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    百合子

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    百合子

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    2020/11/11
    夏スバポッキーの日ネタ

    #夏スバ##夏スバ

    今日はいつにもましてバルくんのテンションが高い。寮内で色んな人の懐に潜り込んでは、「ねぇ、ポッキーちょうだい?」とあざとくおねだりし、見事ゲットした棒状の菓子をさくさくと口にくわえるバルくん。その姿はまさしく、誰にでも尻尾をふり愛想をばらまく浅ましい犬ぴったりだ。おかしいな、一応人間のはずの彼に飼っている犬そっくりな耳と尻尾がついて見えてしまう。愛玩動物のような振る舞いを見せる彼を見て、深く溜息をつき、自分の腕に下げた袋をちらりと見た。その中にはポッキーを魔法の杖に見立て、魔法をかけるポーズをとっているボク達Switchがパッケージとなったお菓子の箱。味も三人にならって苺、レモン、ブルーベリー、の三種のチョコソースがそれぞれカカオの生地にコーティングされた特別仕様。しかもランダム特典で、ボク達のサイン入りブロマイド入り。そのせいかボク達のファン含む若い女子たちは、コンビニやスーパーでポッキーを買い漁り、奪い合っていると小耳に挟んだ。今日のニューストレンドは、ポッキー祭りならぬ、ポッキー大戦争~Switchの乱~となることだろう。気が重くなり、また溜息が出てしまう。

    正直、こういう大手菓子メーカーの策略に踊らされる行事は好ましく思えない。無理やりな語呂合わせで、売り上げを叩き上げようとする考えが見え見えだからだ。まぁ、自分たちの知名度を上げるため、その商売戦略に加担してしまったが。俗っぽいことに首を突っ込めばろくな目に合わないと痛感させられた。せめて少しでもボク達を求める女の子達の手元に、ボク達の菓子が渡ればいいなと祈りながら、部屋から出てきた。しかし、何故かバルくんがポッキーちょうだい妖怪に。共有ルームでくつろぐ人、廊下ですれ違う人、総当たりに求めるほど。どうしてこんな奇行をしているんだ?ってげんなり思いつつ、自分の部屋にも例のお菓子があったことを思い出し、取りに行った。きっとボクが持っていることに気づけば、バルくんの青空みたいな澄んだ目がきらきらと輝き、一目散に駆け寄ってくれるに違いない。でもすぐにあげてしまうのはつまらないな。”マテ”と命令して、どれだけ健気に待ってくれるのか試してみたい。きっと早く食べたくて仕方ないって身体を揺らすけど、ボクが下した命令を守るため必死に唇を噛み締めて耐えるだろう。でも段々我慢できず、縋るように腕を伸ばし再度おねだりをするはず。

    「ま、まだ?早く欲しいよぉ夏目…」

    って赤い舌を覗かせ悩ましい表情を浮かべる彼。

    調教プレイもいいなと新しいバルくんの可能性に期待しつつ戻ってみれば、自分以外の人に媚を売ってポッキーを何本かもらってる姿を目撃することに。大きく開く口には何本もポッキーを咥え。腕には溢れそうな箱を抱えている。
    別のポッキーを口につめてやろうかな。なんて、ヤバい発言が浮かんでしまうほど、苛つく。でも一番腹を立っているのは、壁によりかかったまま向こうからやってくるのを試している自分。人懐っこい彼が沢山の人と戯れるのは分かっていることなのに、それでも最後はボクの元へやってくるはずだという気持ちを抱いてしまう。だから主人の元へ無事忠犬が戻ってくるか待ち続けているが、未だ他の人へ愛想を振りまき続けている。

    ダメだ、我慢の限界。

    「バルくん。ちょっとこっちおいデ」
    「ん?なになに!どうしたの夏目!」

    努めて明るく声を出し、彼の名前を呼ぶ。まんまるな青い瞳がやっとこちらへ向き、ぱたぱたと近づいてくる。あと一歩。もう少しでボク達の距離が縮まるところ、ボクからもう一歩踏み出し、顔を近づけた。向こうが驚いて下がらないよう後頭部をがっしり掴んで。彼の咥えてる菓子をかじり、折ってやった。一センチ残しという、配慮を持って。苺味か。ぽりぽりと口でかみ砕いたお菓子を味わっていると、目を大きく開いたバルくんの口からポッキーの欠片が落ちそうになった。床に落ちる前に反射で掴んだ。手の平で転がるポッキーのはじっこ。どうしようか悩んで、自分の口に放り込んだ。すると、あっ、と声を出し真っ赤に染めあがったバルくんの顔。そう、その顔が見たかったんだ。ボクに翻弄され慌てふためく姿が。見られたことに満足し、自分の腕にぶら下がったままだった袋から、ポッキーの箱を取り出した。

    「ごめんネ。キミの大事なおやつ取り上げちゃっテ。代わりに新しいのあげるかラ。ちゃんと名前呼ばれて来てくれたご褒美。だから機嫌直してネ。good bye~♪」

    バルくんがぎゃーぎゃー騒ぐ前に退散をした。追加でボクからのお菓子も渡したことだし、きっと満足するはず。でも最後まで分からなかったのは、どうしてあんなにポッキーを食べたかったんだろうか。まっ、ただの食い意地が張ったわがままか。憶測をつけて、自分の部屋へと戻っていった。

    一方残されたスバルは、夏目からもらったポッキーの箱をじっと見つめていた。『キミに甘い魔法を』という歌い文句と共に写っているSwitchの逆先夏目。ぺりぺりとミシン目に沿って箱を開ければ、苺チョコ味のポッキーと夏目のサイン入りブロマイドが入っていた。それらをじっと見つめ、嘆息する。
    「…近くの店全部売り切れだったから、諦めてたのに。せめてポッキーでも食べて、買えなかったモヤモヤ発散したかったのに。ずるいよなぁ、夏目って」
    まさか本人から貰えるだなんて、予想してなかったプレゼントと共に射貫くような黄色い閃光。ぎりぎり触れなかった唇をなぞった。
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    百合子

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    正直、こういう大手 2260

    百合子

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    正直、こういう大手 2260