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    百合子

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    百合子

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    12/13 和泉兄弟 ラブウィ感謝SS

    #和泉兄弟
    wazumiBrothers
    ##和泉兄弟

    『レッツマネージメント!』
    以前、一織とマネージャーがオレ達兄弟を題材とした同人書を作りたいと持ち掛けられたことがある。あの時は、そんなのより一緒にお菓子作る番組やったり、二人のフォト撮影しようぜって片付いた。…と思っていたのに。再び押せばオレが頷いてくれるのではないか?!と変な自信を持った二人が、恐ろしいほどの企画力、行動力を発揮し、和泉兄弟webオンリー[Love with Me]が開催されることに決まってしまった。

     呼び出された会議室。オレ対、一織とマネージャーみたいな構図で座らされ、目の前に置かれている書類とパソコンをじっと見つめる。イベント参加するに当たってのご案内、注意事項、参加者一覧、その他もろもろがまとめられた書類が、まるで広辞苑並みに分厚い。どんだけの熱量込められてるんだ、これ。と呆れ通り越して尊敬すら覚える。視線を正面に向ければ、誇らしげな顔浮かべる二人。ひとつ溜息をついて、おずおずと手を挙げた。
    「あの、聞きたいことが山積みなんだけど」
    「はいなんでしょうか?」
    「まず、こんな何十ページもある企画書に目通すの恐ろしいんだけど。どんだけ多いの。オレ達兄弟だけのイベント、名前ぐらいしかまだ把握できてない」
    「まぁ、実際のアイドルを扱ったジャンルなので、慎重に扱わないといけませんから。
    所謂ナマモノジャンルです。念には念を、と思ったらこんな分厚くなってしまいました

    「ナマモノってなに?!というか、予防線張るのも大事だけど、まずオレの許可取ってくれよ!!」
    「えっ、以前話したとき嫌な顔はされませんでしたし、もう一度企画練り直せばいけると思った次第で…。だめでしたか?」
    「いや…。うーん、沢山のファンの子がオレ達好きっていうの知るのは、悪い気はしないけど…」
     ふと、企画書の後ろのページをめくれば、オレ達の絵や小説が沢山乗せられていた。このイベントに参加してくれた子達がかいてくれたんだろうか。気になり、どんどんページをめくる。オレ達がライブに立って歌ってるシーン、一緒に写真撮影をしているシーン、二人でうさぎのパーカーを着ているシーン。色んなオレ達が描かれていた。どの絵を見ても、話を読んでも、”和泉兄弟が好き”、”二人一緒に幸せになってほしい”、”和泉最高”という共通の愛が込められているのが伝わる。
     綺麗だ。思わず零れる感想。まるで、オレ達兄弟が好きという気持ちが、黄昏の空みたいな結晶へと変わり、大事に詰め込まれた宝石箱みたいに、きらきら輝いている。そっか。こんなに多くの人が、オレ達が並んでる姿を望んでいるんだ。胸がじんわりと温まっていく。強張っていた顔の緊張が抜け、ぎゅっと書類を握りしめた。
    「やばい。嬉しいな、これ。なぁ、もっと見てみたいんだけど、どうやればいいんだ?」
     一織達へ顔を向ければ、何故か涙を流しながら二人で固い握手をしていた。さながらライバル同士が手を取り、相手を称えるため熱い握手を交わすかのように。えっ!?なんで泣いてるんだ?大丈夫か?!って声をかければ、「なんでもありません。目にゴミが入っただけです」とごまかされてしまう。向かい合わせだった一織が隣へ来て、パソコンを弄りだす。オレが握っていたマウスにそっと手を重ねられる。思わず身体が跳ねてしまったのは、一織の手が予想以上に熱かったせい。ただそれだけだ。なんて誰に聞かせるでもない、言い訳を連ねる。一織と一緒に画面を覗き込めば、ラブウィと略称がつけられたHPへ飛び、イベント参加ページがぱっと現れた。
    「それじゃあ、兄さん。参加するでいいですか?」
    「あぁ!サプライズゲストになって、盛り上げてみよーぜ!」
     ファンの子達からもらったありがとうを返すため。参加というバナーをクリックした。




    以前赤ブーで和泉オンリーやってくれ!頼むという気持ちで書いたやつです。悲願してた気持ちがwebオンリーで実現した?!と舞い上がりました。↓

    「マネージャー。こちらの資料ご覧ください」

    私と一織さんの二人きり。事務所のデスクにてとある企画の秘密会議をする。いつもと同じ。いや、彼の涼し気な目元が射貫くように鋭く、気迫がいつもより凄みが増してる。手に取った資料の紙の厚さも辞書並みだ。ぱらぱらとめくれば、[私と兄さんが一緒に仕事をする上の売上効果]の題名が書かれ、円グラフなどたくさんの図を用いている。今までこなしたIDOLiSH7での仕事データ、グループ内で分かれて仕事をした際のファンの反応やグッズの売上金なども比較されている。更には三月さんに着せるかわいらしい衣装のリストまである。この資料を見ると一織さんがどれだけ本気なのかが伝わる。だけどこれだけではまだ足りない。読み終えた資料を閉じ相手に向き合う。

    「拝見いたしました。売上比をデータ化して作られた資料、衣装の候補まで大変参考になります。ですが、一織さんの口からお聞きしたいです」
    「なにをですか?」
    「…結論です。この資料にはいかにお二人で仕事する際のメリット、デメリットなど客観的なことしか書かれてません。これらを基に一織さんがどうしたいのか?教えて欲しいです」

    真っすぐ見つめれば、持っていた資料を強く握りしめ顔をしかめている。

    「それは……。公私混同してはいけないと思うので私の気持ちは後回しで結構です。マネージャーが採用するかは一任します。それに、ただでさえ兄さんは私と一緒にいるの遠慮してるのに、この仕事だと更に嫌がるでしょうから…」

    顔を俯かせ自嘲気味に言ってのける一織さんに一喝する。

    「やる前から諦めるなんてダメだと思います!大事なのは三月さんと一緒にお仕事したいかどうか。そう強く願うのであれば、私は一織さんの気持ちを叶えて差し上げたいんです!いつも三月さんに遠慮してるようですが、いっそ当たって砕けろ精神で試してみましょう!そうすれば三月さんも応えてくれるはず!ってすみません、マネージャーなのに出過ぎた真似を…」

    机を叩きながらつい熱くなって語ってしまい、反省する。私の熱意に呆気にとられたようですが、次第に柔らかい笑みを浮かべている。

    「…マネージャーのお気持ち嬉しいです。ありがとうございます。ではその勇気分けてもらってもいいですか?」
    「…はい!ではさっそく三月さんに連絡とりましょう!」

    善は急げ。互いにスマホを取りだし連絡用アプリ、ラビチャを開く。どちらがメッセージを送るか相談し合い、私が二人をグループトーク画面に招待し切り出すことに決まった。二人に特別案件という名目で招待メッセージを送る。にじみ出る手汗で滑らないようしっかりスマホを握りしめる。一織さんも緊張した面持ちでスマホを見つめている。
    ピコン。メッセージを受信する音が鳴る。

    ”おつかれさま!なぁ、この特別案件ってのなんだ?大事な仕事ってことで合ってるか?”

    お返事がきた!?お互い顔を合わせ頷く。三月さんに不審がられないよう、かつ円滑に仕事のプレゼンをしないと。急いで文字をタップする。

    ”お疲れ様です!ご名答です。実は、三月さんと一織さんの二人にしか頼めないお仕事がありまして。実は一織さんには先にお話して了承を得ています。あとは三月さんにお伝えしようと”

    すみません少し嘘をつきました。本当は一織さんからの仕事の提案ですが、マネジメントに携わってるのはまだ内緒にしないといけないので。

    ”…一織がいいって言ったんならオレも引き受けるつもり。だってマネージャーと一織のこと信頼してんだからさ!んで、どんなやつ?オレ達兄弟のグッズとか?それともラジオのMCとか?”

    不意打ちの三月さんの優しさ溢れる男らしい発言に、思わず顔が熱くなりました。ちらっと一織さんを盗み見ると、胸辺りをぎゅっと掴んで息が絶え絶えになってます。小声で、兄さんかっこいい、流石ですと呟いている。彼の挙動が心配になり声をかけようとすれば、大丈夫ですと制された。そしてスマホに向き直り、なにか打ち込んでいる。しばらく見守っていれば握っていたスマホがまたピコンと鳴った。


    ”あとは私からお伝えします。兄さん…よく聞いてください”
    ”お、おう。なんか変に緊張するな。よし、どんとこい!”
    ”まず最初に、内容によっては色んな服着てもらう可能性があります。それこそ兄さんの苦手なかわいい系の洋服の可能性も捨てきれません”
    ”ん?雑誌の撮影か?それともブロマイド用とか?別にどんな衣装着るのでも大丈夫だぞ”
    ”そして私とほのぼのとした日常や、時にはギスギスした日々を過ごしてもらう可能性もあります”
    ”へ?なにオレ達主演でドラマ撮るってことか?!”
    ”テレビ出演ではありません。どちらかと言うと紙媒体の仕事です…”
    ”ちょっと話がまだよく見えないんだけど!?つまりどういうこと?!”
    ”……私と一緒に薄い本に出てくれませんか!!”
    ”…は??”

    短く打たれた文字。疑問を表すスタンプが送られた。そこからは私が説明役に代わった。薄い本つまり同人誌とは、ファンの間で自分の好きだと思うキャラ愛や熱量を絵や文章で表し、本という形にすること。自分達でも頑張れば制作は可能で、年に何回かある同人誌即売会に参加もして販売する機会もある。それに向けてお二人兄弟を題材とした本を制作し、販売するまでの流れを『キミと愛なNight』の挑戦企画としてやってみるの如何でしょうか?と詳しく説明を加えて仕事の提案をした。さぁこれだけ綿密に練られた企画なら三月さんも頷いてくれるはず。二人一緒にスマホを見つめ、向こうからの良い反応を心待ちにする。数分後、ピコンと鳴るスマホに映し出された文字は、

    ”…受けるかどうかの返事は保留で。とりあえずラビチャだけだと埒明かねぇ。今から直接話し合おうぜ。まだその仕事やるって気持ちあるなら、オレの目見て話せるよな?”

    心なしか怒気が込められてる気がするのは気のせいでしょうか?震えだす私達の元へ三月さんが合流するまであと数十分。


    「ったく、同人誌作りましょうって切り出されたとき、こいつらどうした?って思っちゃったよ。」

    事務所にやってきた三月さんは仁王立ちし、私達二人は体を縮こませ聞くだけに徹する。説得失敗か。一織さんと約束したのに、私の力不足で申し訳ない。ため息が出てしまう。それを見たのか三月さんは、咳払いをしてまだなにか言いたそうに言葉を紡ぐ。

    「あー、あれだ。一織と仕事するのは嫌じゃない。ただ内容をもっと別のにしてくれたらってことだから。だから、どんな仕事やるのがいいか三人で話合おうぜ!」

    にっかり歯を見せ笑う三月さんに、私達が提案したのは決して無駄ではなかったと思えた。三月さんの笑顔を見た一織さんもほのかに顔を赤らめ、誤魔化すように咳払いを何度もしている。

    「かわい、うっ!ごほん!いえ優しいお言葉ありがとうございます。さっそく話し合いしましょうか。一瞬にお菓子作るとかの企画はいかがでしょう」

    二人微笑み合う姿に私はこっそりガッツボーズをした。もっとお二人が喜ぶような仕事たくさん持って来てみよう。そしていつか個人的にお二人を題材にした本を作ろう。改めて決意を固めながら話し合いに参加するため真っすぐ挙手をする。
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    だけど…。

    「ほら大和さん。こっちのチョコはどうだ?日本酒混ぜてみた自信作だぜ!」
    「二階堂さん。あなたの好きなメロンとチョコを組み合わせてみました。食べてみてください」

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    「ボクを呼び出した理由を率直に述べよ」
    「まぁまぁそんな警戒しなくても。ドリンクや食べ物でもつまみながらゆっくりお話しましょうよ。いま後ろに控えているジェイド達に運ばせますから…」
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