Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    Rxme07Nysn

    @Rxme07Nysn

    ツイートしてない自カプの短編
    よその夢カプさんを書いたのものせるかも

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 18

    Rxme07Nysn

    ☆quiet follow

    鈴音ちゃんと王翦様でFate、聖杯戦争パロディ

    好き勝手やりすぎてるので閲覧注意
    好きすぎてやってしまったパロディ書きたいとこだけ書いてます
    マスターの王翦様とサーヴァントの鈴音ちゃんです

    Fate、聖杯戦争パロディ 寂れた洋館の地下室で、男は不思議な円の紋様を床に敷き、正面に立ち手をかざす。


     素に銀と鉄──


     それは、魔術の言葉。


     降り立つ風には壁を──


     抑揚のない声。


     閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ
     繰り返すつどに五度
     ただ、満たされる刻を破却する──

     
     ふわりと、どこからか風が吹く。男の艶びた黒髪が舞い踊り、顔の半分を隠した仮面が現れる。表情は読めない。


     ――――告げる。
     汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。


     かざした手の甲が熱を持ち、鈍く光を放つ。
     床に敷かれた紋様も、男の手の甲と同じような光を纏い、巻き起こる風は竜巻のように紋様の中心に集まる。
     男は微動だにせず、ただその紋様を見つめ、魔術の言葉を口ずさみ続ける。

    「誓いを此処に。
     我は常世総ての善と成る者、
     我は常世総ての悪を敷く者」

     紋様と男の手の甲が放つ光が強くなる。男は眩しさに目を細めるが、確かにそれを見届けようとする。
     一つ。息を吸う。吐き出す。
     この男も、さすがに何かを感じ取ったのか、強い風の中水分がなくなったのか、唇を湿らす。
     一つ。大きく息を吸う。

    「汝三大の言霊を纏う七天。
     抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――」

     目が眩むほどの爆発的な光と風。男は身を守るように腕を掲げて目を閉じる。
     辺りが収まり、ゆっくり目を開き、背後からの気配に振り向く。地下室の唯一の扉からなだれ込む銃を持つ者達。微かに上から交戦の音がする。
     守りをすり抜けてきたのか、優秀な者達だ。
     男は感心をする。己に突きつけられた拳銃に感情は揺れず、じっと見据える。

    「遅かったか」
    「いや、気配はない」
    「なら、上の奴等が来る前にやっちまうぞ」

     この魔力の揺れもわからないのか。
     男達の会話に、先程の評価を引き下げる。

    「英霊よ。最初の命だ、私を守れ」
    「なに……?」

     殺していいの――?

    「なんだっ?!」
    「女の、こえ─?」
    「殲滅だ」

     地下室に響く。鈴の音ような、ころりとした弾む声。男の言葉に、くすくすと笑い声が続く。
     拳銃を持つ者達は、姿の見えない声に恐怖し、震える手で虚空に拳銃を向ける。

     私はそこにいませんよ──?

     その声が始まり。
     背後から首を掻き斬られ、血が噴き出る。悲鳴があがり、発砲音。その手が落とされる。地下室を逃げ惑う。デタラメな跳弾と、恐怖から笑いと悲鳴。
     
     その中で、仮面の男だけは静かに佇む。
     その中で、女の楽しそうな声が響く。

     地下室に生あるものは一人だけ。ツンとさす、カビの臭いと、臓物の刺激臭。仮面の男は、全くの無傷で、返り血の一つもなく、そこにいた。

    「姿を現せ」

     仮面の男の前に、光の粒子と共に現れる。
     それは、女。
     長い黒い髪。白い肌。淡い紫の着物に深紅の帯。血濡れた姿。
     地下室の惨状を引き起こしたのは、この女。
     閉じられた瞳が、ゆっくりと開かれる。

    「あら…、まぁ……。素敵なお方」
    「名は」
    「…………お教えしたいけど、ナイショです」

     真っ黒な深淵のような瞳。
     女は仮面の男と目を合わせ、ほんのりと頬を染める。
     男の言葉に、女は恥ずかしそうに身をよじり、考えこむように眉根を寄せる。そして、困ったように微笑む。
     真の名を聞いて、答えないことは想定済み。それに対して納得し、男はまた尋ねる。

    「何と呼べばいい」
    「…………アサシン――」
    「やはりか」

     探したが、コレだと決定打にできる物は見つからず、何も触媒にせず召喚儀式を行った。何が出るかと思えば、まさか一番想定していなかったアサシンだとは──。
     扱いづらいバーサーカーが来なかっただけ良しとしよう。
     仮面の男は、右手の甲に刻まれた、赤い痣に目を落とす。魔力をほんの少しでも込めれば、目の前の女と繋がっている感覚。ちらりと視線を上げれば、頬を染めた女がふわりと笑んだ。

    「あっ」
    「なんだ」
    「いえ!私、召喚されたらやってみたかった事があって……」
    「やってみたい事……?」

     女が両手を合わせて、強請るように上目遣いをする。
     何か危険な事をやり始めるならば、この痣を一つ消費すればいいだけ。仮面の男はそう考え、女に頷いてやった。
     女はぱあっと笑顔になる。わざとらしく咳払いをして、髪をさっと整え、着物をはたいて埃を払う。返り血はそのままでいいらしい。
     女は顔を上げて、仮面の男を見る。着物の裾をドレスのように摘み、片手を自分の胸に置く。

    「サーヴァント─アサシン。召喚に応じ参上しました。
     貴方が、私のマスターですか?」
    「とんだ茶番だ。だが、あえて応えよう。
     アサシン。私がお前を喚び出した。私に勝利を─」
    「えぇ─。えぇ─……!勿論ですわ。私にお任せください、マスター。
     貴方に、血と叫喚で溢れた、輝かしい聖杯をもたらすのは、この私─アサシンでございます」

     アサシンのお遊びに、仮面の男は付き合ってやる。
     それが望みならば、それで満足するのならば、こんな些細な事、叶えてやるのは造作もない。
     仮面の男が、女との繋がりを示す印を差し出す。女は幼子のようにはにかみ跪く。
     その印に、口づけを落とす。

     ここに、聖杯戦争の一角を担う、アサシンとそのマスターが誕生した。
     
     ――――――――――――
    ①食事

    「おいしい〜!こんなに柔らかいお肉はじめて〜」

     アサシンはフォークとナイフを使い、皿に盛られたステーキ肉を頬張る。
     おいしい。おいしい。と、幸せそうに食べている。その姿を見て、マスターである王翦は、こんなもの特に代わり映えのしないものだろうと、アサシンと同じものを口にしている。

    「王翦様。確認を一つ、させてもらってもよろしいでしょうか」
    「何が聞きたい」
    「サーヴァントとは、食事を必要としないはずでは……」
    「……私もそのように聞き及んでいるが。中には、嗜好品として愉しむ者もいるらしい」
    「そーですよー!私は食べる事が大好きなので、味もわかるなら食べなきゃ損じゃないですか」

     アサシンが普通の人間のように食事をする姿。それに疑問を抱く側近の亜光。
     サーヴァントにも色々あるのだと、書物だけではわからない未知の存在なのだと、改めて実感をした。

     ――――――――――――
    ②名前

    「なんだか懐かしい気配がするんです」
    「生前の知己か」
    「そうですね……」

     聖杯戦争の参加者は皆、各々のサーヴァントを召喚し、戦いは始まっている。だが、いまだサーヴァント同士の戦闘は観測されず、潜伏と情報収集をしているらしい。
     かくいう王翦も、己のサーヴァントを理解する時間を取っている。
     服装からして年代は古い時代。顔立ちは日本人寄り。知識は聖杯から貰っていると言っているため、断定はできないが、おそらく明治以前の日本人ではないかと推測している。
     アサシンというクラス。扱う武器。人の死と血と臓物を好む性質。軍人には見えないため、忍という存在か。

    「名は言えぬか」
    「…………恥ずかしいのです」

     サーヴァントの本当の名前。それは、サーヴァント本来の力を引き出すための道標。他の者に知られれば、明らかな弱体・弱点になり得る。
     だから教えない。と言うなら理解もできるが、恥ずかしいからという理由には溜息が出る。

    「アサシン─。それは、今だけ、この時だけ、私だけを指す名前です。貴方には、そう呼んでほしいのです」
    「──アサシン」
    「はい、マスター」

     裏切らないのなら。勝利を運ぶという言葉に偽りがないのなら、名などはどうでもいい。
     
     
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Rxme07Nysn

    DONEえむ氏から「晴天」とお題をもらって書きました
    自カプの白珠くんと亜光様のお話です

    晴天ぽさがなくなりましたことをお詫びします
    晴天 メーデー メーデー 本日は晴天なり


    「何だそれは?」
    「知らん。鈴音が言ってた」

     隣で手製の矢を作る白珠が、空を見上げた。聴き慣れない響きの言葉に、剣の手入れを止める。
     鈴音はたまに、意味のわからない言葉を使う。どこから来たのかもわからない女の言葉に、耳を傾けるものじゃない。それはわかっているのだが、妙に耳に残る言葉。
     なんて言ってたかな、たしか…、そう。豊穣を司る女神のための日。だったかな。

    「女神か」
    「ははっ!女神なんて眉唾もん信じて、鈴音もかわいいよな」
    「女系の神を信仰しているのも珍しい」
    「あと面白い事言ってたぜ?」
    「面白い?」
    「俺は春みたいなんだってよ」

     少し嬉しさが強くはにかむ。
     常ながら「もう少し落ち着け」と言われて、白珠は遺憾を感じていた。精密な矢を放つための集中力や洞察力だってある。それなのにこれ以上どう落ち着けと言うのか。辟易としていた時に、鈴音から「春みたいに暖かくて、生命に満ちていて、小さなお花みたいなかわいらしさがあります」そう言われた。かわいらしいという言葉には反論したいが、褒められている事に変わりはないだろうと、素直に受け取った。
    1609

    recommended works