偏頭痛ズキズキとした痛みが頭の片側を締めつける。
何度目か分からない偏頭痛に耐えきれず、私はベッドに伏せていた。部屋の灯りもカーテンで遮っているけど、それでも光が目に刺さるように感じる。
「…ったく、お前またか?」
冷めた声が耳に届く。ゆっくりとまぶたを開けると、そこには圭くんが立っていた。いつもの無表情のまま、私の顔を見下ろしている。
「頭痛いんだろ。ほら、水」
彼は淡々とした口調で言いながら、ベッドサイドにコップを置いた。そっと手を伸ばそうとするが、頭痛のせいでうまく力が入らない。
「…取れない」
思わずそう呟くと、圭くんはため息をついて、コップを手に取り私の口元に運んだ。
「……お前さ、ちょっとは自分で管理しろよ。痛くなる前に薬飲むとか、生活習慣見直すとかさ」
文句を言いながらも、彼は嫌そうな素振りを見せずに私を支えてくれる。その手は驚くほど冷たくて、熱を持った私の体には心地よかった。
「…優しいね、圭くん」
「は?どこが?」
「こうやって、看病してくれてる」
「……別に、お前が放っておいたら勝手に死にそうな顔してるから、仕方なくやってるだけだよ」
そう言いながらも、圭くんは私の額に手を当てて熱を測る。
「ちゃんと寝とけよ。悪化したら面倒だ」
「…圭くん、もう少しここにいてくれる?」
「はあ…?」
「圭くんがいたら、なんか安心できるから」
「バカかよ…」
彼はそうため息をつきながらも、ベッドの近くの椅子に腰掛けた。無愛想な顔のまま、それでも私が安心するように静かにしてくれている。
ズキズキと痛む頭はまだ治らないけれど、その隣にいる彼の存在が、どこか心強く感じた。