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    Rxme07Nysn

    @Rxme07Nysn

    ツイートしてない自カプの短編
    よその夢カプさんを書いたのものせるかも

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    Rxme07Nysn

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    どんこちゃんさんがくれたお題で書きました!
    【白珠くんイメージで「小さくても、守る気持ちは大きいんだ!」】
    白珠くん風にちょっとセリフ変えてます
    このあと亜光様に無茶するなと怒られている思います

    小さくても、守る気持ちは大きいんだ! がさがさと、枝葉を揺らす。自然とはかけ離れた違う揺れ方。
     生茂る葉からがざりと顔を出し、辺りを見回し、足をかけた枝から飛び降りる。
     一際大きくがさっと音を鳴らしながら、地面に軽く着地をする。

    「お疲れ様です隊長」
    「どうでしたか」
    「敵影はなし。煙も見えないから、この辺は安全だな」

     野営を張るため、辺りの散策を。
     白珠は小柄で身軽な体躯を活かし、一番背の高い木を見定め、上まで登り周囲の安全確認をしていた。
     幼い頃から山を走り、山で育った身体能力と、遠くを見通す視力。散策には適した能力を持っている。

    「白珠は小さいから、どこにでも行けていいな」
    「狭いとこも入れて便利だよなあ」
    「ガキどもと並んでも違和感ないし」
    「うるせえな。お前等が馬鹿でかいだけなんだよ」

     天幕を建てながら、白珠の率いる隊とは別の隊の兵士達が、白珠のクセのある髪を乱暴に撫でつけながら笑う。
     頭二つ〜三つ分は大きい兵士達。恵まれた身体を持っていると、羨ましいと思うこともなくはない。小柄で愛らしいなんて言われても、男としては嬉しくもない。それでも白珠は、己の小さな身体が嫌いではない。


      
     歩兵が戦場を駆ける。剣と槍、盾を構え、血を吐きながらも、道を切り拓くため、走り抜ける。騎馬を通すための道筋を。
     悲鳴と汚泥にまみれながらも、歩兵は前を向く。振り下ろされる刃の先端に、太陽の照りつけに目蓋を閉じかけるが、刃の持ち主は崩れ落ちる。辺りにいた敵兵は次々と倒れ伏す。

    「おらおらボサッとすんなお前等ッ!」
    「白珠?!なんで弓隊がここに…」
    「小柄で狭いとこに入れるからな」

     弓隊を引き連れ、自らは下馬して弓を番えている。近距離戦は向かないはずなのに、こんな奥深くまで入り込み、白珠は得意気に笑っている。
     窮地を救われ、しきれないほどの感謝はあるが、類稀な能力を持っている白珠に何かあれば、軍の痛手になってしまう。
     だが歩兵達も負傷しており、周りの弓兵に指示を出す白珠の背を見つめるしかできない。
     その白珠の足元で、かすかに動く腕。傷が浅かったのか、起き上がった敵兵が、白珠に向かう。
     白珠は剣術が得意ではなく、護身用でも刃は持っていない。弓矢しか携えていない。

    「白珠ッ!」
    「隊長左斜め後ろです!」

     白珠に危険が迫っていると気づいたのは、弓隊の部下達も同じだったが、危険の報せ方が少々特殊だと頭の片隅で感じた。
     弓と矢を片手づつに持っていた白珠は、矢を逆手に持ち替え、振り返る勢いと同時に振りかぶった矢を敵兵の眼球に突き立てる。
     視界を潰され狼狽える敵兵を蹴り飛ばし、至近距離から弦を引き、眉間に矢を放つ。
     あまりに流麗すぎるその動きに、呆気というよりは見惚れてしまっていた。

    「まだ生きてんぞッ!?軽い矢射ってんじゃねえぞお前等ッ」
    「すみませんッッ」
    「一射一殺が無理なら百射叩き込めって教えたろうが!」

     小柄で、活発で、大きく口を開いて笑う。暖かい雰囲気の合う男。白珠は裏表のない性格で、思い切りがいい。
     そんな男の怒号混じりの激。容赦のない冷酷無比な弓。
     精確で精密な弓さばきだとは知っていたが、まさかここまで、近接戦でさえ弓で熟してしまう天才。

    「ははっ。思い知ったか?」

     背を見せていた白珠が、肩越しに口角をあげ、八重歯を見せる。

    「小さくたって、守る気持ちはでけえんだよ」
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    Rxme07Nysn

    DONEえむ氏から「晴天」とお題をもらって書きました
    自カプの白珠くんと亜光様のお話です

    晴天ぽさがなくなりましたことをお詫びします
    晴天 メーデー メーデー 本日は晴天なり


    「何だそれは?」
    「知らん。鈴音が言ってた」

     隣で手製の矢を作る白珠が、空を見上げた。聴き慣れない響きの言葉に、剣の手入れを止める。
     鈴音はたまに、意味のわからない言葉を使う。どこから来たのかもわからない女の言葉に、耳を傾けるものじゃない。それはわかっているのだが、妙に耳に残る言葉。
     なんて言ってたかな、たしか…、そう。豊穣を司る女神のための日。だったかな。

    「女神か」
    「ははっ!女神なんて眉唾もん信じて、鈴音もかわいいよな」
    「女系の神を信仰しているのも珍しい」
    「あと面白い事言ってたぜ?」
    「面白い?」
    「俺は春みたいなんだってよ」

     少し嬉しさが強くはにかむ。
     常ながら「もう少し落ち着け」と言われて、白珠は遺憾を感じていた。精密な矢を放つための集中力や洞察力だってある。それなのにこれ以上どう落ち着けと言うのか。辟易としていた時に、鈴音から「春みたいに暖かくて、生命に満ちていて、小さなお花みたいなかわいらしさがあります」そう言われた。かわいらしいという言葉には反論したいが、褒められている事に変わりはないだろうと、素直に受け取った。
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