いちごとコーヒー「にっっが!なにこれ!」
「コーヒー。」
「……おえぇぇ!なに、ブラックで飲んでんの?大人だねぇ高杉くんは……痛い!なに!なんで!?」
「なんか、むかついた…」
昼下がり、自宅でのんびり過ごしていたら、突如銀八が絶叫した。どうやら間違えて俺のカップの中身を飲んだらしい。うげえと顔を皺くちゃにした銀八をちょっと面白いなと見ていたら、揶揄われた気がして、少し腹が立ったので足の小指を踏んでやった。また銀八が叫んだので少し満足した。
「あーひどい目にあったぜ。殺人兵器だよこんなのさあ……体に毒だからこの苺牛乳でも飲むようにしなさい。健康にいいぞ〜、背も伸びる!きっと!」
「……。飲めるかそんな甘ったるいもん。」
「いーや、先生もこれを飲んで大きくなった。だから高杉くんもきっと……」
「言いたいことはそれだけか?
「あ"ーー!待ってごめん!!謝ります!」
散々身長を煽られていい加減我慢ができなくなった。第二撃をと足を揺らせばさっと顔を青くした銀八が降参のポーズを取った。
「いや、でもホントに美味しんだよ苺牛乳…飲んだことある?」
「ない。匂いだけで十分だ。」
カップからふわりと漂う甘い香りだけで胸がいっぱいになる。よくこんなもの毎日大量に飲めるなと感心するくらいだ。
「じゃ、味見してみなって。」
「いらない……っ、む!」
唇を喰まれる。うっかり間いた隙間から舌が侵入して、口内をあっという間になめ回された。
「ふ、…っ、う、んむ、んぅ、」
舌をちゅうと吸われて、時に甘噛みされて。おそらくいちごの、送り込まれた甘ったるい銀八の唾液こくりと飲み干して、されるがままどんどん深くなる口付けを受け入れる。だんだん腰が抜けそうになって、銀八に支えられた。
ぷは、と良い音を立てて長い口付けから解放される。
「ど?美味しかった?」
悪戯っぽく笑う銀八にちょっとだけ、ちょっとだけきゅんときたので、素直に腕を回してやった。