ドラウスが紙袋を持ってきた。穏やかそうな顔をして持ってきた紙袋はお土産、なんかにやにやしながら持ってきた紙袋はたいていエロいもの。そして今回は後者だった。ロナルドはため息をつきながら、さてどんなエロいものが入っているかと、中身を確認する。それは、チョコレート色の可愛いメイド服だった。
「お、俺がメイドさんに……!?」
文句を言いながらも着替えたロナルドは、初めて変身した魔法少女のようになっていた。サイズはぴったり、おそらく特注品だろう。布の良しあしなんてよくわからないロナルドでも、いい布なことがわかるくらい肌触りがいい。レースやフリルもたっぷりとついていて、可愛らしさを演出している。エプロンや襟が、溶けたチョコレートをイメージしたデザインになっているのがまた愛らしい。
「よく似合っているよ、可愛いな」
「うるせぇよ、ばか」
罵りながらも、可愛いと言われてまんざらでもないのか、ロナルドはくるりとまわってみせる。スカートがふわっともちあがり、パニエの下のドロワーズがのぞいた。思わずドラウスの喉が鳴る。
「で、なんで突然こんなもん買ってきたんだよ」
ドラウスの目が泳ぐ。ロナルドがじと~と睨んでいると、おずおずと口を開いた。
「バレンタインだから、お前をチョコにして食べちゃおうと思って……」
「変態セクハラクソ親父!」
高等吸血鬼の名が泣いて呆れるセクハラ発言に、ロナルドは顔を真っ赤にしてぶん殴ってくる。ドラウスはそれを受け入れながら、小首をかしげた。
「でも、お前も食べられたいだろう?」
図星を指されて、急に黙ってしまうのが可愛らしい。ドラウスはロナルドの髪を梳いて、優しく押し倒した。
「お、俺のこと食うなら、残さず食えよ!」
「もちろん、余すところなく貪らせてもらおう」
ドラウスはロナルドに口づけると、深く舌を差し入れ、舌を絡めとった。ところで、なんでメイド?パパの趣味?あとで聞いとかなきゃ、とロナルドはそんなことを思いながらみを委ねた。