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    あまかわ

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    アベ穹
    眠くなってうたた寝する💫くんと、幸せを噛み締める🦚の話

    ##アベ穹

    天使のまどろみ 今日は久々に何の予定もないオフだった。今ある仕事は全て終わらせたし、部下にだってよっぽどの事がない限り連絡しないように言ってある。だからオフと決まった時点で、アベンチュリンは迷わず穹に連絡を入れた。穹も穹で、アベンチュリンに会いたかったから嬉しい! と喜んでくれ、無事ふたりきりで過ごす予定をゲットしたのだ。
     場所は穹の要望で、お家デート。アベンチュリンの家がいいと元気な文字とスタンプで伝えられた時は、思わず頬がゆるゆるになった。ゴミケーキたちも喜ぶだろうし、なにより可愛い恋人のお願いだ。断る理由がない。二つ返事で了承し、この日を楽しみにしていた。
     そして迎えた今日。予定の時間より早めに来た穹を快く出迎えて、アベンチュリンが作ったお昼ご飯を食べたり、テレビを見たり。そうしてまったり休日を過ごしていると、穹がかばんからおもむろに本を取り出した。
     なにやらレイシオに借りた本を持ってきたみたいで、ずっとアベンチュリンに読んでほしかったらしい。以前、寝る前に本の読み聞かせをしたのが相当お気に召したみたいだ。アベンチュリンが嬉しさでしばらく固まっていると、穹が読んでくれないのか、と唇を尖らせはじめたので、急いで渡された本を手に取る。すると一瞬で穹の表情が明るくなった。かわいい。
     穹に本を持たせて、隣からアベンチュリンがページをめくって読み聞かせをする。レイシオが貸しただけあると言うべきか、話がしっかり作り込まれていて面白い。穹が目を輝かせながら本を読んでいるのを見て、今度教授にお礼でもしなきゃかな、と微笑んだ。

     カーテンを開けていることもあって、眩しい日光がリビングを照らす。春らしい気温と日差しの暖かさに、アベンチュリンも少々眠気を誘われた。隣にいる穹を見てみると、もう既にうとうとと船を漕いでいる状態で笑ってしまう。ふんわりとした髪の毛をそっと撫でて、「寝てもいいよ?」と声をかける。
     アベンチュリンの声に少しだけ覚醒した穹は、悩ましげな声をあげながら重いまぶたを開けた。
    「まだ寝ない……」
    「どうして?」
    「だって、せっかくおまえが休みなのに……寝ちゃったらもったいない」
     とろんとした声でそんなことを言う恋人に、心臓が変な音を立てる。穹もアベンチュリンと同じように、二人の時間をこんなにも大切に思ってくれているなんて。嬉しくて、胸があたたかい気持ちでいっぱいになる。
     だからといって、アベンチュリンは恋人が眠そうにしているのに寝させない、なんてことはしたくない。ほとんど寝かけている穹に分かってもらえるように、優しい声で言い聞かせる。
    「こうして穹くんとゆっくり過ごす時間は、何にも代えられない大切なものなんだ。だからもったいなくなんてないよ」
     そう言ってきゅっと両手で穹の手を包み込むと、安心したように息を吐いて頷いた。そして、目をゆっくり閉じて。
     とんっ。
     穹が首をアベンチュリンの方に倒して、もたれかかる音が小さく響く。読んでいた本は片手でまだ持ってはいるが、もう少しで落ちてしまいそうだ。自分の肩に頭を乗せたまま、アベンチュリンはゆっくり穹の手から本を回収する。近くにあった毛布をかけるのも忘れずにして、再び穹の手を握った。
     こんなにすぐに眠りにつけるほど眠かったのに、アベンチュリンのために頑張って起きようとしてたなんて。健気すぎる恋人が、愛しくて愛しくてたまらない。どうして君はそんなにかわいいのかな、と思いつつ、無防備な顔にひとつずつキスを落とした。
     すやすやと穏やかな寝息を立てて幸せそうに眠っている穹を見ると、安心する自分がいる。いつ何が起こって、この平穏な日々が壊れてしまうのか。当たり前だった幸せが一瞬で崩れることを、アベンチュリンは誰よりも理解していた。
     だからこそ、
    (……僕が守る)
     何があっても、どこにいても。
     ずいぶん前に失ってしまった、「幸せ」という感情を与えてくれた。恋と愛を教えてくれた。アベンチュリンという人間を愛してくれた。誰よりも何よりも大切な、穹を守りたい。たとえその胸に星核が埋め込まれていたとしても、絶対に死なせたりなんかしない。
    「ずっと、僕の隣で笑ってて」
     離す気なんて、微塵もないのだから。
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