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    片栗りり

    @lily_kata9ri

    FF14のうちの子創作とか⚡の二次創作とか自由にやります

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    片栗りり

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    6.0終わってる人向けです。エスティニアンとヒカセン。カプではない。

    pixivにて2022年1月14日に投稿したものです。

    #FF14うちの子創作
    ff14OurChildCreation

    ある夜の戦士と蒼の竜騎士 初めて友を亡くしたあの日から、弱い自分を呪うばかりの日々が続いた。国を追われ、行き場の無くなった自分達を受け入れてくれた、たった一人の友だった。あの時もっと自分に力があれば、彼を失わずに済んだのに、と後悔しては自分の身を痛めつけるような鍛錬に明け暮れた。が、そんな気持ちでいたところで身につく物はなく、ただただ身も心もすり減らすばかりだ。

     体にできた傷は癒えても、心に負った傷はなかなか癒えず。新たな出会いと時間がそれをどうにかしてくれたが、心のどこかに彼が居なくなったことで空いた穴は、塞がりきることはなかった。

    「よう相棒。寝酒を煽りに来たのか?」

    揶揄うような、呆れたような声でエスティニアンが言った。

    「久しぶりに、思い出して眠れなくなっちゃったから」

    「そうか」

    エスティニアンは、テーブルを挟んでヒギリの真向かいに着席する。終末を退けたあとのここ、メリードズメイハネは、初めて訪れたときよりも少しだけ静かだった。

     エスティニアンの来訪に気付いたウェイターが注文を取りにやって来ると、彼はいつもの、とひと言告げてテーブルに肘をつく。

    「すっかりここの常連なんだね、エスティニアンは。ああ、ウェイターさん、わたしはもう一杯さっきと同じのお願いします」

    テーブルを離れるウェイターにおかわりを注文して、向かい側にあるエスティニアンの足にわざと自分の足を伸ばしてぶつける。フッ、と穏やかな顔で微笑んで、蹴り返してくるのが嬉しくて、沈んでいた気持ちがふわりと軽くなるような気になった。

    「今日は何してたんだ?相変わらず人助けか」

    随分とお疲れのようだな、と皮肉っぽく付け足されて、まあそんなところだ、と返す。

     終末を無事に退けたものの、未だ混乱の残る時世。獣に転じてしまった人々…各国での偽神獣の対応に追われ、休暇らしい休暇も取れていない。

    「身近な誰かを亡くすことはさ、今回は防げたけど…つらくないわけじゃ、ないんだよね」

    思わず漏れた本音を、エスティニアンは黙って聞いてくれる。

    「オルシュファンのこと、まだ心のどこかで引きずってる。強くなれたのは彼のおかげでもあるけど……守りたかったなあ…今回だって、目の前で助けられなかった命は、あったんだよ」

    「そうか」

    目頭が熱くて、じわりと視界がぼやける。

    「もっと、強くなりたい」

    そう言って俯くと、テーブルにぽつりと雫が落ちた。

    「…おい、こんなとこで泣くなよ。俺が泣かせてるみたいだろ」

    「ごめん、ちょっとだけ…だから、すぐいつものわたしに、戻るから…」

    涙目のまま、笑顔を取り繕ったら、彼は苦虫を噛み潰すような顔をして立ち上がった。そのままヒギリの横まで移動して、片膝を着いて視線の高さを合わせてくれる。

    「お前は本当によくやった。やり過ぎなぐらいだ。だから明日は何もせずにゆっくり休め」

    髪の毛が乱れるほど、頭を撫でられた。少し乱暴に、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、無骨な指で頬に伝った涙を拭われた。

    「お前に涙は、似合わない」

    かつての友に言われた言葉を思い出して、また涙が出た。

    「おい、なんでまた泣くんだ」

    狼狽えながら頭を撫でてくれるエスティニアンの手が優しくて、泣きながら笑ってしまう。

    「お待たせ致しました…って、エスティニアンさん…??」

    酒を運んできたウェイターが泣き顔のヒギリを見て疑いの目をエスティニアンに向けた。

    「……俺は何もしてないからな」

    「失礼致しました。ではごゆっくり」

    一礼して去っていく後ろ姿を見届けてから、エスティニアンはため息をついた。

    「まったく……お前には振り回されるな」

    「ごめんね」

    でも、知っているのだ。彼はなんだかんだ優しくて、相棒である自分を助けてくれることを。

    「相棒だけど、お兄ちゃんみたい」

    「おいおい、俺に勝手にきょうだいを増やしてくれるなよ」

    彼の手にまた、乱暴に頬を拭われて、やっと涙が止まった。

     しばらく顔を合わせていない実兄は今どこで何をしているのだろうか、とふと思いを馳せるが、きっと自分と同じように各国各地の問題解決に奔走しているのだろう。たまにはリンクパール通信で連絡を入れてみようか。

    「ありがとう、お兄ちゃん」

    「だから、俺はお前の兄貴になった覚えはないぞ」

    「うん」

    エスティニアンは立ち上がり、さっきまで座っていた席に戻るとすかさず右手でジョッキを持ち上げる。

    「ほら、飲むんだろ今日は」

    左手でヒギリのジョッキを指差して、自分のジョッキをぐい、とぶっきらぼうに差し出す。

    「わかった、わかったから」

    「やっと笑ったな?」

    「おかげさまで」

     守れなかった命を、今度は守れるように。守れなかったことを悔やんだってその人は帰ってこないのだ。落ち込んでしまったときは、いつも誰かがそばにいてくれた。兄だけでなく、冒険者仲間、暁の賢人たち…そして今はエスティニアンが。

     なくしてしまったものは多いが、今の自分を支え続けてくれる者達のためにも、自分の無力を呪うのもそろそろやめにしなくてはいけないと思いながら互いのグラスをぶつけて、二日酔いを覚悟しながら酒を煽った。

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    sakuranko55

    PROGRESS左千夫誕生日の表バージョン!(通常話)裏のどぎついのはファンボへ(笑)九鬼のシアワセの瞬間ー。九鬼は天真爛漫攻めだよね、と相方と言ってます!
    左千夫誕生日 2ー③〝ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ────〟

    左千夫くんの携帯のアラームの音で目が覚めた。
    そもそも彼はアラームの前に起きるのでアラームが鳴ることも珍しいし、そのアラームを鳴りっぱなしにすることも珍しい。アラームをオフにして寝起きの回らない頭で髪を掻いた。いつもなら無くなっている体温が今日はまだ横にあって、自然と抱き寄せて髪に顔を埋めてから気付いた。
    なんで横で寝たままなのかと………。
    起こさないように注意して顔を上げると横で左千夫くんは寝ていた。ただ、呼吸や心拍は最低限で体も少し冷たい。死にそうとかそういう訳では無いけど気絶している訳でもないのに寝ている事は珍しいのでマジマジと見てしまう。きっと、今ならセックスしても起きない。あわよくば最後まで出来るかもしれないけど、そんな事をしたら左千夫クンはもうボクの横では寝ることは無くなるだろう。そう考えると目先の欲よりも左千夫クンとの今の関係を大事にする事にした。今回やらなくてもずっと一緒に居るなら幾らでもチャンスはあると言うか、いつかは絶対ヤる。……ふにっと肉が殆ど無い頬をつついてみたがやっぱり起きなくて、ふにふにと控えめに感触を楽しんだ。そしてふと前から考えていた事を実行に移す事にした。左千夫クンを抱き上げると浴室に向かい、バスタブに抱き抱えながら入るとボクの能力で水を作っていく、その最中に小指に嵌っている指輪を鋭利な刃物に変えると腕を切り裂く。ブシュといい感じに血液が流れると水の中に紛れていきボクと左千夫くんを充たしていく。属性化の〝水〟の能力と〝創造〟の能力が相俟って左千夫くん全体を包み上げると肌理細やかな肌の細胞に水分が浸透していき彼の体内の細胞を全て新しいものへと作り変えて行く。アンチエイジングと言うべきか、抗酸化作用を強くすると言うべきか。細胞分裂のテロメアも気にしてボクが憶えている左千夫くんに戻していく。小さな傷も、少しの肌荒れも、髪の先のパサ付き、爪の薄皮さえも全て無くし、デトックスして行くと血色の良くなった唇に口付けた。
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    sakuranko55

    PROGRESS【過去編】神功・九鬼VS薬師河・イロハ⑤

    残りはアルファポリスで上げることにします!
    11月中はBL小説大賞に集中しますのでよろしくお願いします。
    九鬼が変態じゃないバトルはないです。笑
    【過去編】神功・九鬼VS薬師河・イロハ⑤「ねぇー、イロハちゃん。どれだけ姿を消してもニオイを消さないと〜。怖い怖い〜♡ってあまーいニオイがクッサイんだよネ〜」
    「ヒィッ!やめっ……!」
    「この髪って黒く出来るの?あーでも、水色のままでもいっか〜、顔だけ見てたら一緒だし、色違いもアリだね!」
    「い、いだあぁぁあっ、髪っ、引っ張るでなぁっ!」
    「はぁ……♡声が違うのがちょっとアレだけど、やっぱりイイヨ、イロハちゃん、その顔が歪むの最ッッッッ高!今までは黒い髪の赤い瞳の子をたくさーぁん殺してきたけど、顔が似てて色が違うっていうのもまたイイナァ……」
    「ひっ………ぅっ!?」

    逃げる間もなく伸びてきたてがイロハの首を掴んで地面へと抑え向けた。そのまま喉を押しつぶし、九鬼の指に力が入るとともに首が閉まっていく。イロハは色々な能力を有しているのに目の前の男に与えられる恐怖に屈服し、それ以上は能力が切り替わらなかった。喉を押し潰している手を必死に引っ掻いて、引っ張って足をばたつかせるがびくともせず視界が霞んでいく。
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