『魔法少女☆ハーツラビュル』 ~ボクが魔法少女?!~ 寮での決まり事が多くて厳しすぎると嘆く生徒で溢れるハーツラビュル寮。以前までは圧政で文句を唱える生徒達を物理的に黙らせていた。だが、生徒を力で従わせようと魔法を使い過ぎによって起きた件の事件。『傍若無人な寮長へ下剋上仕掛けたけど癇癪起こしちゃってなんやかんやオーバーブロットしちゃったよ!どうしよう〜?!略して、リドル寮長オバブロばぶ事件日』を経て以降、寮長本人も緩やかに規制違反を取り締まりたいと考えを改めている。
「だったらいい提案ありますよ!」
世間知らずな赤ちゃんみたいなリドル寮長。真面目がゆえからかうと反応が面白い悪友のデュース。こいつら組ませてちょっとした余興をやろうではないか。まっすぐこちらを見つめる純粋な瞳たち。面白い予感になりそうで、思わず口元がにやつく。
「…み、みんな〜!マジカルアリスのライブ観にきてくれてありがとう!」
「お、俺たちの歌聞かなきゃ沈ませるぞコノヤロー!」
「ちょっとお二人さん!?真面目にやってくれません??!!」
ぎこちない笑顔。息の合ってないバラバラな歌とダンス。ステージに見立てた台の上で召喚魔法の儀式かよと勘違いしてしまいそうな悲惨なパフォーマンスをするお二人。手を叩きながら茶々入れる。棘ありまくりな寮長を少しでも柔らかくするため提案したのは『アイドルとして寮生を導く』というもの。もちろん悪ふざけ100%。固すぎる寮長とデュースのコンビでちょっとからかってやろうと思っただけなのに。予想以上の酷い仕上がり。お手本見せてくださいよ〜と悪巧みに誘ったトレイ先輩とケイト先輩はなんだかんだ息の合ったパフォーマンス力を発揮し、その二人のアイドル活動の方が人気上昇してしまった。あーあ、オレはただ二人を弄り倒してお終いってする予定だったのに。この真面目バカ二人は、アイドルとして評価してもらうまで諦めないって無駄に熱くなって特訓を重ねる日々。言い出した張本人だから最後まで見届けてくれって念押しされてしまい、こうして観客が一人もいないステージに向かってオレだけがこいつらを見守ることに。あーあ、いっそこいつらをもっと面白い方法で宣伝すれば注目浴びるんじゃね?魔法少女とかどうよ?!なーんて、誰に聞かせるでもないアホな考えを振り払い、一生懸命に動く二人へ視線を戻す。