「なんで来ないんだヒーロー!」
ばあん!と武道の住むボロアパートの扉が乱暴に開く。
「朝っぱらからなんだよ稀咲…ていうか近所迷惑だから声落とせ馬鹿」
テンションの低い武道と、その後ろでボサボサの金髪の隙間から殺気に満ちた視線を飛ばしてくるマイキー。
興奮している稀咲をとりあえず中に入れ、適当に座らせる。
「で、なんだって?」
冷蔵庫から出したペットボトルのお茶を勧めるが、稀咲は目を据わらせたままだ。
「オレは橘と結婚した」
「うんおめでとう。
ていうかそれ半年前だし、オレたちも結婚式出席したし」
「なんで取り返しに来ない」
「だって今世のお前の頑張りじゃん。ヒナもお前も納得して幸せなら文句ねぇよ」
そう、稀咲とヒナは結婚した。
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