狂っているのは ある日を境に、プリークリーがおかしくなった。
いや、おかしくなったのではなく、正確には奇妙になった、が正しいかもしれない。
プリークリーはいたって正常であった。しかし正しく異常でもあった。どこをどうとってもそれはプリークリーであるのに、全く違うモノと会話をしているような、そんな。
626号を──スティッチのことを知っていた。リロやナニをオハナと呼び、ジャンバをよく窘めた。彼の大きな目はぎょろぎょろと忙しなく動いていて、三本しかない指でティーカップの縁を摘んでいた。
いつも通り叔母のようにふるまい、家事をし、虫が居ればジャンバに飛びつく……嬉しさで。
正常だ。普段通りの、ジャンバのよく知るプリークリーが、それだった。
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