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    8beatxxxxxxxx

    マイブームらくがき帳。
    リハビリかねて描けるときに。

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    8beatxxxxxxxx

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    審神者と刀剣男士たちの日常っぽい・前日譚みたいな夢話です。
    ×よりは+ぐらいの気持ちでどうぞ。
    ふわっとしたイメージだけで書いているので、なんでも許せる方のみご覧ください。

    #二次創作
    secondaryCreation
    #刀剣乱舞
    swordDance
    #とうらぶ
    swordFighting
    #刀+主
    knife+Master
    #三日月宗近
    mikazukiMunechika

    とうらぶ「月」三日月+審神者細く鋭い三日月が、やけに輝きを放つ夜。
    疲れが溜まった重い身体を引きずってついた家路の最中、視界の端に、淡い光が灯る様に瞬いた。
    顔を上げるとすぐに気づく、それはそこに佇んでいた。
    まるで、ずっとずっと昔から、あたかもそこに、在ったかのように。

    「おや?」

    ゆらり、空を見上げていた影が、動く。

    「俺が『視える』か」

    それはさも嬉しそうに目を細めた。
    疑問ではない、明らかな肯定を口にしたのは、きっと、かち合った視線が逸らされないから。

    月明かりに照らされて、淡く光を纏うそれは、とても綺麗だった。
    進行方向視線の先、普通なら誰もいない路地で得体の知れないそれに対峙すれば、感じるのは恐怖だろう。
    けれど不思議と、感情の起伏は穏やかだった。
    自分とは違う、平安時代あたりだろうか、青い和装に身を包み、微笑む姿はどこまでも優美で、けれどどこか冷たく、浮世離れして。
    だから、単純に浮かんだのだ。

    あぁついに、自分にもお迎えでもきたのだろうか、と。

    「今の死神は和装なのか」
    「しにがみ?俺がか?」
    「違う、んですか?」
    「そうさな」

    ふと、溢れた言葉に疑問が返される。
    思わず聞き返せば、緩やかな微笑みがくすくすと、楽しげに声を漏らした。

    「……まぁ、似たようなものだな」

    そして再度、その視線が投げられる。

    「俺が『視える』なら十分だ」
    「何が」
    「俺の『声』も聞こえている」
    「?何を言って」

    一人、確認するように頷いて、けれど言葉は噛みわず、距離だけが、いつの間にか縮まって。

    「なに、直ぐにわかる」

    見上げたその瞳に、宿る三日月に気づいた刹那。
    ざぁっと大きく風が鳴る。

    「待っておるぞ、------」

    思わず目を瞑った直後、やけにはっきりと聞こえた声は耳元で。
    風で乱れ、視界を遮る髪を手で抑えて、急いで目を開けるも、目の前に広がる見慣れた家路に、その姿は跡形もなく、消え失せていた。


    ーーーーーー


    「っていうことがあったんですよね」
    「ほう」
    「それから直ぐに審神者の招集がきて」
    「そうかそうか」
    「三日月、何かしたんですか」
    「俺がか?」
    「他にいますか」

    本丸の縁側にて。
    のんびりと緑茶を片手に他愛もない話をしている途中、ふと思い出した記憶を傍にいる相手にぶつけてみた。
    あの日、審神者になる直前の現世で、出逢ったと思われる、「三日月宗近」に。

    「まぁでもそんなわけないんでしょうけど」

    とは言っても、今ここにいるのは「うちの三日月宗近」だ。
    あの日出逢った「三日月宗近」と全く同じ、ではないだろうと、自分の問いを打ち消す様に独りごちてお茶を飲む。
    審神者に就任した際受けた研修で、刀剣男士の同一個体は幾千幾万と存在し、それらは各審神者達により顕現されると教えられた。
    絵姿と共に伝えられたシステムは、驚きと共に自分に落胆をもたらしていた。
    つまり、審神者になる前に出逢ったとして、それは別の審神者が所持する「三日月宗近」である可能性が高いということ。
    イコールあの日の「三日月宗近」に出会う事はきっと二度とないだろう、ということだ。
    ……そもそも。
    あの日本当に、「三日月宗近」に出逢ったのかも、夢だったのではないかと言われれば否定が出来ない。
    それくらい曖昧で、けれど忘れることができない、刹那の邂逅。

    「主」
    「はい?」
    「あるじーっ!主、どこー!?」

    不意に呼ばれて、飛ばしていた思考を戻し我に帰ると、後方から別の声が飛んできた。
    慌てて時計を確認すれば、今朝方遠征に出した部隊が帰還する時刻が迫っている。
    というかもうそんな時間なのか。

    「三日月、ごめんなさい。そろそろ仕事に」
    「主よ、今は楽しいか?」

    だから三日月とのお茶の時間を切り上げなければと、顔を向けた瞬間、逆に三日月に問いかけられていた。
    ふわり、微笑む三日月が、あの日の「三日月宗近」に重なった気がした。

    「楽しい、ですよ?それがどう、」
    「そうか」
    「主ーっ!?あぁ!こんなところにいた!」
    「え?あ?!清光!?!」
    「三日月ってば何主のこと独占してんのさ!」
    「はっはっはっ」
    「ごめんなさいって!今行くから」
    「もう!ほら、早く早く」

    自分を探していたであろう、早足にやってきた清光に手を引かれ、慌てて立ち上がりながらも、一つ三日月に頭を下げる。
    首を振りながら笑う三日月に再度断りを入れて、急かす清光と共に、遠征部隊を出迎えるべく、その場から走り出す。
    うちの近侍殿は頼りになるなとお説教に苦笑して。
    だから、三日月が零したその言葉に気づけなかったんだ。

    「何をするでもない。俺があの日の縁(エニシ)を手放せなかった、ただそれだけだ」
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