甘やかして、甘やかされてS級になって忙しい日々でも、ぽっかりと時間が空くときはあるものだ。
昼間からベッドで大の字になり、時計が刻む規則的な音に耳を傾ける。
レベルアップのためにダンジョンへ潜る気にもならず、ぬるい室温と柔らかなマットレスに包まれて息をつく。
(…そういえば、排水溝の掃除を最後にやったのはいつだっけ。テレビ台の下に埃が転がってたような…早いけど、晩飯の仕込みも始めるか)
体と違い頭の方はまったく休む気にならないようで、長年の習慣となった家事の段取りをつらつらと考えてしまう。こういう時に掃除やら料理をしたくなるのは何故なのか。
E級だったころは、朝から晩までダンジョンを駆けずり回ってもたいした報酬を得られなかった。ランクが上がった今では有り余る蓄えがあるので、あくせくと予定を詰める必要もない。それでも時間を無駄にしたくないという、染みついた貧乏性からはそうそう抜け出せないらしい。
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