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    yasmin_towa2

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    ※3章1部3節 S.K.YによるCAGE襲撃直前の妄想SSです。

    【共謀SS】賽は投げられた輸送機内は重苦しい沈黙に支配されていた。
    目的地と作戦を考えれば当然とも言える。
    これから我々が銃口を向けるのは魔獣ではない。
    S.K.Yは新たな対魔獣組織としてトリの解放を謳ってきた。
    魔獣を起因とした情勢の中、CAGEの内外で静かに不満が募っていただのろう。
    宣伝と根回しの効果もあって、多くの賛同と協力者を得ることが出来た。
    S.K.Yのスポンサーの中にはCAGEの台頭を疎ましく思っている者も少なくない。
    既存の枠組みに属さない組織、得体の知れない上層部、秘匿されてきた技術。
    不信と危機感、そして羨望。
    荒事ではなく情報を引き出せたなら、それが最善であっただろう。
    私が策を講じるまでもなく、引き金を引かれるのは時間の問題だった。
    シナリオとしては、非人道的な実験を行っているという情報を得た当局がCAGEを問い詰め、事実が明るみに出ることを恐れたCAGEが武力で抵抗したために止むを得ず鎮圧した、という筋書きにでもするつもりだろう。
    CAGEの権威を失墜させて、トップの責任を問う。
    頭を挿げ替えて組織と技術を接収する。
    人間同士の権力争いなら確かに有効だろう。
    あるかも分からない戦後に執心するとは呑気なものだ。
    S.K.Yの理念を心から信じて付いてきた方たちを気の毒に思う。
    こうなるように誘導した私がどうこう言える立場ではない。
    トリたちの解放を目指すという言葉に嘘はない。
    しかし、天秤にかけるまでもなく、私の中での優先順位は決まっていた。
    協力者のおかげで情報は集まったものの、私が求める確証を得るには至らなかった。
    作戦遂行に必要な戦力、そして状況は整った。
    不確定な要素を完全に排除出来なかったが、CAGEの警備が限りなく手薄になるこの好機を逃すわけにはいかない。
    出資者たちもそれを許してはくれなかっただろう。
    CAGEが目視できる距離まで近付いてきた。
    珍しく大人しくしていたハチドリさんがこちらを覗き込む。

    「緊張してる?」

    「いいえ、この時をずっとを待っていましたから」

    笑顔を作り、答える。
    本心では作戦の成否などどうでもよかった。
    『最善』は尽くした。
    便乗してでも目的に辿り着ければそれでいい。
    その結果、共に戦った者たちと相対することになったとしても。
    言い訳をするつもりはない。
    私が謀り、策を弄し、利用した。
    永遠に囚われた彼女たちに安寧を与えるため、それは建前だ。
    全ては、あの人を救うために。
    そして、賽は投げられた。


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