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    sakikuryo

    @sakikuryo
    たまに進捗を上げてどうにか自分を奮い立たせるかもしれないところ。ほぼ下書きです。ちゃんと書いたものや整えたサンプルはぴくしぶに置いてます。

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    sakikuryo

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    ゆきむらさまの孫が大往生したゆきむらさまの葬式に出ている話
    かきなぐり
    ※幸村様がいちばん長生きしている
    ※孫の年齢に悩んだのでそのうちcase2が生まれるかもしれない

    神の曾孫(case1) こじん、コジンってなあに。
     お父さんに聞いたら「故人」と書くんだよって教えてくれた。しんじゃった人のことを、そう呼ぶんだって。それでさっきから、ずっと難しいご挨拶は、おじいちゃんのことをコジン、コジンって呼ぶんだね。お父さんはそれっきり、忙しそうに大人の人たちとのお話に戻っちゃった。つまんない。お母さんもあっちこっちのお部屋をぱたぱたしてるから、私は大人しくしておくんだよ。妹みたいにお母さんの足にぎゅってくっついたり、だだこねたりしないの。
     お葬式のときはみんな黒いおようふくを着るんだって。真っ黒のワンピースなんてあんまりかわいくない。ほんとは、前に買ってもらったスカートがすきなのに。たんぽぽみたいな黄色で、それを着るとおじいちゃんがとっても似合うねって笑ってくれたの。今日だって黄色いほうが、おじいちゃんは喜んでくれるのにな。
     ちょうじ? っていう、さよならのご挨拶は妹がやるっていうから、お葬式のあいだじゅうずっとつまんないんだ。妹はやっと文字が読めるようになったばっかりで、たどたどしいけど、こういうときは、ちいさい子が活躍したほうがウケがいいんだって。「おまえはそういうことを誰に教わったの」っておじいちゃんが、眉毛を下げてふしぎなお顔をしたのよ。ふふふ。おじいちゃんには、そういうこと教えてくれるお友達がいたのかな?
     退屈だなあ。椅子に座って、足をぶらぶらってさせて、こうして窓から外を見てるとね、いつもおじいちゃんは「一緒にお庭の花を見てくれるかい?」って、わたしのこと連れ出してくれるの。このお寺のお庭も広いけど、おじいちゃんの家のお庭も広くって、いろんなお花が咲いててね、お名前もたくさん教えてくれた、ダリア、スイセン、きんもくせい。どれも、おじいちゃんが大事に大事に育てたんだって。わたしも一緒にお水をあげたんだよ、お花が喜んでるねっておじいちゃんは笑ってた。
     おじいちゃんはね、からだが弱かったんだって。むかしむかし、おじいちゃんが私のお父さんよりももっと若かったときに、むずかしいごびょうきになったんだって。え? ゴビョーキ? わかんない。でも、わたしが風邪を引いたときにかかる病院の先生が、ゴビョーキって呼んでたよ。先生のお父さんは、おじいちゃんとお友達だったんだって。
     でもね、わたしのおじいちゃんはとっても元気だったの。わたしが生まれて、えっと、ものごころついてからは、ごびょうきなんてしたことなかったよ。お父さんもお母さんもそんなのは知らないっていうの、たぶん、先生のお父さんしか知らないくらいとてもむかしなんだね。
     おじいちゃんは妹がお絵描きをするととっても褒めるの。おじいちゃんの部屋にはきれいな絵のたくさんのってる本があって、絵本じゃないんだよ、でもすごくきれいだった。気に入ったならあげるよって妹にあげちゃった、ちょっとずるいなあって思ったけど、わたしは妹と一緒に見るからいいの。おじいちゃんもね、妹がいたんだって。仲良しだったのかなあ。一緒にお絵描きをしたのかな。
     だけどおじいちゃんは、お絵描きよりももっともっとお庭で遊ぶのがすきだったんだよ。お花よりももっとね、ボール遊びがすきなの。うんと前に、大きいおにーちゃんたちがボールをお庭にいれちゃって、おじいちゃんの大事な植木鉢を割っちゃったことがあるの。おじいちゃんが怒るんじゃないかと思って、わたし怖くってどきどきしてたんだけど、おじいちゃんはボールを拾うとおにーちゃんたちにハイって返してあげてた。黄色いボールだったから、おじいちゃんは黄色がすきなのかな。
    「中学生? そう、気を付けて」
     ……おじいちゃん、とってもにこにこしてた。そのあとでお花を見てしょんぼりしてたけど。おじいちゃんが怒った顔って見たことないよ。
     おじいちゃんはいつも同じにこにこのお顔だから、お葬式の写真もにこにこしたのがいいねって、お父さんとお母さんが話してた。あれだよ、あの写真。とっても優しいおじいちゃん。
     お葬式のじゅんびって大変みたい。写真もえらばなくちゃいけないでしょ、お土産もえらばなくちゃいけないでしょ、それに、いろんな人におじいちゃんが死んだことを教えなくちゃいけないんだって。だけどお父さんが「おばあちゃんのときよりは人数が少ないなあ」って言ってた、どうしてって聞いたら「お友達があんまり来ないからだよ」って。妹は分かんなかったみたいだけど、わたしは分かるよ。おじいちゃんってば、とってもとっても長生きだったから、お友達がみんな死んじゃったんだ。ちょっと前にね、新聞のすみっこを見てしょんぼりしてたから、どうしたのって聞いたら教えてくれたもの。
    「おじいちゃんはさびしくないの?」
    「長生きしたおかげでおまえに会えたんだ、さびしいなんてことないさ」
     そのときも、いつもと同じにこにこした顔でね、だけどちょっと寒そうだった。あとから肩のとこに、お庭で遊ぶときに着てるジャージを引っかけてた。
     だけど、……だけどね、わたし、お父さんにもお母さんにも言ってないことがあるの。一回だけ、おじいちゃんがあの写真よりももっと、とってもニコニコしてたことがあるんだよ。
     おうちに遊びに行ったとき、おじいちゃんにおはがきが届いてたんだ。わたしね、もう漢字がちゃあんと読めるから、「ゆきむらせいいちさま」って書いてあるって分かったよ。それで、郵便受けからおじいちゃんのお部屋まで持って行ったの。
     おじいちゃんはわたしの手からおはがきを受け取って、ありがとうって私の頭を撫でてくれてね。おじいちゃんの手って、なんだか触るとごつごつしてるのが不思議でだいすきだった。それから、おじいちゃんはそのおはがきを裏返して、びっくりした目をしてね、
    「また俺の勝ちだ」
    って。
     そのときのおじいちゃんの顔、わたし、とってもびっくりしちゃった。まるでわたしとおんなじに、子どもみたいに笑ったの。びっくりして、わたしも目をおっきく開いたから、そのときのおはがきになんて書いてあったか分かるのよ。おはがきを出した人のなまえはね、さなだ……なんとかさん。「さなだ」って、さいきんお父さんとお母さんが日曜日に見てるドラマで、戦ってる人とおなじだね。
     おはがきの内容? うーん、それは分かんない。むずかしい字がいっぱい書いてあったし。でもね、あそこに置いてある、おみやげの箱があるでしょ。お葬式に来てくれた人に渡すやつ。あれの包み紙に書いてあるのとそっくりのお花がおはがきにも書いてあったよ。うん、灰色のダリアのお花。
     ……ダリアじゃないの? きく?
     ふうん。おにいちゃん知らないんだね。ダリアはキク科なんだよ。おじいちゃんが言ってたもん。おにいちゃん、本当におじいちゃんのお友達? お花のお名前もしらないのに? おじいちゃんのお友達は、もうみんな死んじゃったって聞いたのに。おじいちゃんがウソつきなわけないもの、おにいちゃんがウソつきなんでしょ。
     え、なあに。「孫の代まで見抜きよる」って、……?
     よく分かんないけど、おじいちゃんのお友達ならここにいちゃだめ。おじいちゃんはね、お友達と会えるのが楽しみだってずっと言ってたんだから。お父さんに言うと「えんぎでもない」って言われちゃうから、わたしにだけこっそり、お庭にお水をあげながら教えてくれたの。だけどね、あんまりすぐに遊びに行くと叱られちゃうし、わたしとも妹とも遊びたいから、まだしばらくお空の上には行かないよって。おじいちゃんなのに叱られるなんて、へんなの。
     あ、おかあさんだ! おはなし終わったのかな。
     じゃあね、白い髪のおにいちゃん。精市おじいちゃんに会ったら、いつもわたしと遊んでくれてたから、たまには、おじいちゃんのすきな遊びで遊んであげてね。ばいばい。
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    sakikuryo

    REHABILI高杉社長について書きたい咲紅さんはあの川の土手にいっせいに彼岸花が咲く頃、国道にかかるしろい歩道橋の上で認めざるを得なかった変容についての話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    社長+ぐだ謎の時空の謎のレイシフトだと思ってふわっと読むことを推奨
    社長+ぐだ
    ぐだの性別はふわっと不問

    ==
     股の下をくぐって大型車が何台も行き来するというのは、ことによると吹っ飛ばされそうな心許無さを感ずるものらしいが、その点、高杉は状況をいくらでも楽しむ度量があった。酔狂と言い換えてもいい。直接触れたわけでもないのに、アスファルトの振動が柱を伝って、片側二車線道路を大きく跨いだ歩行者用の橋を震わせる。
     歩道橋のさびた手摺を掴み、うわあ、と小さく呟いたマスターはと言えば、ワイバーンに追われている時よりも、ともすると、危機感めいたものを横顔に湛えている。おかしなやつだ。高杉はそう思って、しかしふと、よく知っているからこそ怖いこともあるのだろうと思い直した。ピストルを不用意にべたべた触るのはピストルが何なのか知らないからだ。絵巻の中の妖怪にできることだってたかが知れている。高杉にとっては呪いの類よりも刀のほうが、生々しく死を感じさせるものだったし、あるいは畳に敷かれた布団のほうがおぞましく生を鈍らせるものだった。自分より百年か二百年、後の世に生まれたマスターなら、巨大なイソギンチャク以上にお四トントラックが恐ろしいことだってあるのだろう。
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    sakikuryo

    DOODLE高杉社長について書きたい咲紅さんはおおよそ五分の夕立のあと、様々な蜂蜜を取り扱う洒落た店で嘘みたいな味のりんごを食べたことの話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    面白きこともなき周回を面白く高杉社長を書いてみようとした
    途中で切れます

    ===

     あたりが焼け野原になったのを見届けてから、高杉は手近なカフェーへ入った。銅だか真鍮だかを叩いてのしたような看板に、甘たるい西洋菓子の名が焼き付けてある。店の名前なのだろう。食べたことはない菓子だったが、横文字の響きだけで十分に胸やけがする。引いた扉の蝶番はやけに重い。ベルが尖った音でちりんと云い、対して店員は、蚊の鳴くような応対で客を出迎える。
    「二名様ですね」
     お好きなお席へどうぞ、と言われて初めて高杉は、自分の後ろにもう一人居たのだと気が付いた。カルデアのマスターだ。白っぽい衣服と頬は煤だらけで、とてもじゃないが洒落たカフェーで一服する格好ではなかろう。人のことは言えないが。振り返る視界で、高杉は自分の髪の、ほどけて赤く、爛れたように黒いのをとらえた。こんな血でべとべとの人間を、よくまあ客として迎え入れたものだ。
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