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    かとうあんこ

    赤安だいすき

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    かとうあんこ

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    学パロ赤安、朝が弱い大学生✖︎優等生DK
    ※組織のない平和な世界🌍🕊️

    #赤安
    #学パロ
    School Parody

    『僕の彼氏は左ハンドル』「赤井っ、起きて!」
    ベッドの上で緩くウェーブした黒髪が四方八方に散らばっている。その中心で持ち主が「んん」と呻いた。
    僕の彼氏は今日も腹が立つほどセクシーだ。
    「れい……」
    声を辿って僕に向かって伸ばされた長くたくましい腕を寸でのところで避けた。
    危なかったな……あれに捕まったら学校に行けなくなるところだった。
    前に「明日起こしに来てほしい」と頼まれた時は赤井の腕にベッドの中に引きずり込まれてベッドの中でもみくちゃにされ、結局二時間目になってようやく教室にたどり着いた。くしゃくしゃになった制服のワイシャツを見た友人たちに「朝から何やってんだよ」と呆れられたりニタニタ笑われたりしたことは今でもはっきり覚えてる。
    「ほら、今日は大事な講義があるんでしょう?」
    「うん……」
    「こら、寝るな!」
    彼の名誉のために一応補足しておくと、僕の恋人である赤井秀一は普段はしっかりしているのだ。
    東都大学の医学部に通っている三年生で、この部屋には家族と離れて一人で暮らしている。
    成績は常にトップで、教授からの覚えもめでたいようだ。
    唯一といっていい弱点は朝に弱いことで、大事な授業がある日でも三つ年下の恋人からしつこく覚醒を促されてようやく起きることができる。
    「起きないなら僕、学校に行きますからね!」
    「待て……プリーズ、頼むよ、零……いつものやつ……」
    そうやって手を伸ばしながら赤井の瞼はまだ閉じられたままだ。
    「はあ……」
    僕はため息を吐きながら彼の腰まで伸びた長い髪を床から掬い上げた。こうして一つにまとめて背中にまとめて乗せておかないと本人が踏んで転んだり、首をぐきっと言わせて元々鋭い目つきを更に不機嫌に眇めることになる。嘘のような本当の話だ。
    赤井はそれぐらい朝が弱い。
    「早く起きろ……嫌いになるぞ」
    悪態と一緒に薄い唇にキスを乗せると瞼に覆われていた緑色の宝石が現れる。
    「おはよう。今日も天使のようにかわいいな?」
    「まだ夢見てるんですか?付き合いきれません」
    今度こそ学校に行こうと通学鞄を手に取ると、赤井が反対側の手を掴んだ。
    「もう行くのか?」
    「当たり前でしょ……遅刻しちゃっ……んんっ!」
    そのまま引き寄せられて再びのキス。ああ、もう時間ないって言ってるのに!
    「ん……あっ、んん……もう!」
    最悪だ。
    これから走って学校に行かなくちゃいけないのに勃ってる……!
    「馬鹿井!もう絶対に起こしてやらない!」
    僕はそう捨て台詞を残して赤井の家を出たのだった。

    「なるほどねえ~それでゼロは機嫌が悪いのか」
    「シーっ、聞こえるって」
    「お、こっち見たぞ!」
    「こっわ!帝丹高校の王子様があんな怖い顔していいのか~?」
    友人たちの揶揄いは僕のくさくさした胸の内をザラリと撫でた。
    「そんなに僕の愚痴が聞きたいのか……そうか、仕方ないな」
    「えっ」
    萩原の席の前の椅子にどさりと腰を下ろすと、萩原は驚いたように身を引いて、後ろにいる松田を振り返った。
    黒板には自習と大きく書かれているが、大半の生徒が友人とのおしゃべりを楽しんだり、睡眠不足を補ったりしている。
    こういう時に僕は率先して自習しているタイプだが、今日という今日は無理だ。
    「朝が弱いのは知ってた。でも特に最近酷いんだ」
    「へ、へえ……あ、もう付き合って二年だっけ?」
    「なんだかんだ言って続いてるよなあ」
    呆れ声をあげたのは松田。その隣に座っている伊達は自学ノートに目を落としたままウンウンと頷いている。
    その前に座っているヒロは萩原と逆側の席の女子に数学を教えて欲しいと頼まれて対応中だ。
    「医学部は忙しいって聞くし、仕方ないんじゃないか?」
    「……本当にそれだけだと思うか?」
    声のトーンを落として尋ねると、松田と萩原は顔を見合わせ、伊達がノートから顔を上げた。
    「まさか、浮気を疑ってのか?」
    伊達は声が通るのに、こういう人に聞かれたくない話をするときは教室の喧騒に紛れるのがうまい。警察官のお父さんから何かコツを教わっているのかもしれない。
    「変な痣があったんだ……手の甲に」
    僕は萩原の机にあった定規を借りて赤井の手の甲にあった痣を自分ので再現して見せた。
    「そりゃおかしな痣だけど、だからって浮気を疑うのは……なあ?」
    伊達の言葉に戻って来たばかりのヒロが頷く。
    数学の解説をしながら僕らの話も聞いていたらしい。
    「そうだよ。朝が弱いのも痣も赤井さんを疑う証拠としては弱い。ゼロだってそう思ってるから、僕たちに聞いてほしかったんだよね?」
    「……うん」
    「それなら本人に聞いた方は早いだろ」
    松田の指が窓の外をさししめす。校門の外に赤に白のストライプの車が停まっていた。前に赤井の部屋で見た雑誌に載っていたのと同じ車だ。
    「え?」
    「本当に買っちゃうんだもんなあ」
    「うちで整備したから乗り心地は保証するぜ」
    「医学部に通いながらバイトして外車を買うってなったら、そりゃ寝不足にもなるだろうな」
    「ゼロ、先生には適当に言っておくから。早く行ってあげなよ」
    言いたいことがたくさんあるのにどれ一つとしてまともな文にならない。
    だから僕は仕方なく通学カバンを持って最終授業時間中の校内の静かな廊下を下駄箱に向かって走った。
    誰にも見つからないように校庭を横切ると友人たちの笑い声が校舎の窓の向こうから聞こえた気がした。
    「赤井!!」
    「零、早かったな?」
    赤井は朝とは違ってすっきりした顔で髪を一つにまとめ、ロングコートを着て派手な外車の隣に立っていた。
    「この車は!?どうして萩原たちが!?それに今朝は大学で大事な講義があるって!」
    「OK,OK、話は車の中でしよう」
    確かにここで長話をしていると先生に見つかりかねない。
    そうでなくとも制服を着た僕は赤井みたいな男と一緒にいると目立って仕方ないのだ。
    赤井にドアを開けてもらって車に乗り込むと、咽返りそうになるほど赤井の匂いがした。六割が煙草の匂いで、三割が香水。残りの一割はキスのときに感じる赤井自身の匂いだ。
    「君がカッコいいって言ってたから買ったんだ。今朝はこれに君を乗せて学校まで送っていくつもりだったんだが……」
    「ちょ、ちょっと待ってください!買ったって、お金は……?まさかそのためにバイトを増やしたんですか!?」
    「うん」
    「何やってるんですか!夜のバイト増やしたら朝起きれなくなるに決まってるじゃないですか」
    「君が起こしてくれるだろう?」
    今朝の自分の台詞がブーメランになって帰ってくる。
    『もう絶対起こしてあげない!』
    なんて子どもっぽい言い草だろう。
    「起こしてあげないこともないですけど……でも……」
    「ん?」
    「……SMバーで働かなくたって」
    「んん??待て、俺はそんな店には行ってないぞ!?」
    「え?だって、その手の甲の痣……ネットで調べました。SMプレイで使う鞭を手に通していると痣ができることがあるって……」
    赤井の、ハンドルを持つ左手の甲には今もはっきり痣が残っている。
    「一体どういう調べ方をしたんだ……」
    「それは……」
    黒髪、ロン毛、セクシー、手の甲の痣。
    僕の検索履歴は赤井に見せられない単語が並んでいる。
    「これはアコーディオンのベルトの痣だ。酒場で弾いて時給とは別にチップも貰えたんだ」
    「……ふうん」
    この男ならさぞかしたっぷり貰えたことだろう。
    SMバーよりはマシだが、やっぱりちょっと面白くない。
    「それに松田くんの伝手で安くしてもらったんだ。整備は萩原くんの家だ」
    「そう……」
    「零?」
    「……はやく帰りましょう」
    僕らが話しているうちに車は首都高の入口に差し掛かっていた。
    この男のことだからこのまま僕をドライブデートに連れて行って機嫌を直すつもりだったのだろう。
    「まったく……君には敵わないよ」
    赤井がウィンカーを出して車線を変更する。
    僕の強情さに呆れた口ぶりだがその唇は余裕の笑みが浮かんでる。
    「……今日は金曜日だし赤井の家に泊ってもいいですよ」
    「ホオ?」
    「でもその前にスパーに寄ってください」
    「ん?」
    「……今日納車したばかりなんでしょう?そういうおめでたい日にはお赤飯を食べるんです」
    「そうなのか?……うちではステーキだったな」
    「へえ……じゃあ両方買いましょう」
    「了解」
    赤井の車はしばらく走った後、彼の家の近くのスーパーの前で左にウィンカーを出した。
    「先に入っててください。僕は家に電話するので」
    「わかった」
    赤井の背中がスーパーに入って行ったのを確認してから僕はスマホを耳にあてた。
    「ヒロ!?僕だ!至急、赤飯の炊き方を教えてくれ!あ、あとステーキの美味しい焼き方も!」
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    かとうあんこ

    DOODLE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治(?)をする話、第三話。
    「その日のことはよく覚えてます。パパと姉貴とわたしの三人でママの誕生日プレゼントを買うために出掛けていたんです。姉貴は小学生、私は保育園に通っている頃で、パパが贔屓にしているアンティークショップに……え?名前?なんだったかなあ。随分前に倒産しちゃったから、もうありませんよ。……いえ、ママはドールハウスには全然興味なくて。アンティークショップのガラスの戸棚に飾られていたワイングラスをプレゼントすることにしたんです。それをお店のひとがラッピングしている間に、オーナーさんが『お嬢様たちにこちらはいかがですか?』と言って見せてくれたのが、そのドールハウスでした。本物の西洋のお屋敷を小さくしたみたいですごく素敵だったから、私も姉貴もすぐに気に入りました。ふたりでパパにおねだりして、買ってもらえることになったんですけど……パパがお会計している間、奥さんが、あ、オーナーの奥さんです、がこんなことを言ってたんです。『このドールハウスに人形は絶対に入れないで』って。私たちは不思議に思いましたが、奥さんがあまりに真剣な表情だったから「うん」と答えました。でも家に帰ってドールハウスを広げて、別に梱包してもらった家具を並べているうちに……人形を入れて遊びたくなったんです。ほら、子どもってダメって言われるとやりたくなるところあるじゃないですか。それに……人形がないほうが変な感じがしたんです。とても精巧にできていたから……ううん、そうじゃないな……人がいる気配がするのに誰もいない……そんな感じでした。でも、うちにあるのは着せ替え人形ばかりで、そのドールハウスのサイズにちょうどいい人形がなかったんです。そしたら姉貴が「紙のお人形を作ってドールハウスに入れよう」と言ったんです。「紙の人形なら約束を破ったことにはならないだろうから」って。私はすぐに部屋にあった画用紙に黒いマジックで女の子の絵を描いてソファに座らせました。その隣に姉貴が書いた猫の絵を置いたところで夕飯の時間になって、私たちはドールハウスをそのままにして部屋を出たんです。……あはは、大丈夫よ、真さん。子どもの頃の話だから。それに、もし何かあっても真さんが守ってくれるでしょう?……はい。そうなんです。夕飯を終えてドールハウスがある部屋に戻ってきたら、紙の人形が切られていたんです。バラバラに……。「やっぱり人形を入れたのがいけなかったのかし
    9903

    かとうあんこ

    DONE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治(?)をする第二話
    烏丸怪談②友人の話「え?僕には怪談はないのかって?う~ん、そうだなあ……僕の友人の話でもよければ。はは、そういうことが多いね。まあ、どちらでもいいじゃないか。これは友人が保育園に通っていた頃の話だ。彼はいつもお迎えが一番最後でね。母親の仕事が忙しかったんだ。彼は保育園では周りの子どもたちとうまくいってなかったから、園児が少なくない遅い時間のほうが遊びやすかった。だから、母親の迎えが遅くても気にならなかった。嬉々として居残っている彼を見て羨ましかったのか、園児のひとりが意地悪を言ったんだ。『あいつはいらない子だからお迎えが遅いんだ』って。気丈な友人もこれにはショックを受けた。いつもは独り占めできて嬉しい積み木も全然楽しくない。今すぐに母親に抱っこしてほしかった……。そんなことを考えてると、友人の前に見知らぬ男の子が現れた。『キミ、いらない子なの?』友人は当然ムッとして無視をした。ちょっとだけ泣いてたかもしれない。その寂しさを見抜いたように男の子は『じゃあ、一緒に遊ぼうよ』と言った。友人は少し悩んでから『ウン』と言った。それから二時間、彼は行方不明になった。保育園の先生はもちろん彼を探したし、お迎えに来た母親も一緒に探した。家に帰ったんじゃないか、散歩で行った公園にいるんじゃないか。いろんな場所を探したが、見つからない。いよいよ警察に連絡しようとなった時、子ども用トイレから友人が現れた。『やっと帰ってこれた』と言いながらね。二時間だけの神隠しだ。……どう?名探偵の君には物足りなかったかな」
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