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    らむけお

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    らむけお

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    バレンタインが近いある日の放課後、🍫と一緒にモデルバイト先に行く🚀の話。

    ⚠︎各区ノベ、カドスト内容含

    always thinking of you. / 熟年幼馴染(くらかぐ)今日は珍しく生徒会も部活も無い日であったので、帰路に向かおうとうーちゃんの教室を覗きに征くと帰り支度を急っていた。

    「むーちゃんごめん、今日この後バイト入ってて。」
    「む。バイトというのはモデルのか?」
    「うん、またちょっと出費がかさんでたからさ。」

    プライバシーの侵害と昼班内での写真も写りたがらず、紹介した直後こそ抗議の電話が掛かってきた程であったが、あの日以来積極的に紹介したモデルのバイトに入っているようだ。

    うーちゃん自身は自分が写っている雑誌を本棚に隠しているが、寮で西園さんと折り紙力士研究をしている間にお願いして、内密で見せてもらっていた。
    そこには、僕が見慣れた姿とは違ううーちゃんがいたのだ。
    「潮、最初こそ緊張でぎこちなかったけど、今じゃ自然にこんな表情出来るんだから凄いよな。」
    「…ああ。流石だ。」
    「宗氏も良かったらスタジオに来いよ。きっと潮も喜ぶと思うし」
    「機会があれば伺わせて頂こう。」

    ──そんな話を西園さんとしていた事を思い出した僕は、少し強引かもしれないが「僕も共にしてよいだろうか。」と一言。
    少しの間の後に、小さな声でうーちゃんは「ま、まあ…むーちゃんなら別に、いいけど。」と答えてくれた。
    「感謝する、うーちゃん。」
    「別にそこまで感謝されるようなもんじゃないし…でも、この事主任やアホ竹達には絶ッ対内緒だから!」
    「勿論だ。」
    「…じゃあ行こ。スタジオ向かう前にちょっと調理室寄ってく。」
    「?」

    放課後の調理室は誰もおらず、うーちゃんもまるで自分の部屋かのように入っていく。
    大量にある冷蔵庫の中のひとつの戸を開けると、そこにはうーちゃんの手作りチョコが。
    「いつの間に。」
    「昼休み篭って作ったの。…時期が時期だし、差し入れ用に。」
    そうか、バレンタインが近いのか。そう思いつつ。
    ひとつひとつ装飾されたチョコレート達は、丁寧にラッピングをされて箱の中へ入っていく。
    学校の設備を私情で使うのはどうかと思ったが、うーちゃんが不意にチョコをひとつ僕の口元に持ってきて「はい、コレでむーちゃんも共犯ね。」としたり顔で言った。
    僕がうーちゃんのチョコが好きだという事を知っての行為だろう。
    しかし拒否する理由もない為、「いただきます。」と言い有難く一口。
    チョコが口の中で少しずつ溶け、中からじゅわりと甘酸っぱいソースが出てきた。
    「大人が多いから、いつもむーちゃんに作るのよりほろ苦にしてみた。どう?」
    「うむ、チョコの苦さが甘酸っぱさを引き立てていて大変美味だ。きっと、皆も喜ぶだろう。」
    「…ありがと。」
    そんなやり取りをしていたら、約束の時間が近づいていた。
    急いで器具を片して、学校を後にする。

    普段は多忙であり人混みも歩き慣れていない故、こうして放課後に街の中を歩くことも珍しい。
    うーちゃん自身も事情もあり、人通りが少ない道を選んでくれている。
    触れる事は出来ずとも歩幅も合わせてくれて、うーちゃんの些細な優しさにはいつも感謝している。
    繁華街から少し離れたビルの中が、目的地のようだ。
    少し重い扉を開け「おはようございます。」と挨拶をしながら入室すると、そこには僕の見た事のない世界が広がっていた。

    「お、来たか、潮。宗氏も来てくれたんだな!」
    「ああ、今日は閑暇だった故。」
    「あ、あの。これ、差し入れです。よかったら。皆さんの口に合うかわかりませんが。」
    「卑下する事は無いぞ、うーちゃん。」
    「そうだぞ、潮の作るデザートはどれも美味いんだ!」
    「久楽間くん、お菓子作れるんだね〜!有難く、いただきます。」

    うーちゃんが作ったチョコを口にしたスタッフの方々が、次々と笑顔になっていく。
    あの事故が原因で人の輪から孤立していったうーちゃんが、こうして自ら輪の中に入り、皆を笑顔にしている姿を間近で見れるのが嬉しかった。
    うーちゃんの良いところを、僕はもっと理解してもらいたいのだ。

    和やかな空気の中で撮影が始まったスタジオの中は、カメラのシャッターを切る音とフラッシュの光で満たされている。
    「潮くん、その表情すっごくいいよ〜!」
    次々とシャッターを切っていくカメラマンは、激励の言葉をかける。
    普段は天邪鬼故、褒められると反発をするし表情にも出やすいが、この仕事にはそれが合うようであった。
    時々カメラマン越しに目が合って少し照れてはいたが、うーちゃんはやる時はやる男なのだ。

    ──時暫くして。撮影は無事全て終わったようだ。
    今まで見た事が無いものを目の当たりにする事が出来、充実した時間を過ごすことが出来た。
    そのうえ、新たなうーちゃんの一面をこの目で見ることが出来た事がなによりも嬉しかった。
    寮に帰った後、うーちゃん自身にもこの事を直接伝えよう。
    きっと照れた素振りをするだろうがその後には笑顔になると、僕は知っているから。

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    「二人とも、ご苦労であった。」
    「ありがとう宗氏。今日は俺と潮の撮影だったけど、いつか宗氏も一緒に撮影したいよな。」
    「モデルのむーちゃんとか、見たら全人類目が潰れちゃうんじゃない?」
    「流石に目潰しは出来ないと思うが…」
    「むーちゃん、例え話ね。」
    「お、オレも本当に目潰しするのかと思ったぞ…メイクさんに宗氏に合うメイクを考えといてもらうか!」
    「いいけど、俺がOK出さなきゃ駄目なんで。そこんとこよろしくお願いしますね。」
    「責任重大だな。僕も今から特訓をせねば…」
    「ははっ、楽しくなりそうだな!」
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