ヒミツダイヤル──夜、静けさが漂う午部屋。
やるべきことを終えた二人は、それぞれの世界に浸っていた。
潮は日課であるSNSを巡りながら、時折抱き枕を抱えて体をくねらせていた。その顔にはふわりとした幸福感が浮かんでいる。片や宗氏はというと、作業台に向かい自分の大切なヘルメットや通信機器を愛情を注ぐようにメンテナンスしていた。
「うーちゃん」
部屋の中の静寂を途切れさせたのは宗氏だった。
「ん?どうしたの、むーちゃん」
「すこし、通信機器の音を立ててもよいだろうか」
別に俺の許可なんて取らなくてもいいのに、と潮は思いながら起き上がる。宗氏はそれに気づいて、潮の分のスペースを空けた。広い部屋の中で、ふたりの肩が並ぶ。
「これって、あの時からずっと使ってるやつ?」
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