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    Rxme07Nysn

    @Rxme07Nysn

    ツイートしてない自カプの短編
    よその夢カプさんを書いたのものせるかも

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    Rxme07Nysn

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    えむ氏から「晴天」とお題をもらって書きました
    自カプの白珠くんと亜光様のお話です

    晴天ぽさがなくなりましたことをお詫びします

    晴天 メーデー メーデー 本日は晴天なり


    「何だそれは?」
    「知らん。鈴音が言ってた」

     隣で手製の矢を作る白珠が、空を見上げた。聴き慣れない響きの言葉に、剣の手入れを止める。
     鈴音はたまに、意味のわからない言葉を使う。どこから来たのかもわからない女の言葉に、耳を傾けるものじゃない。それはわかっているのだが、妙に耳に残る言葉。
     なんて言ってたかな、たしか…、そう。豊穣を司る女神のための日。だったかな。

    「女神か」
    「ははっ!女神なんて眉唾もん信じて、鈴音もかわいいよな」
    「女系の神を信仰しているのも珍しい」
    「あと面白い事言ってたぜ?」
    「面白い?」
    「俺は春みたいなんだってよ」

     少し嬉しさが強くはにかむ。
     常ながら「もう少し落ち着け」と言われて、白珠は遺憾を感じていた。精密な矢を放つための集中力や洞察力だってある。それなのにこれ以上どう落ち着けと言うのか。辟易としていた時に、鈴音から「春みたいに暖かくて、生命に満ちていて、小さなお花みたいなかわいらしさがあります」そう言われた。かわいらしいという言葉には反論したいが、褒められている事に変わりはないだろうと、素直に受け取った。
     春みたいな人間ってなんだ?と、思わないわけではないが、春というものに悪いイメージもない。白珠はけらけらと笑った。

    「春もいいが……」
    「あん?」
    「どちらかと言えば、お前は夏だろう?」
    「…………その心は?」

     そう問われると困る。だが言ってしまったからには答えなければ。
     白珠が春と聞いてから、違和感があった。春のような命の芽吹きも、生き物の目覚めも、瑞々しさも、白珠には合わない。
     白珠は、突き抜ける青空。雲のない広がる蒼天、どこまでも広がるその開放感。蒼穹とは、この男を表してもいいだろう。名前に似た、白日の笑み。虫と言えば怒るかもしれないが、夏に生まれる生き物のように、小柄な体躯を動かし跳ねる。生命力に満ちているのは、たしかにそうだった。
     それを、どう言うべきか。亜光は押し黙る。包み隠さず言ってもいいが、さすがに気恥ずかしい。白珠はきっと「何だそれは」と眉を顰めて笑う。
     口を閉ざす亜光を、不思議そうに見る白珠。何をそんなに悩む事があるのか。本当は思っていないんだろ。少々不満げな表情を浮かべるが、この堅物が嘘をついたり、その場を凌ぐための言い繕いもしないと知っているため、仕方ないからおとなしく待ってやる。
     やっと、意を決したのか顔を上げる。白珠も、おっと、表情を軽くさせる。

    「お前は、今日の空模様のようだ」

     やっと、観念して絞り出した。一番当たり障りのない言葉。いや、白珠は晴天が合うと、素直に感じている。
     やはり言うべきではなかった。何を口走っているのか。自己嫌悪に陥り、片手で顔を覆う。

    「お前……」
    「悪い、忘れ、」
    「女口説く練習俺でしてんじゃねえよ」
    「していない」

     なぜそうなる。お前が始めた話に巻き込まれたのはこちらで、お前が言えと言うから考えだして、それに乗ってやったというのに、とんだ言われようだ。溜息をつくと、白珠が更に顔を顰める。そして、肩を震わせ笑い出す。

    「いやー!へったくそな口説き文句だな」
    「うるさい。そもそも口説いていない」
    「いや~?口説かれたぜ?一応刺さった」
    「それは良かったな」

     からからと笑い、亜光の肩を強めに叩く。白珠の機嫌はすこぶる良くなり、ごろりと寝転がる。
     そうか、夏か。春より好きかもしれん。太陽みたいに笑うからって、母さんに言われたのを思い出す。亜光にもそんなこと言われたら、腹がよじれるほど笑っちまいそうだ。
     まだくつくつと笑う白珠に、楽しそうならばいいかと、諦めがつく。
     空を見上げる。

     本日は晴天なり。
     俺だって、お前といると陽光に照らされたみたいで、明るい明日が見えるんだ。
     
     
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    Rxme07Nysn

    DONEえむ氏から「晴天」とお題をもらって書きました
    自カプの白珠くんと亜光様のお話です

    晴天ぽさがなくなりましたことをお詫びします
    晴天 メーデー メーデー 本日は晴天なり


    「何だそれは?」
    「知らん。鈴音が言ってた」

     隣で手製の矢を作る白珠が、空を見上げた。聴き慣れない響きの言葉に、剣の手入れを止める。
     鈴音はたまに、意味のわからない言葉を使う。どこから来たのかもわからない女の言葉に、耳を傾けるものじゃない。それはわかっているのだが、妙に耳に残る言葉。
     なんて言ってたかな、たしか…、そう。豊穣を司る女神のための日。だったかな。

    「女神か」
    「ははっ!女神なんて眉唾もん信じて、鈴音もかわいいよな」
    「女系の神を信仰しているのも珍しい」
    「あと面白い事言ってたぜ?」
    「面白い?」
    「俺は春みたいなんだってよ」

     少し嬉しさが強くはにかむ。
     常ながら「もう少し落ち着け」と言われて、白珠は遺憾を感じていた。精密な矢を放つための集中力や洞察力だってある。それなのにこれ以上どう落ち着けと言うのか。辟易としていた時に、鈴音から「春みたいに暖かくて、生命に満ちていて、小さなお花みたいなかわいらしさがあります」そう言われた。かわいらしいという言葉には反論したいが、褒められている事に変わりはないだろうと、素直に受け取った。
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    Rxme07Nysn

    DONEまゆさん宅の王神美(わんしぇんめい)ちゃんとみくに宅の鈴音ちゃんの初邂逅のお話
    つーさん宅のサキちゃんのお名前を一部お借りしています
    宗金さんというのは、鈴音ちゃんの夢小説に出しているオリキャラさんの名前です
    勢いの走り書きです。神美ちゃんの口調が迷子。おかしなところがあってもご了承ください。
    王神美と鈴音「今日の貢物です」
    「悪いな毎度」
    「思ってないですねぇ……」

     鈴音は王翦から預かった食材を手土産に桓騎邸へと向かう事がある。野盗時代のアレコレが聞きたくて、たまに個人的に遊びに行っているのだ。

     
     桓騎邸に居候している元野盗の兵達。その中に、怪力剛力無双のゼノウ率いる一家もいる。
     鈴音は是非その腕力について聞きたいと、今日は好物だと聞いた肉を携えてやって来た。
     
    「と、思ったんですが。言葉が微妙に通じませんね」
    「微妙どころじゃねえだろ」
    「こんなん戦闘民族だろ」
    「……サイヤ人」
     
     お目付役兼保護者として付いてきた宗金、桓騎邸での案内人厘玉。
     「お土産です」と肉を差し出した瞬間に引ったくられ争奪戦が始まるのを見ながら、鈴音は噂で聞いていたけどと感心。宗金も初めて目の当たりにするためドン引き。厘玉は相変わらず動じない鈴音に驚きはなかった。ただ、ほんの少しそわついている厘玉が、鈴音と宗金は少し気になっていた。
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