死者の妄言、生者の真言(後) ではお待ちかねの大詰め。
まさに、あの屋敷が焼け落ちる、その日のお話をいたしましょうか。
朝、昼、夕、それはいつも通りの日でした。夏の気配が色濃くなる時分。
私は留姐と一緒に、衣替えを着々と進めておりました。
左吉さんは昨日から帰って来ていて、お昼にはお土産の水菓子をいただきました。
御屋形様は左吉さんとなにやら難しいお話をしていて。
屋敷の中は、ちょっと寂しかったですね。私が来た頃、屋敷の者は最低でも十人は詰めていたのですが、一度一気に出ていって、その日は五人ぐらい。
留姐は御屋形様の世話もして、私はやることがなければ屋敷内を歩き回る。そうして就寝時間になれば、各々の部屋へ。屋敷内は一気に鎮まり返って。
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