呼び声夏も終わりに近付き、木々が黄昏の茜色に染まる。
昨今、組頭として戦場や任務に追われる日々だが、何とか時間を捻出すると、恋仲となった伊作くんの顔を見に、忍術学園に立ち寄った。
だが私が医務室に着くと、伏木蔵くん達保健委員会の後輩から、伊作くんが一人で裏裏裏山に薬草摘みに出かけたと聞かされた。
聞けば伊作くんの不運体質のせいで、保健委員会の日干し中の薬草が強風に飛ばされ、予算が足りず買い直せない為、自ら薬草を採りに行ったらしい。
まあ、伊作くんらしいねぇ。
自分の不運を背負い込んで、猪突猛進で解決しようとするその姿に感心する反面、心配も募る。
あの子の不運は、時にただのドジでは済まない危険を招くからだ。
「そうか、じゃあ私も手伝いに行こうかな?」
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