☔︎ ☔︎ ☔︎
『わり、今日仕事で出先にいてすぐには迎えに行けねえわ』
『傘、持って行ってなかったよな』
『終わったらすぐ行けるけど、もうちょっと待ってられそうか?』
『まだ病院だよな?』
『ごめん。あと、まだ一時間はかかりそう』
───昼間はあんなに晴れていたというのに。
こうしたひどい雷を伴うゲリラ豪雨は、ここのところ毎夕連続三日続いていた。
夏のはじめはその気象が起きやすいとは分かっているものの、村雨は傘を玄関の傘立てに置いてきてしまっていた。一応バッグの中には黒い蝙蝠のような折りたたみ傘が入っているが、このひどい天気に太刀打ちするにはあまりに頼りない骨組みをしていて、むしろ邪魔なだけで雨からは守ってくれそうにない。
4205