Dom/Subユニバース世界の犬旬冒頭「はぁ……」
思わず出た溜息。
「水篠さん、どうかしましたか?」
「いや、なんでもないよ」
向かいに座っていた諸菱に心配そうに声をかけられた旬は、誤魔化すように食後のコーヒーを口に運ぶ。
ダンジョン攻略終わりの旬と、朝から働き詰めだった諸菱が合流して遅めのランチに選んだのは行きつけのカフェだった。昼下がりだからか、店内は数人でお喋りに興じている女性客や、一人でコーヒーを飲んでいるサラリーマン風の男性客が多い。
旬の溜息の理由は一つ。だが、この場で諸菱に相談するのも憚られる内容だ。いや、きっと諸菱ならば旬が全てを話せば方々に手をつくしてくれるだろうが、旬の歳上としてのプライドがそれを許さなかった。
──暫くプレイしてなくて欲求不満だなんて、言えないよな……
3380