ショートナルミツ1.わんわんナルミツの後話。
「久しぶりだな。矢張。」
「ヒェッ………………なんで、ここに…………?」
「私がここに居てはいけない理由があるのか?」
つまみや缶ビールを自宅の冷蔵庫へ入れる後ろで、今まさに一方的な狩りが行われようとしていた。背筋が震えるのは冷気のせいだと思いたい。微笑む、というより顔を歪ませるように口角を上げる自分の恋人の顔。それを見て怯え慄いているのは親友の矢張政志という男だった。矢張はバッと視線を動かして、忙しいフリをしている自分を凝視してくる。予想通りだったので気付かないフリも追加でしてやった。
「成歩堂っ!どういうことだよ!なんでここに御剣がっ…!?」
「(うわっ…話しかけてきたよ…)…それを話すと長くなるんだけど、まあバレたからだよな。お前が今日来ることが。あ、水も冷やしとこ。」
9861