?ちょ、ちょろ松ぅ寝ぼけ過ぎだぞー!」
頭をぽんぽんされると、このどろどろに溶けた思考回路、カラ松に否定されたようで、ぎゅうぎゅうに心が寂しくなる。
「やだやだやだあ!からまつおにいちゃんのばきゅうむぱっくんちょできれいきれいごっくんしなきゃ、ぼく、おきれないぃ」
「えっ、きも」
少し高めの声、とろとろだったまぶたは一気にかっぴらいた。あれ、この声。
「ちょろまぁつ!昨日トド松が泊まりに来ただろう!忘れたのか」
視界の隅には僕の顔を真っ赤な顔で覗き込むカラ松と……豪雪地帯かここかというぐらい冷たい顔のトド松が映っていた。
飛び起きたね。不意打ちできゅうりを見た猫なんて目じゃないぐらい。
天井まで到達して軽く穴が空いた。その穴に入りたいぐらいの気持ちだったが、入れるわけなかった。
「まじキモい」