あるところに、⬛︎⬛︎という青年がいた。
⬛︎⬛︎は四柳家の長男として生まれ、三人の弟たち、そして妻と共に仲良く暮らしていた。
しかし、ある日⬛︎⬛︎は事故で命を落とし、妻とは引き裂かれてしまう。
この世に未練はなかったが、ただ一つ気がかりだったのは、残された妻のことだった。
きっと妻は、弟の誰かに娶られることになるだろう。
そう思った⬛︎⬛︎は、あの世から祈った。
神様、どうかあの娘に良い婿を授けてください。あの娘を幸せにしてくれる唯一の男を。どうか生涯、この先生まれ変わっても、ずっと幸せでいられますように。
天はその願いを聞き届け、残された三人の弟の中から最もふさわしい者を選び取った。
ある者は病や災いに倒れ、ある者は争いに敗れ、最後に生き残ったただ一人が⬛︎⬛︎の妻を娶ることとなった。
しかし神の祝福はそこで終わらなかった。
生まれ変わった娘にも、良き夫を与えよう。
それからというもの、娘が世に生まれ変わるたびに、四柳家には必ず四兄弟が生まれるようになった。
娘は導かれるように四柳村を訪れ、四兄弟の中からただ一人を選び結ばれる。
あるいは、娘が訪れる前に兄弟の間で争いが起こり、生き残った一人と結ばれることもあった。
やがて祝福は次第に形を変え、呪いとして語り継がれるようになる。
「四柳家に四兄弟が生まれると、必ず殺し合いが起き、一人を残して三人は命を落とす。呪いを終わらせるには、四兄弟が嫁を迎え、争いの果てに子を成さねばならない」