銀高ss今日しようね、と言ってきたから準備した。
なのに、言った張本人が布団の上で寝息を立てていやがった。
「おい」
……。
「起きろコラ」
「うーん……」
バカの眉間に皺が寄った。うるせえってか。
胸の内で燻っていた火がだんだんと燃え上がり始めたのを感じて首を振る。怒りに任せると色々とよくない。経験済み。お互いに文句を言いながら及んだ日には全身噛み跡に引っ掻き傷に鬱血だらけ。痛みはないが、なんというか暫くの間記憶に残るので余り好ましくない。
だから、ここは雰囲気を重視して、つまり優しく。
「おい、起きろ銀時」
軽く揺すっても反応なし。耳たぶを引っ張ってもダメ。
「……」
普段なら呆れ(諦め)て、デカい体を部屋の端に転がしてから布団で眠る。だけど今日は。
率直に言って準備万端なのだ。体も、気持ちも。
ここでしなければ、何だか自分だけが発情しているみたいだ。それは許せない。しかもコイツが言い出したのに。
「おい、銀と、き、っ」
起きろともう一度銀時の体を揺すったその時。ぱしと手首を掴まれて、布団に転がされてしまった。目が開ききっていない銀時に押し倒される体勢。
ようやっと起きたか、と期待したのも束の間。
「ぐ、えっ」
ドサリと重力に従って銀時の体が落ちてきた。肺が圧迫されて苦しい。何してんだこいつ。
「お、い!」
「にゃーにゃー、うるさい」
あ、と思った頃には口を塞がれて、口内を舐めまわされた。重い。どけ。さっさとしろ。言いたい事は色々あるけれど。
歯列を謎られる感覚が心地よくて、ようやくかと自分からも舌を絡めた。のだが。
追いかけたはずの舌はすっと唇から離れていった。
「ねむい」
おい、と言おうとする前に銀時の顔面が顔の横に墜落した。
そして耳元へダイレクトに聞こえてくる寝息。
こいつ、また寝やがった……!
期待が不発に終わってすっかり体からは力が抜け、更に銀時の重みがのし掛かる。
明日、蹴り入れよう……
脱力感と圧迫感を同時に感じながら仕方なく目を閉じた。
「いやーよく寝たわ。あ、風呂入んの忘れてた」
「……」
「え、なんか怒ってる?痛!いてぇ!」
「テメーとは今後一切しない」
「なんで⁉︎」