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    Rxme07Nysn

    @Rxme07Nysn

    ツイートしてない自カプの短編
    よその夢カプさんを書いたのものせるかも

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    Rxme07Nysn

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    どんこちゃんさんから、せんすずで「今日は世界で一番幸せです」というお題をいただき書きました!

    鈴音ちゃんにとっては、毎日が一番幸せなので書くのに苦戦しましたが楽しかったです。

    今日は世界で一番幸せです 数騎の騎馬が駆ける。辺りは夜闇。星月夜ではあるが、雲に隠れてか細い。
     目視の先に篝火が見え、馬の歩を緩める。

    「戻ったか」
    「外はどんな具合だった」
    「十人の斥候でした。東の小さな森に散らばっていたので、仕留めてきましたよ」

     馬を降りながら、得意げに話す鈴音。愛馬の首元を撫でて、共にいた兵士に同意を求める。
     荒野に点在する城の一つ。王翦軍は行軍中、近くにあったこの城で足を休めた。丁重なもてなしを受けながら、道中に気付いた驚異。鈴音が自ら行くと志願し、数人と共に警戒に出た。
     案の定敵国の密偵がおり、全ての命を刈り取った。生捕りとも逃がせとも言われていない。ただ、驚異を払え。そう言われていた。
     どこから来た?何をしに来た?他に仲間は?
     鈴音が丁寧に聞き出し、近く戦はないようだが、警戒するにこしたことはない。
     その情報を持ち帰り、鈴音は血濡れのまま王翦に報告へ行くため城内を歩く。軍の兵士とすれ違い無事だったかと声をかけられ、鈴音は笑みを返した。

    「あ、鈴音。王翦様は今外におられるぞ」
    「外?なんで?」
    「城主と話されている」

     あぁ、なるほど。呼び止められて、鈴音は踵を返して外を目指した。
     階段を登って外への出口から顔を出す。辺りを見渡して、王翦の姿を見つけてぱたぱたと走る。近くには身なりの良い壮年の男と、甲冑を纏った若い兵士。着飾った娘と、侍女がいた。
     邪魔をしないほうがいいか。鈴音は残念そうに眉を下げて、来た道を戻ろうと足を止める。
     ふと、王翦が鈴音を振り返った。

    「ぁ、おうせん…さま」
    「戻ったか。此方へ来い」
    「はっ、はい!」

     思わず名前を呼ぶと、王翦からも呼ばれて、背筋を正して慌てて駆け寄る。
     普段ならばそのまま口を開くのだが、知らない人間がいるため、鈴音は片膝をついて拝手をする。それができるほどの礼儀くらいはあるため、様になったその姿で、鈴音は外での出来事を包み隠さず告げる。

    「ふむ。残しはないのだな」
    「はい。念入りに、芽を潰しました」
    「よくやった」
    「お役に立てて光栄でございます」

     その一言に、鈴音は伏せた顔を綻ばせる。頬を染めて、込み上げる嬉しさから、握った拳にぎゅうと力が入る。
     王翦様が褒めてくれた。頑張ってよかった。私が行くって言ってよかった。嬉しい……。
     歓喜に震えるその身。王翦から楽にしろと言われ、鈴音は体勢を崩して立ち上がる。
     視線に気づいて、顔を横にやる。

    「ひっ……」
    「……………………」

     この城の城主とその娘。その護衛と侍女。全員が、鈴音に怯えた瞳を向け、青ざめた顔のまま身を強張らせている。
     その様子が、鈴音には何なのかわからなかった。すぐに、理解した。
     あぁ、私、怖がられているんだ。こんなに血みどろだもの、仕方ない。でも、そこまで怯えなくても……。
     気分が一気に下がったように、高揚していた気持ちはなくなり、瞳は凍てつく。せっかく王翦様に褒められたのに。鈴音は最悪だと、小さくため息をはいた。

    「おんななのに……」

     ぽつりと、無意識であろうこぼされた言葉。鈴音の肩が揺れる。
     女が戦場に出て何が悪い。好きな人のために、得意なことを武器にして何が悪い。人殺しが好きな私を、私のことなんて何も知らないくせに、女だからって、その一言でくくらないで。
     大袈裟に深呼吸をして、鈴音は己を落ち着かせる。娘の言葉に反射で言い返せば、この城の王翦への心象が悪くなる。王翦の顔に泥を塗ってしまう。それだけは避けなければと、鈴音は爪が食い込むほどに拳を握りしめ我慢する。
     ぱっと顔を上げて、王翦にだけ綺麗に腰を折って、城の中に戻ろうと体をひねる。

    「待て」
    「いだぁっ!?」

     伸びた手が鈴音の後ろを向きかけた顔を掴んで、ぐいと強引に引き寄せられた。首元に燃えるほどの痛みが走りながら見上げると、距離が近い王翦に真上から見下ろされていた。

    「あ、あの……、報告は終わり、ましたので。私はこれで……」
    「まだ残っているだろう」

     王翦の言っていることがわからない。報告はあれで全てであり、これ以上ここにいる意味はない。これ以上自分を惨めに思ってしまうまえに、早くいなくなりたかった。
     鈴音の不安げに揺れる瞳。王翦の手が、鈴音の頬を撫で、鈴音も気づいていない首元の渇いた血液を撫でる。

    「お前は私の護衛だ」
    「は……、あ、は、はい……」

     たしかに、護ると決めた。勝手に貴方のために全てを捧げると誓っている。
     鈴音は王翦軍の兵士で、王翦に個人的に仕える存在。
     視界が熱く、滲んでくる。震える唇でなんとか頷くと、王翦の手がやっと鈴音から離れた。

    「では、私はこれで失礼する」
    「い、いや!まだ、お話はッ……」
    「終わりだ」
    「そんな……」

     城主の男が必死に王翦を呼び止めているが、相手にせず王翦は歩く。鈴音ともう一人の護衛はその後を追いかける。ちらりと、後ろを振り向くと、娘が鈴音を睨むように見ていた。

    「本当に、よろしいのですか……」

     鈴音の言葉に、王翦が立ち止まる。

    「部下を侮辱された。立ち去る理由には充分だ」

     振り返らないまま、王翦はまた歩き出す。
     時が止まったようで、鈴音は動けない。
     ついてこない鈴音に、王翦はやっと振り返る。

    「鈴音。来い」
    「っ……、はい、王翦様!」

     王翦様。王翦様。鈴音は、貴方と出会えて、貴方のおそばにいれて、幸せです。
     毎日が幸せなのです。だから、こう言うのはちょっと違うんですけど、でも、やっぱり、云わせてください。
     今日は世界で一番幸せでございます。
     
     
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    Rxme07Nysn

    DONEえむ氏から「晴天」とお題をもらって書きました
    自カプの白珠くんと亜光様のお話です

    晴天ぽさがなくなりましたことをお詫びします
    晴天 メーデー メーデー 本日は晴天なり


    「何だそれは?」
    「知らん。鈴音が言ってた」

     隣で手製の矢を作る白珠が、空を見上げた。聴き慣れない響きの言葉に、剣の手入れを止める。
     鈴音はたまに、意味のわからない言葉を使う。どこから来たのかもわからない女の言葉に、耳を傾けるものじゃない。それはわかっているのだが、妙に耳に残る言葉。
     なんて言ってたかな、たしか…、そう。豊穣を司る女神のための日。だったかな。

    「女神か」
    「ははっ!女神なんて眉唾もん信じて、鈴音もかわいいよな」
    「女系の神を信仰しているのも珍しい」
    「あと面白い事言ってたぜ?」
    「面白い?」
    「俺は春みたいなんだってよ」

     少し嬉しさが強くはにかむ。
     常ながら「もう少し落ち着け」と言われて、白珠は遺憾を感じていた。精密な矢を放つための集中力や洞察力だってある。それなのにこれ以上どう落ち着けと言うのか。辟易としていた時に、鈴音から「春みたいに暖かくて、生命に満ちていて、小さなお花みたいなかわいらしさがあります」そう言われた。かわいらしいという言葉には反論したいが、褒められている事に変わりはないだろうと、素直に受け取った。
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    Rxme07Nysn

    DONEまゆさん宅の王神美(わんしぇんめい)ちゃんとみくに宅の鈴音ちゃんの初邂逅のお話
    つーさん宅のサキちゃんのお名前を一部お借りしています
    宗金さんというのは、鈴音ちゃんの夢小説に出しているオリキャラさんの名前です
    勢いの走り書きです。神美ちゃんの口調が迷子。おかしなところがあってもご了承ください。
    王神美と鈴音「今日の貢物です」
    「悪いな毎度」
    「思ってないですねぇ……」

     鈴音は王翦から預かった食材を手土産に桓騎邸へと向かう事がある。野盗時代のアレコレが聞きたくて、たまに個人的に遊びに行っているのだ。

     
     桓騎邸に居候している元野盗の兵達。その中に、怪力剛力無双のゼノウ率いる一家もいる。
     鈴音は是非その腕力について聞きたいと、今日は好物だと聞いた肉を携えてやって来た。
     
    「と、思ったんですが。言葉が微妙に通じませんね」
    「微妙どころじゃねえだろ」
    「こんなん戦闘民族だろ」
    「……サイヤ人」
     
     お目付役兼保護者として付いてきた宗金、桓騎邸での案内人厘玉。
     「お土産です」と肉を差し出した瞬間に引ったくられ争奪戦が始まるのを見ながら、鈴音は噂で聞いていたけどと感心。宗金も初めて目の当たりにするためドン引き。厘玉は相変わらず動じない鈴音に驚きはなかった。ただ、ほんの少しそわついている厘玉が、鈴音と宗金は少し気になっていた。
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