泥中蓮華 ――自分たちは、地獄の住民なのだろう。
それは、戦で焼き尽くされた村だった。
死と燃えカスの臭いが、辺りに充満している。地面は黒々とした炭と灰で覆われ、ところどころ硝子化した砂や岩石が陽光を反射していた。
みすぼらしく乱立するのは、炭化した木材。…家だったころの名残。
あちこち転がる骸も、すべて真っ黒こげ。なにかを求めるように突き出した腕は、なにも掴めず虚空に触れていた。
黒、黒、黒。黒ばかりの大地。――頭上だけは憎々しくも清々しいほどの青空と白雲。
そんな地獄のような光景に、旅商人姿の男がひとり佇んでいる。――食満留三郎。
忍術学園を卒業してより数年、やや精悍さを増した青年は無表情にこの場を眺め、その空気を吸い込む。――肺を焼く熱気に咽込んだ。
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