銀高ss風呂も入って温まったところで、窓を開けて煙を吸う。まだ夜は冷える春の風が身体をひんやりさせた。長く開けていると湯冷めしそうだ。程々にするかと決めたところで、同じく風呂上がりの銀時が部屋に入ってきた。
「うわ寒っ。」
身震いした銀時はこちらへやってくるなりぴしゃりと窓を閉めた。
「おい、まだ吸ってる。」
「体冷やすからだーめ。それもお終い。」
あ、と口にする前に煙管を取り上げられてしまう。もう少し吸いたかったのに。
「ほれみろ、こんなに冷えてる。風邪ひくぞ。」
「ん、」
火を消した銀時が頬に触れた。すりと手の甲が首元までの温度を確かめる。確かに少し鳥肌も出て、湯上がりの体温はすっかり低下した。
何か羽織るかと動いたところで、銀時に腕を引かれる。
「しゃーないね。銀さんがあっためたげよう。」
導かれるままま、敷いてあった一つの布団へ。
それからそっと銀時の腕が回されて腹の辺りで止まる。後ろ抱きの形になり背中と銀時の胸が密着して、自分より高い体温が流れ込む。
「ど?あったかい?」
「まあまあだな。」
「心まで冷えたか……銀さんの優しさに包まれて改心しろ。」
ぐりぐりと肩に癖毛を押し付けられてくすぐったい。やめろ、と口に出そうとして、まあいいかと思ってやめた。
分けられた体温が心地よい。穏やかに拍動する心音も。いつの間にか身体は弛緩して体重を銀時に預けていた。重くないかと少し心配したが、いつも銀高にのし掛かられているので偶にはいいかとそのままにする。
「いいにおい。」
銀時が耳元で囁く。同じシャンプーだろと答える。サラッさらになるやつ買ってきた、と自慢げに見せてきたな。匂いはなんだったか。
だんだんと体温が上がってきたせいか、思考に靄がかかり始める。瞼は重みに負けてとうに閉じた。
「明日、天気よかったら花見行こうぜ。」
団子も、と銀時の嬉しそうな声が聞こえる。血糖値、と口に出したかったが、銀時の返事はない。きこえなかったか。
「おやすみ。」
次の日、暖かな日和の中でシャンプーの香りを思い出した。