2.セックスできたナルミツ最近、幾つかの弁護依頼を受けた成歩堂龍一は相変わらずクセの強い依頼人との面会や証拠集め、法廷弁論などを終えたばかりだった。
「つ、つかれた…朝からぶっ通しなんて久しぶりだったな…、昨日もあんまり寝れてないし、…もう、18時かぁ…。」
「お疲れ様!ナルホドくん!」
「お疲れ様です!ナルホドくん!」
ひょこ、ぴょこ、と可愛らしい音とからころとした下駄の音が立ち、真宵と春美は非常に疲れた面立ちをしている成歩堂を言葉で労った。
「一気にお客さん増えたよねー!そういうシーズンなのかな」
「まあ!そうなのでしょうか。カゼの噂では、沢山お客様がいらっしゃる時、何かお得になるような物を作ると良いと聞きます!わたくしたちも何か作った方がよろしいのでは?ナルホドくん!」
春美は頭頂部で結んだ可愛らしい髪をぷよりと揺らしながら手足をぱたぱたと振り案を出す。
「真宵ちゃん、依頼人に旬なんか無いよ。それに春美ちゃんも、弁護士がそんなことしちゃ…。」
「さーっすがハミちゃん!天才だねぇこりゃ」
真宵はニッと笑うとくるりとその場を一回転。春美に向かって、ビシリ!と人差し指を向け「いぎなし!」と称賛の声を浴びせる。春美は指同士を変わった形にくっつけ顔に添えると、そんな…と頬を薔薇色に染め上げた。
「と言うわけでナルホドくんや!ポイントカードとかつくろうよ!成歩堂ポイントカード!本屋さんっぽいし、なんか分厚い本ジムショにいっぱいあるし。」
「本屋だと思われたら困るよ。しかも弁護関係ないじゃない。後ね、あれは事件の概要が乗ったファイルなの。何回も言ってるけど。この前フリーマーケットに出そうとしてたけど!」
「カードの色何にする」
「やはり紫でしょうか!真宵様カラーです!」
「ええー!照れちゃうなー!!」
「(…マッタク聞いてないな。)」
きゃいきゃいとカードのデザインについて花を咲かせている二人を諦観の念で眺めていると、ポケットの携帯電話から着信音が鳴る。
宛先を見て急いで受信ボタンを押した。
「っはい!もしもし、成歩堂です。」
「…久しぶりだな。今、話をしても構わないだろうか?」
「御剣…」
御剣怜侍。検事を務めており、成歩堂とは終生のライバルのような立ち位置。というのが事件現場や法廷内での彼らの関係だった。
しかしプライベートとなると話は変わる。端的に言うと、二人は交際していた。
無事…ともいえずいろいろと課題も残っているが、半月ほど前に性的な繋がりを2回行ったほどの仲である。
「あ、うん。…真宵ちゃんと春美ちゃんいるから、あの…個人的な話はちょっと難しいかもしれないけど。」
了承の返事の後、成歩堂は声を絞って、後ろで未だ雑談に花を咲かす二人に聴こえないよう囁く。
御剣は携帯電話の向こうで小さくム、と発すると布が擦れるような音がした。おそらく頷くようなジェスチャーをしたのだろう。少し気が抜けているのだろうか。電話越しならば頷く必要はないのに…。可愛らしかったであろうその姿に笑みが溢れてしまう。
「では簡潔に。今夜予定が無いのならば私の家に来たまえ。…因みにこれは『個人的』な話だ」
まるであのナントモ言えない色のコートを羽織る大きな刑事へ、仕事を命ずる時のような至極冷静な声色で、所謂夜の誘いを受けた成歩堂。
「う…うん…勿論。喜んでお邪魔します。二人と夕飯食べてから行くから、ちょっと待っててくれるか?」
「うム、きちんと栄養を摂らせるように。…フフ。色良い返事、感謝する。準備をして待っているのでキミも…そのつもりで来るのだ。」
厳格な栄養士めいた台詞から、まるで新妻の如く、甘い誘いを乗せた成歩堂の心に絡みつく情欲を垂らすような言葉を電波に乗せた御剣に、若干口籠りながら了解とだけ返すと通話を切った。
個人的な話、つまりプライベートでの二人について。の話である。デートといって差し支えない。
「(御剣、できるだけ高頻度で会おうとしてくれてるな…。うわっ、やばい。めちゃくちゃ嬉しい…んだけど、僕は今日も、耐えきれるんだろうか…。)」
色々と積極的に行動してくれようとする恋人に心の中で感極まり、脳がドーパミンを出し心臓がどくどくとする。しかし彼の頭の中には懸念と課題がある。
それは、「御剣を襲わない」ことだ。
恋人である筈なのに、ムジュンしていると思うが、成歩堂だってホンネを言えば普通に襲いたい。というよりは、襲…。身を委ねて来る御剣の身体に、自由に手を出したい。と言った方が良いが。しかしこの我慢にはきちんとした理由が存在するし、成歩堂の誠意の表れでもありそして男としてのプライドに他ならない。
「ナンホホふーん。だへからの電話?」
「あ、真宵ちゃん。もう切ったからいいよ口抑えなくっても。ちょっと…用事の電話。(意外とそういう気遣い出来るんだな真宵ちゃん…。)」
夜の甘い逢瀬と共にやって来るだろう己との闘いに悶々としながら軽く心の準備をしていると、後ろで話していた二人はいつのまにかぴょこぴょこと隣まで来ていた。そう言えば前にも御剣と、真宵ちゃん達の話をしたなぁと、ぼんやり反芻する。真宵は返事を聞くと両の手で抑えていた手をパッと花が咲くように開き放す。
「ぷはあ、あ〜空気がおいし〜い!」
「え?…そうかなあ。僕は倉院の方が絶対良いと思うけど…。」
「うふふ、たしかにお山の空気は澄んでいて、とっても美味しいですよね!わたくし、朝の深呼吸が大好きなんです。」
春美は故郷の空気を褒められたのが嬉しいのかぴょんぴょんと軽く跳ねながら成歩堂を見上げ相槌を打った。子供にしては少しばかり渋めだが、健全で微笑ましい習慣である。
「うんうん、なんかいっぱい走れちゃうよねー!でもでもこの辺はホラ、ご飯の匂いがするじゃない?倉院の方もお味噌汁の匂いとかして、お腹すいちゃうけど、ここは焼肉の匂いとかするからねえ。もはやズルいよね。誘われて走り回っちゃうよ!」
「どっちにしろ走るんだね…。あ!真宵ちゃんっ信号赤だよっ!……ちゃんと止まったな。」
「真宵様がとってもお元気で嬉しいですね!ナルホドくん!」
「まあ。そうだね」
信号が変わるのをF1レーサーのような意気込みで待つ真宵に追いついた二人。本人も意識しているのかブンブン…と小声でエンジンを温めている。二人と話していると、先程持っていたいかがわしい欲の熱がフッと解けていく。
「(お陰で御剣の家に行くまで悶々と過ごさずに済みそうだ、二人が居てくれて良かった。)」
「あ、そうそう。今日おかず野菜炒めでいい?」
「良いよ!下にラーメン乗っけてね!」
「ダメ。栄養考えないと怒られるよ真宵ちゃん」
「どなたにでしょうか…?」
夜のなか煌々と光るドラッグストアに入り、まず最重要事項である夜の行為に必要な物をサッサと選ぶ。正直必要はないがお菓子やミネラルウォーターの500mlペットボトル、お酒なんかもついでにちょいちょいとカゴに放り込んで会計し、店を後にした。
その後何分か電車に揺られるとお目当ての場所 が遠くから見え、恋人の姿を意識してしまう。
「(うーん。やっぱり、家に入った時よりも電車から見てる時の方が緊張するんだよな。遠足は行く前が一番楽しい。…みたいなヤツ?…いや、それだと御剣に会うのが特に嬉しい訳じゃ無いみたいだから違うんだけど…。)」
かたんかたんと揺れる車内に座りながら手に持った黒い簡素なエコバッグを見つめると、中には先程購入したものが入ったドラッグストアのビニール袋(無料だったのでつい貰ってしまった)や、着替え、そして今日作ったおかず、米、味噌汁をそれぞれ入れた三つの円筒状のタッパーが大人しくしている。
成歩堂は御剣に会うとそれとなく、食事を摂るように勧めている。彼はもう良い大人なのであるから、普段は自分よりいい物をそれなりに食べ済ませているのは分かっている。かといって多くを食べる方では無いのに、成歩堂と挿入を伴う性行為を初めてした日。トラブルが判明してから、行為をする日もしくは、誘おうとしている日は一日の食事を抜くようになった。成歩堂がそれを知った時、セルフネグレクトでは無いのか疑い、愛情から来る強い憤りが身に纏りついた。口論になるのを覚悟して『まともな食事をしないのなら挿入行為は一切試さない』と断固たる意思を人差し指に込めて突きつけたが、御剣は予想に反し激昂する様なことは無かった。
「私は男の身体である故にどうしても胃腸に手間をかけなければならない。合理的な判断だと思っていたのだが、キミがそこまで怒るとは思わなかった。」
そこには嫌味や皮肉は一切なく本当にそんなことを言われるとは想像していなかった様子で、すっかり怒気を払われた成歩堂は、御剣が自分の身体を粗末にしたいわけではないことに安心するのと同時に知識こそあれ、受け入れる側の負担を理解できていなかったことを悔やみ謝罪した。対面の御剣はただ静かに微笑むと、黙って、成歩堂の頭を自らの胸に抱き寄せる。
確かめるまでも無く男の逞しい胸板が、成歩堂には何よりも安心出来たし、呼吸すると御剣自身の香りが肺に満たされて、子供に戻ったような気分になる。自分を見ているであろう瞳を自らのそれと合わせようとした。
その刹那、押し倒されたっぷり捕食のようなキスをされた成歩堂は、愛する人の胸に包まれていた穏やかな幸せから一転。何が起こったのか理解することが出来ず、真っ白な頭の中にクエスチョンマークを撒き散らし口周りをべちょべちょにしながら当然痛いくらい勃起する。それを鋭い観察眼で一切見逃してくれない御剣に即行で下着ごとズボンを剥ぎ取られ、剛直にスキンを装着。二人はいつのまにか一糸纏わぬ姿になり、完璧な準備を施され性器になった肉の蕾にヌプヌプと挿入させられて…させて貰った。
しかしそこまでは初夜の自分達も到達出来た。
問題はどの程度までなら御剣の身体が揺さぶりに耐えられるのか、なのだ。
御剣は過去のトラウマによって地震などの揺れに対し恐怖心と、それに伴って身体の不調を感じる体質だった。初夜の体制は正常位に近く成歩堂が抑えつけるように抱きしめて、早く大きく揺さぶった為体調不良を引き起こした。ならば、今度は位置を逆転させてみようという話を事前におこなっていたのだ。そして今がその時だった。決して御剣が無理矢理襲っているわけでは無い。
結論から言うと、騎乗位という体位は御剣怜侍にとって非常に良い結果を残した。二回目となった行為で初めて発見出来た部位、前立腺というのは、ピストンで刺激せずともぎゅう、とゆっくり押したり離したりするだけで、かなり強い快楽を得ることが出来た。尚且つ快感を感じる御剣側は、刺激によって筋肉が締まり、理性を失っても激しく身体が動くことも無く出来てゆさ、ゆさと緩慢に動くのみで、ぺたりと座ったまま自身のペニスからぴゅうぴゅう絶頂の証を射しながら快楽を享受している。
「ああぁああっ♡!!!なるほろっ!!♡なるほどう……!♡♡わたしを…みてくれッ♡もんだいないッ♡♡!だいじょうぶだっ…ああっ…♡♡うれ、しい…♡やっと、キミとっ…♡つながれるのだっ♡♡あ、ああ…っ♡きもちッ…♡ぁっ…い、くっ♡イク♡イクッ…!♡ンゥウッ♡いい、いいッ♡気持ちいいッ♡!あっ♡あっ♡あんっ♡!!」
「ーーッ"♡♡♡!!!!!!!!!!!!」
理性がとろとろになって、愛おしい男への愛を叫ぶ御剣の霰もない姿を最前席で眺めながら、成歩堂には新たな大問題が発生しており声も出ない悲鳴を上げていた。
成歩堂の肉を締め付けては絶妙なタイミングで力を抜いてくるふわふわにゅるにゅるの肉壺。真っ白な肌と厚い胸板に静かに咲いていた、大きめな二つの淡いサーモンピンクの蕾が、快感によって充血しぷっくりとはしたなく勃起していく様を一部始終見せられる。恋人の痴態を間近で見せられて仙人のように心を凪ぐことの出来る男はこの地球上には存在しない。成歩堂は過去最高潮に興奮していた。
「なるほどぉ…ッ♡あっ♡あっ♡あ♡き、キミ…♡キミは…?♡きもちいいのかッ?♡」
「ぐゥ"うっ…うゔっぐず、♡ぅああ"ッ…!!みちゅるっぎ、ぃ!ぁっあっぎもっひ、ぃ…!」
「そ、うかっ…♡あン…ッ♡♡ふふ…♡♡うれしい…」
(ゔ!!!♡うごきだいッ!!めちゃくちゃにうごきたいぃっ!!!でもきゅうにうごいたらみつるぎがっ!うごきたいっ!♡しぬっ!!!みつるぎっぼくむりこれむりっ…!!♡このままじゃしぬ!!!)
かく、かく、とほぼ痙攣しながら成歩堂はなんとか腰を動かしたいのを耐え抜く、何かに支えて欲しくて、御剣の背中に頼りなく手を回す。それを見て甘えられていると感じた御剣は、愛おしそうに成歩堂の頬に両手を添えて固定するとなんどもキスをする。繋がれた悦びから恍惚の表情でちゅば♡ちゅばッ♡と卑猥すぎる音を立てて成歩堂の口腔を舐っていたが、成歩堂の唇や舌からレスポンスが無いので唾液でてらてら光る唇を動かし直接言葉で強請ってくる。
「なるほどう…♡ン…♡チュ…ッ♡なるほどぉ…♡ン…?♡ンム♡っ…ぷは…♡なぜ、なにもしてこないのだ?ほら♡はやく、遠慮など不要だ♡キミもッ♡舌をだせ♡私の唇を奪うのだよ♡」
「ゃ、そのっ…いま、ほんとにむりっ…♡動けないから…ッ"!」
「ム…?そうか…しかたのない男だ…♡」
「ングッ!?ン"〜〜〜〜!♡ンンンンッ!!」
「ン…ッ♡フフ…♡」
(だめ!!だめだって!!かわいい、顔で、ッ♡そんなえっちなちゅうしないでくれっ♡くちのうらなめないでッ♡やば、ほんとに、ッ………………………。)
「んぅ……♡はぁ、♡んっ…!なるほどう、キミも絶頂を……♡……ム?…な、なるほどう?…成歩堂ッ!どうしたのだッ!鼻血が出ているぞ!」
「………………。」
「き、…気絶…している…。」
どくどくとスキン越しに大量の精液を吐き出しながら成歩堂は意識を失った。
何か濡れた物が顔に当たる感覚で目が覚めると、御剣がタオルをお湯につけて、成歩堂の顔を拭いていた。適温より少し熱く絞りが足りずべちょ、と動かす度お湯が滴るそれは不器用さと自分への愛が目一杯感じられ、心配故に額のヒビを深くさせている御剣を、これ以上不安にさせる訳にはいかないと発起した成歩堂。自分を心配する御剣をいいからとシーツに寝かせると今回発見した前立腺を指で捏ねくりとんとん押し、今までのただ優しく解すだけの手淫しか体験したことのない御剣は、新たなる快楽の扉をこじ開けられ、半ば泣き叫ぶように連続絶頂した。
初めて見た潮を穴が開くように見つめていた成歩堂、また鼻血が出てしまいそうだったので、何度か短く鼻を啜っていると、御剣はかくかく、と激しいアクメによって震える脚を持ち上げて、
「キ、ミも…ッ♡わたひだけっ!きもちよくなってはいみがないのだッ!♡」
ゆらめく灰色の瞳から涙をはらはらと流し、胸の飾りより少し色濃いアナルをぐにっ♡と形を変えるように拡げ誘う。成歩堂は興奮しすぎると人は眩暈を覚えることをそこで初めて知ったのだが、今誘いに乗って挿入すれば確実に好き勝手揺さぶってしまう。それこそ本当に意味が無い。結局痴態を見せてもらいながら、唇を噛みしめ結局両鼻から赤色を流し、右手で思いっきり己を扱くとほぼニ擦り半で射精した。
事後御剣と話し合い、騎乗位はいまの僕には刺激が強すぎる。ということを伝え、今後は成歩堂と御剣が丁度よく快楽を味わえる体位を一つづつ探す。という方向性で第二回は幕を閉じた。御剣の指圧でガチガチに固められた太いこより状の岩、いやティッシュを両鼻に詰めて貰えただけで、なんだか甘酸っぱい気持ちになり、へらへら笑うと御剣も安心したように瞳を細めた。
人生二回目を終えた成歩堂は思った。
セックスとはこんなに難しい代物なのかと。
『___本日はご乗車頂きまして、誠にありがとうございます。次は、___駅、___駅に、停車致します。』
「…。(変なところで変なモノを思い出してしまった。)」
プシュン…と電車が止まり目的の駅まで着いた成歩堂は、たった二駅の筈なのになんだか随分遠かった。車内は冷房が随分効いていたが成歩堂の顔は燃えるように熱くなっていて、スーツの下の身体は妙な汗でしっとり濡れている。
「(…僕は、頑張った方だと思う。偉い、偉いぞ成歩堂龍一。)」
そして本日が人生三回目になる。少し期間が空いてしまったが。
フロントマンなる受付人へ連絡して貰う為手続きをする。慣れたものだ。部屋の前まで向かい、インターホンを押す、すると10秒程でドアが開き、いつもよりだいぶスッキリした格好の御剣が出迎えてくれる。まだ二人がペッティング程度までしか進んでいない頃から、成歩堂は御剣の家に来る度新鮮な姿を眼に焼き付けては自宅での自慰行為に使わせてもらっていたのを思いだし、ちょっと気まずくなった。
スッキリとした黒いタックのズボン。いつもより柔らかくゆったりし触らずとも素材の高そうな白いワイシャツを身につけた御剣は、成歩堂が玄関で靴を脱ぎ終え廊下に入るのを待つ。
「お邪魔します。」
「うム。」
「御剣これ、今日作ったんだけどもしよかったら後で食べないか?電話で人の栄養にとやかく言ってたんだから、たまにはこういうの食べなきゃダメだよ。まあ…無理にとは言わないけど」
エコバッグに手を突っ込んで先ほどのタッパー類の一つを取り出し提案する
「…言ったのは私なのだから、特に反論する気は無い。それに少しは食べたのだ。」
「え、そうなの?珍しいな、何食べたんだ?」
「林檎。ミントタブレット少々。」
「(女の子かおまえは!!!真宵ちゃんはこれでコメ三杯食ったんだぞ!)」
それに後半は食べ物じゃないし。食べないより良いけどさ…。ツッコミたい気持ちを押し込んで納得させると出していたタッパーをもう一度仕舞う。
「…今日は食べないが、その、それは明日の朝頂いても構わないだろうか?」
「うん、勿論。じゃ冷蔵庫借りるよ」
成歩堂は慣れた足取りでアイランドキッチン後方の業務用かと思うような大きな冷蔵庫を開ける。ついでに買って来たビールやら水やらも置いておく。着いてきた御剣は成歩堂が置いている物を一瞥し少し怪訝な顔をした。
「酒を買って来たのか…菓子まであるではないか」
「うん。飲むかなと思って」
「遠慮する。まさか今夜飲むつもりではないだろうな。」
まあそうだろうな、と成歩堂は特に落胆もせずパタンと冷蔵庫を閉じる。成歩堂的には酔った方が勃ちにくいことを応用し、感覚が鈍くなって逆に理性が働くかもしれないとほんの少し淡い期待をしていただけだが、お前も飲むなと言われてしまえばそれまでだ。御剣の最優先事項を考えれば、アルコールを身体に含むのは視覚や聴覚、嗅覚味覚、触覚そして感覚を鈍らせるだけの全くもって意味のない行動なのだから。
額のヒビを深くさせ、長い腕を組み人差し指を一定間隔で上げ下げする御剣はちら、と普段やりもしないビニール袋を三角状に畳む成歩堂を見る。
「それよりも、成歩堂。…キミは、他にもやるべきことがあるのではないだろうか。」
「大袈裟な言い方だな…風呂だろ?…まあ、おまえの家の風呂は僕んとこより大袈裟だけど」
「豪華、というのが正しい表現だが?キサマの家の風呂が普通というには狭すぎるのだ。」
それに寒い。と心底嫌そうに付け加えると、何処か据わったような目をした御剣はゆっくりと近づき、成歩堂の肩へ手を置くと、胸板をぴと♡と密着させ、首筋の匂いを堪能し始めた。
「ん………、♡」
「(こいつのスイッチ、いまだによく分からない。)」
潔癖寄りのクセに…口の中で文句を垂れるも臭いと言われるよりは良いし悪い気はしないので放っておいた。成歩堂の匂いを夢中で堪能している御剣の後頭部にぴょいとハねている髪を人差し指で抑え、離し、ぷいんっと弾むのを見てヒマをつぶす。
「はぁ…♡…では。待っているので、早く来たまえ。」
とりあえず満足したのか、成歩堂の下腹部にズンとくる甘い溜息を一つ吐くと、そう言い残し、寝室の方へ歩いて行ってしまった。成歩堂は無言で見送る。浴室へ向かい服を脱ぎ捨て、てっぷりとしたふくよかな銀色のシャワーヘッドから流れる肌当たりの良いお湯をザブサブと、被る。己の首筋から腕を離した御剣のシャツの胸元がツンと張っていたのを思い出す。それだけで下半身へ血液が集中してしまうのを、腿をつねってやり過ごした。
早く出るつもりだったのだがだいぶ汗をかいていたので、念入りに洗って、歯を磨いたりする時間など合わすと結局いつもより時間が経っていた。小言を喰らわされるかもしれないが成歩堂自身も1秒でも早く会いたかったので持って来た簡素なTシャツと薄いスウェットズボンの姿で足早に向かう。
(うわッ、びっくりした。)
「来たんぐっ」
寝室の扉を開くと御剣は顎に手を充てながら扉近くの壁に寄りかかり待っていた。驚いた成歩堂が取り敢えずと会話を試みるも、来たよの三文字も言わせて貰えず唇を奪われる。
「んむ…っ、みひゅるぎっごめんって、とりはえじゅっ!べっどいかないっ?」
「…。」
激しかった割には可愛らしく、ちゅぱ。と口を離す。欲情8割だとは思うが明らかに苛ついている。たまには僕も押さないと。御剣の腕を掴むとふかふかの柔らかいベットへ彼の身体をぽすんと押し付け、間髪入れずにお返しのような深く甘い口付けを開始する。
御剣は目を見開いたがすぐにうっとりとした顔付きになり、自分に覆い被さる形でベッドシーツに両手を突いている成歩堂の左腕に右手の人差し指で触れると、猫が何か要求する時のように爪で軽く腕を掻く。気になって唇を離すと、今度は御剣の左手が伸び成歩堂の後頭部を強めに掴みまたふにふにした薄い唇が成歩堂の厚めの下唇を複数回喰む。
「(ワガママなヤツ…。)」
どうやらキスしたまま左腕を空けろということらしくご指示の通りに空けてやると、御剣が左腕を掴み自らの胸元に音を立てず置いたのでそのまま勢いで服の上から、御剣のむにゅむにゅした、弾力と柔らかさの均等が取れた乳輪だけをぎゅう!と摘んで持ち上げてやった。
「ム"、ッう♡!は、ん…♡ちが、ひがうぅ♡!なりゅ、ほどっ…!♡んくっ…♡」
推理せずともいじくってほしかったのは服の上からピンピンに主張した乳首の方なのだが、ちょっとしたいじわるで異議の声を口で塞いで無視する。両方弄ってやりたくなったので、冷たい態度になりすぎないよう最後に唇をぢゅうと吸い態と可愛らしい大きなリップ音を響かせ口付けを終わらせる。
「ん…っ♡ぷは、ぁ…♡な、成歩堂…っそこだけ、ではなくっ」
「はいはい。こっちもね」
成歩堂は体勢を起こすと御剣の身体も持ち上げて、背後から抱えられるように座らせると両手をシャツの中へ突っ込んで、左右の乳輪を摘んで回すように揉む。
ぽってりしており大きいので掴みやすい。時折首筋へ唇を贈り久々の柔らかな感触を楽しむ。すると物足りないながらも鼻から抜ける甘えた声を細く出して快感を甘受するのが聞こえた。ただ御剣は、普段仕事でなにか嫌がらせを受けたとて対して傷付きはしないのに、性行為中の意地悪は嫌がるフシがあるので(悦ぶ時もあるが、成歩堂にはどのような意地悪が好みなのかまだイマイチ分からない。)やり過ぎて本気で傷ついてしまわないように、御剣の肩越しに表情を見ながらゆっくりと愛撫を開始した。
「ふ、っ♡んうっ♡ん♡ん、♡ん…♡あ♡な、なぜ…なぜ周りしか、ん♡…触れないのだ…?」
「ん〜…僕がスキだから。すべすべで、柔らかくて、触ってて気持ち良いし…。」
その言葉に嘘は無いので、悪びれもせずに成歩堂は乳輪を指の腹で摩っては肌に吸い付く白い胸とともにもっちりと指に食い込ませる。
「い、いつもなら…♡ぁあっ、♡すぐココに…触っているではないか…。」
「御剣はそこが一番好き?」
「ム、っ♡?う……う………ム……♡わ、私は、ココもそのっなかなか、かと…っ?♡」
疑問に対し、御剣はそこが好きなのかと論点をすり替える。こんな状況で無ければ言い返すような返事だが、今の御剣にはそれを咎める気もなくとにかく愛する成歩堂に乳首を触って欲しいとしか考えずに乳輪を弄る手をくいくいっ♡と硬く張った乳首の方へ誘導して来た。
「(………かわいすぎる…御剣が自分のおっぱいをおすすめしてくるなんて…。)」
「そ、そっか。御剣がそんなに言うなら触ろうかな?」
「!♡か、構わないッ♡♡なるほどう…♡」
「う…かわいい…みつるぎ…♡」
積極的に性行為を求めたり、こんなにいやらしく、自分に対して蕩けた姿を晒していても胸を触ってと言葉で言えない御剣の不器用な部分が愛らしくてたまらなくなった成歩堂は、軽く口づけをすると誘われるままに期待しきった御剣の胸の中で一番弱いところを両手それぞれの親指と人差し指できゅむッ♡と潰す。
「ン"お"ぉッ………!!!??♡♡ムぐ、なんッ…!?♡あ"っ…んぉっ、♡"、!ゔ、ンッ!♡」
「うわっ…!すごい声だったな、御剣…♡」
恐らく絶頂した御剣はびくんびくん身体を痙攣させる。あまり出したことのない低い動物のような喘ぎ声が喉を震わせ反射的に手のひらを口に充てた。恥ずかしかったのか息を漏らしながらもずっと抑えている。
成歩堂は新鮮な反応に驚き眼をぱちくりさせると率直な感想を述べながらもっと聞きたいと思い、優しく先っぽを抓った。
「…!ち、ちがっ…ン"っ♡♡成歩堂っ今のはっ…け、軽蔑、した、だろうか…。」
「ん?そんなワケないだろ。大丈夫、大丈夫だよ。凄くかわいかったから、また聞かせて?ね、お願い。」
「ひんっ…♡は…、ぅ……♡うム…♡た…たまにであれば…♡」
引かれたのかと不安そうに瞳を揺らしていたので、頭を撫でて、乳首をかりかりと中指で優しく掻いてやる。
自分にしては少しキザったらしい台詞を甘い声で囁くと、効果覿面らしく御剣は非常にときめいていますという顔を隠すことも出来ず、甘え声でぽそり呟き返事をすると、もぞもぞ動くと成歩堂と対面し背中に手を回すと密着する。
「なるほどうっ…♡もう…そろそろ…」
「ん…うん、服脱ごうか」
御剣の手触りのいいシャツやズボンの前を開けて、まず上を脱がせると軽くたたみ、定位置のサイドテーブルへ置く。次はシーツへ寝かせ、下着ごと掴んで引き下ろすと、御剣の形のいい男性器が天井に向かって顔を出す。ズボンなどは一度達して汚れているので床においた方がいいのか成歩堂が聞くと、律儀に大人しく仰向けで寝転がった御剣は羞恥と肉欲をふうふうと甘く荒い息を吐き誤魔化しながら頷いた。律儀に履いた脹脛までの長さの黒に近い灰色の靴下だけが残り、美しく割れた腹筋が荒い呼吸に沿って上下している。髪の毛よりも少し黒っぽい灰色の硬めな毛質をした濡れそぼった下生え。先ほどまで捏ねくりまわしていた立派な乳首が滑らかで白い肌に差し色として映えていて、とても扇状的で芸術的とすら感じ、つい恥じらう姿を観察する。
(御剣…何回見ても綺麗な身体だな、あ、下の毛乱れてる…ううっ、えろい…)
「な…♡なるほどう…!そんなに、まじまじと見ては…♡キミも、はやく…っ♡」
「う、うん。」
催促する御剣にシャツの裾を引っ張られた為、自分の服は適当にぱさぱさと脱いでテーブルの隅に追いやって、ついでに御剣の靴下も脱がしぱさり床に置く。漸く下着を脱ぎぶるっと硬くなったモノが飛び出すと、御剣の羞恥が多かった顔が恍惚気味にとろりと柔らかくなって、閉じていた内腿はぱかり…♡無意識に左右へ離れる。端正な男のいやらしい雌仕草にくらくらするがしかし、頭の中はいつもより冷静さを保っていた。
「(なんだか、今日の僕は少しヨユウがある気がするぞ。)」
前回と違い、自分がリードする場面が多かった
故だと考察する。
「(御剣が激しいのは、僕が奥手に行きすぎるからだろうな…。)」
これ以上待たせるのは可哀想なので、要望に応える為早く挿れようと自身にスキンを付け、御剣の脚を更に割開き、待ち侘びている入り口に性器を押し当てた瞬間『あ!』という気まずそうな顔をした。額に冷や汗をかいた成歩堂。側に置いたローションを手に垂らし温め一本肉壁の中へ挿入させる。蕩けた顔でやっとお目当てのモノが来ると期待しきっていた御剣は今更指を挿れてくるとは露にも思っておらず『は?』という顔をした。
「な、…!?アぁっ♡な…成歩堂…ッ!きさ、まぁっ、…さきほどからあッ!!!わたしがだま、だまってやっていればッ!焦らすのも大概にしろッ!はやく、挿れろとっ!!いっているでは無いかあッ!!!」
「ヒッ!!ひぇッ!ちっちが、違う!別にいじめたいワケじゃなくてっ遅くなっちゃったから、その、な?痛むといけないから、もうちょっとだけ…!」
「馬鹿者ッ!!だから、ぅ、…だから早くと言ったのだっ…」
「す、すみませんでした…(いじめたの、バレてたのか…。)」
久々に聞く御剣の本気の怒号と眼前に飛んできた平手打ちの風にビビりまくっているとぐすぐす腕で顔を隠して啜り泣きはじめてしまったので、どうにか宥めながら出来るだけ急ぎもう一度たっぷり濡らす為に前戯を進める。まさか意地悪に乗ってくれていたとは思っておらず、縮こまって許しを乞う。
その頭の片隅で、そういえばこのままだと正常位のまま挿入することになり、それは大丈夫なのか懸念が過る。しかし御剣の機嫌を考えると愛の言葉と挿れる以外の内容を口に出せば活火山に原油を注ぐに等しい行為になるだろうと察知し、もし僕が我慢できそうに無かったら顔に大きなもみじが咲くことを覚悟して引き抜こう…と腹を決めた
「よ、よし!もう良いかな。じゃあ、挿れるからっ」
「…ム…。」
だいぶ焦ったが御剣は納得してくれたのか、こくりと頷いたのを見届けて、早急に滑った肉壁を掻き分けて中に入る。散々焦らされた肉はぎゅうぎゅうと責めるように成歩堂の肉棒を締め付けてくる。
「く、ぁっ…あ、…すご…ッ!あつい…きもち、」
「あ……っあ…♡あんっ!♡」
気持ち良さそうな声を抑えることもせず上げる御剣にキスを何度かすると、機嫌を損ねていた表情は比例してふわりと懐柔し成歩堂は安心した。
「ごめん、待たせて…ゆっくり動くから…でも気分が悪くなったら、すぐ言ってくれよ…?」
「……。ンっ♡…あん、んぅ…♡」
「…あの。み、御剣?返事…してよ。」
「……わかっている…。」
こいつ…まさか言わない気じゃないだろうなとじとり見つめるも、我慢させているし、求めてくれているし、それと同じくらい自分にも気持ちよくなって欲しいから早くしろ、と言ってくれているのも理解している。成歩堂がフクザツな思いで眉を下げるのを見ると、御剣は困ったように笑い指で優しく成歩堂の下がった特徴的な眉尻を愛おしそうに撫でた。
「ムリはしないっ…ウソを吐く気もない…。ただキミが、♡ん♡やさしすぎるおかげでっ…は…♡、恐怖を、わすれてしまうだけ…なのだよ…♡」
「〜ッ!み…御剣ッ…」
「んうっ♡ん♡ム…ッぅ、んっ♡♡!あ、あ"ぅうっ!♡♡あ!あ"!♡♡っ成歩堂ッ!♡成歩堂ぅッ!!♡」
成歩堂は、己の精一杯の我慢が伝わっていない訳が無いと勿論理解していたが、本人の口から恐さを忘れてしまうと告げられることで一層、自分のやってきたことに意味はちゃんとあったのだと、じわり眼前がぼやける。勢いのまま唇同士をむちゅむちゅ喰み合うように口付けたのち、揺らさないように揺らさないようにと念仏の如く頭に浮かべながら御剣を抱き締め、ズルンと奥まで、硬くなったペニスが肉奥へと入り込む
「ォ"、っ…!♡ヴッ♡うッ!♡んゔうッ…!♡」
「あ"…ッ!しま、る…!♡ハァ、ッきもちい?平…気か?」
「ぅあ"アッ♡!ン"♡すき…!すきッ♡!きもちいいッ♡!ひ、っぐ、いッイくッ"………♡」
「(よかった…。大丈夫みたいだ…。)」
ぜえぜえと息をきらす御剣の声や顔には、不調の色は一切見受けられず、快楽に満ち満ちたおかげで形の良い口をぽかりと開いて、唾液と共に迎え舌のようにしながらその紅色を外へはみ出させている。
「んぁあっ…♡…はアッ♡はあっ………♡なるほどっ、キミは、どうなのだ…?…絶頂っ、できそうなのか…っ♡」
「あ…ぼく…うん…。凄い、きもちいいよ…しあわせで、あんまり意識してなかったけど…。」
「ン、ん…そう、か…。……私のナカで、好きなうごきなどあれば…試みるが…?」
「すッ……ゔっ、♡凄いこというよな…おまえ…」
御剣はいまだ温かい中で硬さを保っているモノをきゅ♡きゅ♡と締めつけながら言う。赤面し、快楽で呻きながら悩んでいる成歩堂に対して、自由に動かせてやれない罪悪感が全く無いかと言われれば嘘になってしまうが、それよりも出来るだけのことをしてやりたい。その一心なのだ。御剣とて、成歩堂と初めて身体を繋げるまでは己がこんなにも積極的に行動出来るとは思ってもいなかった。
「前にも言ったが、私をこのように変えたのはキミなのだよ。…私でないと、意味がないと言った時から。自分でも時折、制御出来ない位に求めてしまう…。」
「…そう、だったのか。…僕は……あの時、返事を言わなかったけど。…責任取るよ、取らせて欲しい。」
「…フ……。そう、言ってくれるのならば。私も私の持つ責任を為すのみ。愛してやまないキミに…ご奉仕しようではないか。」
「…ありがとう。僕も愛してるよ。」
また先に言われちゃったじゃないか。と悔しそうな口調と裏腹に、嬉しくて堪らない。と言った顔で抱き締められる。御剣が潰れないようにと、優しい抱擁をされているはずなのに、愛情でいっぱいになって、とても苦しい。
「(キミは…。いつだって、私の心を苦しめるのだな。こんなに…幸せなことはない…。)」
「御剣…動いていいか?確認しながら、探っていこう。」
「ああ…。来てほしい、成歩堂…♡」
成歩堂は、御剣の頬を花びらに触るように撫でた。そのままの優しい手つきで白く細い腰を掴む。ゆっくり、ゆっくりとペニスを引き抜き、少しだけ勢いをつけてぱちゅんっ、と戻して意識的に蠕動する肉筒の奥へ奥へ亀頭を何度も擦り付ける。
「ム、うぅ……ッ♡♡あ、っ!お"っ!♡お、…んぉお"…♡すごいぃっキミのッさきっぽが♡、かたくてっ…♡ひっぃ♡、いい"ッ!♡なるほどお、あ、あ、あン♡はぁっっ…♡♡」
「ふぅ"っ……!うああ"っ…♡よか、た…っみつ、るぎっ!これ、僕も、きもちっ…っなぁ…お願い、していいかっ?僕が抜く時に、一緒になか、ぎゅーって、して、ほしいんだけど…っ♡」
「あぅっ!あンッ♡あんっ♡こ、こころえたっまかせ、たまえッ♡♡♡」
「あ"、ぁ…ッ!!う、グ、ヴうぅ……ッ!!」
言われた通り、成歩堂がペニスを引き抜くタイミングに合わせ肉を締め上げる。本人の予想通り大変気に入った様子で成歩堂は喉を反らすと獣の如く低く唸り声をあげる。その雄らしい感じ方に魅入る御剣の背中がぞくりと粟立ち、成歩堂の背中に手を回し、腰に脚を巻き付ける。主張する喉仏に向かって顔を近づけて、ちゅうちゅう、ぺろ♡ぺろ♡と慰めるように舐める様はどう見ても牝犬そのものだった。
「なうほどぉ、ぁあ…ああッ♡はぅっ!はぁ…♡かわいそうにっ…♡ふふ…っ♡ん、ちゅっ♡こんなに、のどをふるわせて…♡っぷは、もうすこし早い位なら…ッ♡へいきかと、んんっ♡おもう、のでっ♡んあぁ"ッ♡なるほどう…うごいてもいいッ♡いいのだよ…♡我慢は…カラダに毒なのだから…♡」
「ア"っ、♡あ!!あぁ!いい、もう、もうじゅうぶんうごいてるっ!へいきだからっ!こんな、すごすぎて、がまん、なんてッできないっ…!」
「あぅっ♡ム♡なら、ならいいのだッ♡」
成歩堂は頼んだとはいえ結局前回のように僕もこうなるのかと思いながら、未だぎゅうぎゅうと締め付けられ、霰もない悲鳴を上げてしまい羞恥に包まれる。ただ前回と違い本当にこれ以上は気持ち良すぎて動けそうにないものの、今回はたまたま御剣のあの甘く幸せで、そして非常に苦しい口付けを受けることが無く、意識を失うところまではいかなかった為そこは進歩である。
「み、みちゅっ、御剣ぃっ!も、ぼく…ごめんッむりかもっ♡イ、イキそうッ!!♡」
「うムッ♡♡きょかするっ♡イけ♡なるほどう♡たくさん…だして、あ♡おっ、ぉッ"!かまわないのだ、よ"っ♡」
成歩堂はなけなしの体力を振り絞って、先程喉仏を舐められたお返しに、左の乳輪と乳首をがぷりと噛む。御剣は大袈裟なほどびくりと身体を大きく震わせたが、恐怖から来るものでは無く、快楽で仰け反り舌をピンと出す。
快楽の余韻に浸る為に少し肉壁が弛む瞬間、成歩堂は前立腺のしこりを探し当てつん、とペニスで捉えると腰を痙攣させながら、ぐん、ぐに、とつぶすように何度も押し捏ねた。
「あ"!あ!♡あぉおっ…♡♡♡……っなるほどっ…♡きさまぁ♡まったく…っ♡なんて、ところをかむのだっ…♡♡ンぉ"っ♡!!お"っ!?そこッそこはぁ!あああっ……♡♡ひぅ♡ア"ッううっ、な、なるほどう♡わたしもッイぐっ♡♡!!イクっ♡ああっあ"ぁああッ♡♡!!」
「ふぅッ…ふぅ……ッ!ううっ!♡イ"ッ………!!」
にゅぼっ♡と成歩堂がペニスを引き抜くとその刺激で御剣はかくんかくん内腿をぴくつかせ、股の間から出る透明の液体がシーツに大きな地図を書いた。
むわりとしたベッドには、はあはあと荒い息遣いが二人分響く。殆ど同時に絶頂を迎えた二人は、息を整えもせずお互いをうっとり見つめ合い、恥ずかしい音を立てながら口付けを何度もしては離し、しては離しを繰り返している。
「みふるぎ…♡はぁ、んむ、はっ…すき…すきだよ…すごい、すごかった…。」
「んぅ……♡ん♡ム♡うムっ…♡わたしも、その…す、す、すき…だ、なるほど…♡」
「く、ふ…っ」
先程まであんなに淫らなセリフをその舌で紡いでいたというのに、成歩堂の好き、という言葉に大いに照れながらたった二文字を精一杯返す価値観が成歩堂には分からず思わず笑みが溢れてしまい、手のひらで口を覆うものの、御剣を誤魔化すことは出来ず、への字口で此方を睨みつけてくる。機嫌が悪いです、というアピールをしているだけで、表情からして本気で怒っているワケではなく、ただのじゃれあいに過ぎない。
二人共、初めての成功体験にただただ浮かれている。初夜の雪辱を晴らした二人は、勿論喜びが全てだったが、今だけは嬉しくとも泣きたく無かったのだ。
「ム、…何がおかしいのだ?成歩堂龍一?私のこんなにイチズで…キサマへのケナゲな…そしてジュンスイな思いがそんなに面白いのかね?」
嫌味ったらしく顔を歪ませるように笑うとあえて芝居がかったような動きで胸に手を当て成歩堂を非難する。
「やめろよっ…!くくっ、ごめんって…笑った僕が悪いよ。ごめんごめん。」
「そんな杜撰な態度では決して許さん。まともな社会人として認識されたいのならば謝罪は行動で示したまえ。」
「うーん…じゃあ、これで。」
成歩堂は御剣を抱き寄せ胸の中に仕舞い込むと、すべすべとした綺麗な額に謝罪の念を込めて丁寧に厚い唇の雨を降らせる。最後に顎を優しくくいと掴むとお互いの唇をぴっとり隙間無く合わせ、数秒間停止し静かに離した。御剣が芝居のかかったセリフを言ったので、応えるつもりで、僕には似合わないケド。と心でボヤき宛ら騎士のように微笑んで見せた。
「…どうでしょう。僕の御剣怜侍さん。許して頂けますか?」
「…………………うるさい。顔も、声も、何もかも。」
「ええ…。」
耳まで真っ赤にしておいてよくもそんな…。と思いはしたが口に出せば何を言い返されるものか分かったものでは無いので黙る。恐いから。ただ心のメモに『御剣はキザなセリフに弱め。』としっかりとした筆圧で書いておいてやるが。
「フン…、その前衛美術のように理解不能な謝罪のカタチだとしても。今回は示談という形で終わらせてやろう。感謝したまえ。…私の…成歩堂龍一くん。…それと。先程わたしに付けたこの大きな歯型についても行動で謝罪したまえ…今、すぐに。」
御剣は歯形が付いた胸をトン、トンと叩く。
行動で示せ、つまりそういうことだ。
「ったく…。」
「あ、…う…♡ん、ふ…♡」
素直なのか素直じゃないのか全く分からないな…と思いながら今日は絶対寝かせないし、寝かせて貰えないだろうなと、腫れた胸をちゅうちゅうと慰め成歩堂は御剣の身体に意識を向かわせる。
ご想像の通り初めて朝まで寝ないでゆったりと非常に破廉恥な行為を完遂。睡眠不足の成歩堂はふらふら左右に船を大きく漕ぎ、KOされた格闘選手みたくシーツに沈み込み深い眠りに堕ちていった。一方多幸感でふわふわした雰囲気を纏わせた御剣は、成歩堂が持ってきたご飯をいつの間に温めたのか、陽の当たるサイドテーブルでひとくち、またひとくち、丁寧に口に運びながら、「おいしい」と呟いていた。