紅よりも赤し赤い。
いや、紅いと言うのが正解だろうか。
赤と言うには黒くくすみ、まるで流れ出た血のよう。じんわりと戻る意識と視界に広がる紅。意識が戻る感覚と反して、自分は死んだのだと思わず考えた。が、目を瞑れば暗くなり、開けばまた紅い。どうやらこの紅は、現実に目の前に広がる光景らしい。
…生きてる。
途端にひらける思考。ゴォゴォと空気を揺らす低い音と、物が焼ける臭い。
視界を埋める紅は、大地の劫火を写した空だった。自分はそれを見ている。…見えている?…ここは、どこだ。
(…‼︎)
ーーガバッ!
勢いよく起き上がる。寝ている場合ではない。
今の戦況は?ナッパやベジータは無事か。思い出せ…そう、たしか……この惑星の奴らはとんでもない怪物を飼い慣らしていた。こんな惑星3人で十分だと、援軍も持たずにやってきたオレたちは……データにも無い桁違いの戦闘力を持った奴らに歯が立たなかった。それから…どうした?…オレは……その怪物にオレは……
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