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    ワンドロにキス描写ありましたので、こちらにあげ直しました。

    お題「チョコレート」キ学あかれんです(46mni)

    甘くて、苦い。 杏寿郎が大人だな、と思う時はいっぱいある。
     まあ、十歳も離れてれば当たり前なんだけど、知識があるからとにかく色んなことを知ってる。職業柄もあるだろうけど、本もたくさん読んでるからかな、あれ。とにかくガキの俺は教えてもらうことばっかりだ。
     で、最近一番かっこいいな、て思うのがあれ。コンビニとかで最近よく見る、パッケージにカカオ70パーセントとか85パーセントとか書いてるチョコレート。
     前にもらって食ったけどさ、すんげー苦いの。口がバカになるかもってくらい苦かかった。あの舌の感触が、ブラックのコーヒー初めて飲んだ時に似てる。人のくいものなのかほんとに、てレベル。で、何がびっくりってその苦い苦いチョコレートで赤ワイン飲むんだぜ?オシャレ過ぎるだろ。
     かっこよくて何でも知ってて、色んなことをガキの俺に教えてくれる年上の恋人。

     いつか追いつきたいけど、そんな日はやってくんのかな。



     まだ高校生の猗窩座の前では、なるべくアルコールを飲まないようにしていた。教育上良くないし、うっかり自分も飲む、なんて言われると困るからだ。もちろん飲ませる気はないが。
     けれど宇髄からもらったイタリアの甘い赤ワインがあまりにも美味そうだったのと「これにはカカオたっぷりの苦いチョコレートが合うんだぜ」という誘惑に負けてしまい、猗窩座が泊まりきた金曜の夜にその組み合わせを試すことにしたのだ。
     クッションに尻をつい、て二人でソファではなくカーペットに並んで座った。猗窩座は、その方がリラックスするらしい。
     グラスにもらった赤ワインを注ぐのを、猗窩座は不思議そうに見ていた。

    「すっげ。なんか甘い匂いする、バニラビーンズと木の匂い混ぜたみたいな」

     マルサラ、というアルコール度数の高いこのイタリアワインの香りを、素人ソムリエはそう評した。ワインを注いだグラスを珍しそうに眺めている。杏寿郎も詳しいわけではないが、あながち言うことは間違ってはいない。

    「確かにそんな香りがする」
    「だろ?なあ、舐めたらだめ?」
    「ダメだ」

     ぴしゃりとそう言ってから、杏寿郎はマルサラを口に運んだ。甘い味に反比例してアルコールがとにかく強くてきつい。少し含んだだけで、口の中が熱くなった。

    「…けち」
    「二十歳までまで、未成年」
    「杏寿郎、こんな時ばっかり先生ぶるよな」

     失礼だな、と飲みながら思った。このお子様には、生活態度やら何やら含め、それなり厳しくしてるつもりだ。

    「甘いがアルコールが高い。どっちにしろ君には無理だ。たぶん美味しくないぞ」

     そう言って、杏寿郎はカカオ75パーセントてま書かれたチョコレートを手にとり、包み紙を外して中身を口に含んだ。
     甘い酒の味に苦いこのチョコレート。確かに宇髄が言うとおり相性が良い。

    「チョコレートなら食べていいぞ」
    「やだ。それ苦いから」

     猗窩座は不満そうにそう言って、マグカップのココアを飲んだ。確かにそんな甘いものを飲んでいる子どもに、高カカオのチョコレートはまだまだ早い。

    「美味い?」
    「ああ」

     杏寿郎が満足気にそう言うと、猗窩座はココアを持ちながら、その大きな目でじっと杏寿郎を見つめてきた。
     なんとなく、ドキリとした。何故って、まだまだお子様だと思っていたその顔が、急に大人びて見えたからだ。
     少し気まずくなって、グラスのマルサラを多めに飲んだが、やっぱりアルコール度数が高い。すぐに体が熱くなった。勢いで飲むものではないな、と思いながらグラスを置くと、隣に並んで座っていた猗窩座の手が、横からスッ、と伸びてきた。

    「こら、」
    「やっぱり気になる」

     ボソリと呟いてから、猗窩座はその手で杏寿郎の顎を掴んで、キスしてきた。驚いて一瞬固まったのをいいことに、猗窩座は歯列をなぞり、舌まで入れてきた。

    「ン、…うっ!」

     離せ、と声にならない悲鳴をあげたところで、猗窩座はパッと口を離した。

    「甘いけどやっぱりまずい、苦いし」
    「…君なあ、」
    「俺、杏寿郎の好きなもの共有したいけどさ、良さがわかんないな。なんか寂しい」

     予想外の言葉に、杏寿郎も怒る気は失せた。ずいぶんと可愛いことを言う。

    「なら、寂しくないように違うことを共有するか?」
    「…違うことって?」

     わざと聞いているのか、本気でわからないのか。微妙な線だな、と思いながら、杏寿郎は可愛い歳下の恋人の体を、そのままカーペットの床に押し倒した。
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    MOURNING年末に書いたこたつでまったりする現パロ猗窩煉です。完結の予定がないけどみかん食う猗窩煉見て欲しいのでアップします。めちゃめちゃ中途半端に終わってます。年の暮れ、午後3時頃。ストーブで十分に温まった居間の中央に置かれたこたつに、2人は向かい合って座っていた。

    年末の特番をぼんやりと眺めながら、特に内容の無い会話を繰り返して時が過ぎて行く。時折微睡んでは意識を取り戻して、またテレビを眺める。

    そんな穏やかで何気ない日常が何よりの非日常だった。だからこそ、こうして時間を消費してしまうことがどこか惜しくも感じる。

    何か仕掛けてやりたくて、猗窩座は突然こたつから這い出て立ち上がった。
    杏寿郎は相変わらずテレビで流れているお笑い番組に時々ふふ、と笑い声を漏らしながら眠そうに目をこすっていた。

    動かないとわかると、この場で仕掛けてやるしかなくなる。杏寿郎が座って潜り込んでいる横にわざわざ並んで座った。

    「……何をしてるんだ」

    「何がだ」

    欠伸をひとつしながら、狭い、と身を寄せるが、それを好機とばかりに体をねじ込んで居座る。

    「……なんでこっちに来るんだ」

    「この方が温い」

    そう言いながら、ぴたりと身を寄せ合う形で同じ位置に納まる。足元だけでなく、密着したところから広がるお互いの温もりで全身が温かくなってくる。

    しばらくはそう 1817