ワンドロお題 怪談ワンドロ 怪談
それは蒸し暑い夏の夜のことだった。
遠くで波の音が耳をくすぐる。民宿の布団にごろんと寝転ぶと、日中剥き出しだった首後ろと腕が浴衣の布地に擦れてヒリついた。
「じゃあ、私とリンは隣の部屋で寝るってばね!」
すっかり乾いた赤い長髪を靡かせる。笑顔のクシナが廊下を挟んだ襖からひょっこりと顔を覗かせた。続いて現れたリンがひらひらと手のひらを振る。
「ミナト先生、カカシ、オビト。おやすみなさい」
「お、おう、リン、おやすみ!」
ニコッと微笑むリンが可愛かった。いつもより小麦色に近付いた彼女の肌に思わず見惚れる。隣の布団に居座るカカシはすんとした顔で、憎たらしくも短く「オヤスミ」と返していた。
「ウン。お、オヤスミ!」
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