グッバイ、神様「以上の証拠からあなたが犯人であることは間違いありません」
座敷に集められた人々は驚愕の表情を浮かべ、犯人と名指しされた男と探偵を交互に見た。
犯人の男は生まれも育ちもこの村で、淀んだ瞳も皺が寄った唇も、村の景色によく馴染んでいる。
一方の探偵はまるで異質だった。透き通るような金色の髪に碧眼。それも子どもが画用紙に描いた空のような淡い青だ。
長い脚と長い腕は築百年弱の日本家屋にはあまりにもミスマッチで、スマホの切り抜き加工で無理矢理嵌め込まれたように見えてしまう。
東都で働きだした三女が雇った探偵だからシティーボーイであることは間違いない。
とはいえ、これほどまでに美しい男が都会にうようよいるわけないことは、四方を森に囲まれた山間の村でに生まれ育った彼らにもわかっていた。
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