神隠しについて※神隠しについて話す、割と自己解釈強め
※ほんのりカップリング要素ある(さにわ片思い?)
審神者の仕事にも慣れて来て数ヶ月が経った。
そんなある日、私の本丸には政府からとある定期報告の連絡が入った。何気なくその連絡をそこにはこう書かれていた。
『刀剣男士による神隠し多発につき審神者各位に警戒するように』…というものだったのだ。
「ねぇ、加州……」
「なに?」
「神隠しって?」
私が問いかけると、彼は困ったように頭を搔くと、ため息をつく。
「はぁ…神様や妖怪みたいな存在が気に入った人間を自分の領域に連れ去っちゃうことだけど……?」
加州の説明を改めて聞いて何とも言えない悪寒みたいなものが背中を走った。神隠しとはつまりはそういうことなのだろうと思ったからだ。
「……刀剣男士が審神者に恋して連れてちゃ
うの?」
恐る恐る尋ねると加州が首肯して、その後に言葉を続ける。
「まぁね…連れて行かれた審神者がどうなるかは俺も知らない。」
加州がそう答えると少しの間沈黙が続く。
「……加州は?」
「神隠しするの……?」と聞くも肝心な部分尻みになってしまう。
それでも彼にはしっかり聞こえていたらしい。
一瞬驚いた表情を浮かべた後にふっと優しく笑みを浮かべると言った。
「……俺は絶対にしないよ」
その答えを聞いてほっと胸を撫で下ろす自分と、少し残念に思う様な寂しさも感じた。何故ならそれは、私のことを愛していないと言っているようなものだからだ。……と、私は悲観した。けれどそれを悟られてはいけないと思い平静を装う。
「そっかー…」
気のない返事をしながら、手元の書類の束をぼんやり眺めていると、加州は私の考えを見透かした様に言葉を続ける。
「でもね、連れて行かないから愛してない訳じゃないよ?ただ、あんたのことは誰よりも大切だけどさ、他の奴らだって俺と同じくらい主が大切なんだよ」
その言葉にどうしようもなく胸が高鳴るのを感じた。嬉しさのあまり頬が緩んでしまうのがわかるくらいにロ元が緩むのを感じる。
「……俺はちゃんとあんたのこと、愛してるよ。」
その言葉を聞いて私は更に胸がキュッと締め付けられるような気がした。ここまで私は加州清光が好きで仕方ないんだということを自覚させられた。