4-5 調査を始めてから数日。朝、エミリオが研究室へ向かっている途中のことだ。アイザックが一人、廊下の端に佇み、中庭を見つめていた。どこか思い詰めたような表情なのは気のせいだろうか。あまり関わりたくはないが、挨拶をしないのも失礼かと思い、勇気を振り絞って声をかけた。
「こんにちは、コーネリアス侯爵」
弾かれたように彼は振り返る。驚いた顔は一瞬で、すぐにいつもの高慢な視線でエミリオを見下ろす。
「これはこれは、エミリオ卿。ご機嫌いかがかな?」
未だに彼に慣れないエミリオはついつい視線を逸らしてしまう。
「驚きましたよ。まさかあなたがアレイスターの肩を持つようなことをするとは」
「…やはり、今回のあなたの依頼はシエラ侯爵を陥れるためのものだったのですね」
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