銀高ss 瞼が重い。目を開けたいのに、見えるのはほんの少しの光だけ。体も鉛みたいに重くて、指一本も動かすことが叶わない。さむい。つめたい。眠る前は溶けそうなほど熱かったのに。
「起きた?」
ぎんとき。どこ行ってた。
「水、のむ?」
いらない。
「飲んどきな。お前潮吹きクセになってるから、脱水になる」
しお?……俺はクジラじゃない。バカにしてんのか。
「何その顔。眉間に皺寄ってんだけど」
銀時の指先が額に触れる。それだけで肌がぴりぴりして、うれしい。
むに、と唇に柔らかい感触。大人しく口を開けば、流れ込んでくる液体。生温くて嫌だと思ったけど、そのまま絡まった舌がきもちいいから、いいことにする。
しばらく口付けあって、苦しくなってきた頃に離れていく唇。もっとしたいのに。
「とろとろだねぇ。もうヒート三日目なのに。誘発剤の効果すご」
銀時が何事か言っているが……よくわからない。ヒート?ヒートならもう暫く、何年も来てない。俺のオメガ性はあの時お前と別れてから死んでしまったのに。来るはずなんてない。
「そう言ってたから、オクスリ使ってもダメかなと思ったんだけど。俺のこと、まだ大好きだったみたいだね。」
かわいいね、と銀時が言って、顔中に唇が降り注ぐ。
「このまま、ずうっと一緒にいればいい。お前は何も知らずに、ここにいて。」
ここ、ってどこだ。俺は、
「いいこでいてくれよ」
懇願するような声音の銀時の顔は、やっぱり見えなかった。