Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    裏のるあん

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    裏のるあん

    ☆quiet follow

    まだまだ、書きかけ。
    ゆるいタレラディ。惑星パロ。
    こんなん書いてる場合じゃないんだけどな!w

    #タレラディ
    tarellady

    紅よりも赤し赤い。
    いや、紅いと言うのが正解だろうか。
    赤と言うには黒くくすみ、まるで流れ出た血のよう。じんわりと戻る意識と視界に広がる紅。意識が戻る感覚と反して、自分は死んだのだと思わず考えた。が、目を瞑れば暗くなり、開けばまた紅い。どうやらこの紅は、現実に目の前に広がる光景らしい。

    …生きてる。

    途端にひらける思考。ゴォゴォと空気を揺らす低い音と、物が焼ける臭い。
    視界を埋める紅は、大地の劫火を写した空だった。自分はそれを見ている。…見えている?…ここは、どこだ。

    (…‼︎)
    ーーガバッ!

    勢いよく起き上がる。寝ている場合ではない。
    今の戦況は?ナッパやベジータは無事か。思い出せ…そう、たしか……この惑星の奴らはとんでもない怪物を飼い慣らしていた。こんな惑星3人で十分だと、援軍も持たずにやってきたオレたちは……データにも無い桁違いの戦闘力を持った奴らに歯が立たなかった。それから…どうした?…オレは……その怪物にオレは……


    「王子サマ達なら、無事だぜ」


    突然耳に入る声にハッとする。聞き馴染みはない、だがどこかで確実に聞いたことがある声。
    恐る恐る振り返ると、見慣れた戦闘服に身を包む浅黒い肌の男が、距離をおいて座りこちらを見据えていた。

    「お前は……」

    どこかで…、と言いかけるのを彼は遮った。

    「久々だな、ラディッツ」
    「…………た…ターレスか?」

    彼は肯定の言葉の代わりにニヤリと笑った。
    彼とはいわゆる幼馴染…いや、幼馴染"だった"と言うべきか。ターレスは惑星ベジータを発ち、星を流離っていると風の噂では聞いていた。たしか、自分が王族の側近として働き始めた頃だっただろうか。
    あの頃より背丈こそ伸びたが雰囲気は変わらず、忘れていた記憶が次々と芋蔓式に甦ってくる。そして同時に多量の質問も。
    思考が追いつかず口をパクパクさせるオレを見て、ターレスはクスクス笑った。

    「相変わらずで安心したぜラディッツ。元気そうじゃないか」
    「オレは…その…」

    本来息災を確かめられるべきはターレスだ。彼は皆の知らぬうちに姿を消せたと思っているのだろうが……惑星ベジータの中でも、彼の消息を確かめようとする者や非難する者で溢れたことを、彼は知っているのだろうか。
    そしてオレがそれを見て、気が気でなかったことも…

    …いや待て。

    「ターレス、思い出話は後だ。何が起こった?なぜ貴様はここに……」

    そこまで言いかけてハッとする。
    ここにきて初めてきちんとターレスを見た。紅の空のせいか、体全体が赤く照らされ全く気付けなかった。ターレスの額、腕、体の至る所から鮮血が流れ、劫火にたまにキラリと反射していた。
    咄嗟に這うようにして駆け寄る…それと同時に気を失う前の記憶が蘇る。記憶の通りならオレは、あの怪物の凄まじい攻撃を真正面から食らったはずだった。そして恐らく死んでいた。まさか。

    「ターレス、貴様…オレを庇って……?」
    「だとしたらなんだ?」
    「なんだ…って……」

    どう質問すれば良いのかわからない。
    遠く、大地が燃える低い轟音が未だ鳴り響いている。無言のまま目元に流れた血を拭うターレスを見つめ口を摘む。

    「約束、したろ」
    口火を切ったのは、ターレスだった。
    だが、なんともピンとこない言葉。

    「や…約束…?」
    「お前を、守ると約束した」
    「……は…?」

    覚えがない。そんな指切りでもしそうなクサい約束を、過去の自分はしたと言うのか。そんな子供じみた約束で、この男は命をかけてオレを守ったと言うのか。

    「ターレス、…その、助けてもらったことには礼を言う。だがさっきから何を言っているんだ?オレにはさっぱり…」

    わからない。
    なんだか勝手にバツが悪くなって俯いたオレを見て、ターレスまたクスリと笑う。

    「それでいいさ。それよりホラ、…お前のだろ」

    寄越したものはオレがつけていたスカウターだった。

    「!」

    むしり取る様に慌てて受け取り、通信ボタンを連打した。例の怪物の攻撃によるヒビが入っているが、この程度ならまだ使えるはずだ。べジータとナッパと早く通信を……

    「無駄だ、壊れてる。直そうと思ったが直らなかった」
    「なんだと………」

    これは今自分が持てる唯一の通信手段。なにせ、舐めてかかってこの星に来たのだ。スペアなど持っているはずもない。

    「………」

    2人はオレを死んだと思うだろうか。弱虫だと罵るだろうか。否、罵られてもいい。生きて彼らの元に何としてでも帰りたい。死して終わるならまだしも、死んだと勘違いされ生きながらに存在を抹消されるなど、サイヤ人として…戦士として……

    奥歯がギリリと音を立てる。無意識に力が篭った手の中の、その"壊れた"スカウターが似たような音を立てた。

    「俺のスカウターで通信しようとも思ったんだが、下級戦士の俺のスカウターじゃ王族サマ方の回線には入れなくてなぁ」

    嘲笑をわずかに含むのがわかったが、表情は視線を落とし神妙に見える。言葉が出なくなり、オレも同じように視線を落とし、"壊れた"スカウターを見る。

    わざわざ直そうとしてくれたのか……。
    ……。…いや…一体なぜそこまで?
    過去のオレは、そんなにも重大な約束をしたのか。

    待て。

    そもそも、オレがつけていたスカウターをハタから見て、"壊れている"とどうやって見抜いた?
    わざわざオレの耳から外して判断したのか?
    そもそも、ターレスは追われているようなようなもの…捕らえられる危険を冒してまで、王族と通信をしようするだろうか…?

    解決しない疑問ばかりが頭を巡るが、今はそんな事を考えてる場合でもないこともわかる。フルフルと頭を振り、ひとまず立ち上がる。

    「とにかく…色々世話になった、ターレス。すまなかった」
    「戻るか?」
    「いや、まず貴様の治療が先だろう。せめてもの礼だ、応急処置くらいは手伝わせてもらう。2人の元に戻るのは、それからでも遅くないはずだ」

    何せスカウターが壊れているのだ。これではべジータとナッパを探すこともできない。
    反対に、こんなに敵が蔓延る中で戦闘力だけを頼りにオレを探すことも、頭の良い彼らならしないはず。闇雲に動けば、またあの怪物と鉢合わせするかもしれない。いずれ目視で2人が探しにくることも考えられる。それならここから動かないほうが得策だろう。

    「ターレス、お前の宇宙船はここから近いか?」
    「あぁ、その林を抜けた先に隠してる」
    「わかった、案内してくれ。治療道具も少しは積んでるだろう?………立てるか?」

    差し伸べた手を、悪いな、とターレスの手が握った。

    「……」
    触れた手は自分の記憶より遥かに大きく、鼓動が跳ねる。
    いくら何も出来ない状況だからとは言え、人肌に照れている場合ではない。
    それなのに、彼の少しだけ低い体温が妙な名残惜しさを覚えさせて、気持ち長く手を握ってから返した。

    「随分とまぁ、デカくなって」

    隣に立ったターレスはオレを見上げる。あぁ、そうか。あの頃は、まだほとんど同じ背丈だったか。戦士としてやっと一人前と認められた頃……そういえば。

    「ターレス。歩きながらで構わん、さっきの質問の続きをさせてくれ。なぜお前がこの惑星にいるんだ」

    ちらりと見上げたターレスの視線は、すぐに逸らされて林の方へ落ちた。

    「……たまたまさ」
    「………。…………そうか」

    貴様にしてそんなはずは、と否定する言葉を飲み込んだ。腑には落ちなかったが、偶然だと言いはるのを真っ向から疑うのも違う。万が一、それが故意的なものならば理由があるはず…だが、どう考えてもターレスに理となる理由が思い浮かばないのだ。
    であれば、おそらく…本当にたまたま…なのだろう。
    そして、そこにたまたまオレがいたから、ターレスがこんなに負傷する羽目になってしまったのだが……。

    「いつぶりだろうな、こうしてお前と歩くの」
    「え…?」

    おおよそ血だらけの男が話す話題ではない。だが、隣の男は至極穏やかな表情で前を見据えている。オレは戸惑いがちにもやっと「そうだな…10年以上は…」と返す。

    足元では乾いた葉が踏まれてカリカリと音を立てる。それからは言葉を交わすことなくゆっくりと歩く足音は、当然ながら2人分。足元を見れば、隣には青みがかる珍しいカラーのシューズが交互に前に出る。劫火の空がそれらを照らして、紫がかるようにも見える。

    あれ…オレは…どこかでこれを………

    「ラディッツ」

    呼ばれてハッと我にかえる。返事より先にターレスが続けた。

    「お前に、見てほしいものがある」
    「……?」

    立ち止まって目線をあげたターレス。
    視線の先には、おおよそ一人乗りとは思えない立派な宇宙船が現れていた。

    「ターレス…お前の宇宙船って…」
    「あぁ、これさ。悪いがお言葉に甘えてさせてもらうぜ。手を貸してくれ」

    あんぐり口を開けて船体に見惚れていたオレの手を、ターレスが引いた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🏥🙏💴💴💴👍👍👍👍💕💕💕🌠🌠🌠❤❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    裏のるあん

    MAIKING誰だよ!「2度と文章は書かん!」とか言ったやつはぁ!!!!(ドンガラピッシャーン!)

    タレラディです。書きかけです。
    原稿でヒィヒィ言ってるのに何書いてるんだろうというツッコミで出来てます(?)
    現実逃避のたびに続き書きます。
    紅より赤し赤い。
    いや、紅いと言うのが正解だろうか。
    赤というには黒くくすみ、まるで流れ出た血のよう。じんわりと戻る意識と視界に広がる紅。意識が戻る感覚と反して、自分は死んだのだと思わず考えた。が、目を瞑れば暗くなり、開けばまた紅い。どうやらこの紅は、現実に目の前に広がる光景らしい。

    …生きてる。

    途端にひらける思考。ゴォゴォと空気を揺らす低い音と、物が焼ける臭い。
    視界を埋める紅は、大地の劫火を写した空だった。自分はそれを見ている。…見えている?…ここは、どこだ。

    (…‼︎)
    ーーガバッ!

    勢いよく起き上がる。寝ている場合ではない。
    今の戦況は?ナッパやベジータは無事か。思い出せ…そう、たしか……この惑星の奴らはとんでもない怪物を飼い慣らしていた。こんな惑星3人で十分だと、援軍も持たずにやってきたオレたちは……データにも無い桁違いの戦闘力を持った奴らに歯が立たなかった。それから…どうした?…オレは……その怪物にオレは……
    1564

    related works

    recommended works