5.ホテル行くナルミツ『成歩堂。キミはラブホテルというモノに行ったことはあるのか?』
「はい!?」
今日も今日とて忙しい、逢えずじまいの二人だ。
せめて声だけでも聞きたくて、最近はずっと通話をしている。
内容は十割他愛もない話題で埋め尽くされる。
今日の話題は知り合いの話。最近行った店の話。
チェスの話。
(これに関しては何の気無しにルールを聞いてから定期的に問題を出され、答えられないと怒る。答えると喜んで非常に可愛い。寧ろモチベーションがそれしかない。)
トノサマンの話。
(これに関してはずっと喋っているので聞いているだけで良い。可愛い。)
紅茶の話。
(これに関してはチェスの件があるので深く質問しないようにしている。)
である。
しかし…まさかあの御剣と生産性の無い話で会話に花を咲かせる日が来るなんて。いまだに信じきれていない。話題自体にそこまで興味が無くても感情を出して話す御剣の声を聞いているのは何より幸せだ。背景にまで花々が咲いている気分になっている所に、御剣がかまして来たのが冒頭の言葉。という訳なのである。
「急だなあっ…無いよ。行きたいの?」
『ム…、なんだ。私とは行きたく無いと?』
「(そういうわけじゃないケド…。)おまえ、大丈夫なの?人に見られたりとか、最悪写真撮られたりとかするかもしれないぞ。分かってるだろうけどさ。」
『それは当然わかっているが…い、行きたくない…のかね。』
「……。行けなくても良いかな。」
ウソでは無いけれど真実でも無い。
行ってみたい…というよりは御剣と行きたい。そうでなければ行く意味も無い。御剣も同じ気持ちだろう、他でも無い…自分とだから。その気持ちが何より嬉しくて、大切で、とても心配だった。
たとえ誰に何を言われようが御剣を思う気持ちは変わらないけれど、だからといって愛しい人に態々無駄なレッテルを貼られたくないのは当然の心理。検事という立場も考えて、出来る限りのリスクは避けたかった。そんなに軟弱ではないと、曖昧に答えるなと怒られるだろうか。
『………。そうか、可笑しいことを言ったな。』
「別に可笑しくはないよ。…もうこんな時間か。そろそろ切る。」
『ああ、おやすみ。また予定を伝える。』
「頼む。…おやすみ。」
咎められることは無かった。気まずくて、時間のせいにして素っ気ないプラスチックボタンを押す。さっきまで愛おしい声を届けてくれていた携帯電話はツーツーと冷たい電子音を垂れ流すだけの小さな箱になる。
「(僕と御剣じゃ、何かあった時のダメージが違いすぎるよなあ…。)」
想いが通じ合っているだけで良い。充分幸せなのだから。
次の日は、支度をしている時から少しイヤな予感が身に纏わりついていた。雲の流れが速く、強い風は木々をざわざわと揺らす。けれど予報は晴れだし、実際空は青く晴れ晴れとしていたから、気のせいだと片付けて家を出た。
「…見事だな」
「うわあ…こりゃ台風並みだぞ…」
通話をした次の日、裁判所で御剣と会った。
いつもより疲れた顔をしていた。個人情報を配慮した上で聞くと、被告人、証人がこれまたクセの強い人間だったらしい。精神的な疲労だけのようで、多少安心する。
また裁判官の指示により予定が変わったとのこと。普段の御剣であれば無闇に裁判が長引くことを嫌がったかもしれない。
「今すぐにでも帰れるのだよ。」
事実を報告する冷静な表情。
だがしかし流し目でちらりと此方を見る、灰色がかった意志の強さが輝きに表れている瞳は熱を帯び、確実に『一緒に居たい』と言ってくれていた。良かったな、とだけ返した。あまりの可愛らしさに思い切り抱きついてキスしなかった自分を誰か褒めて欲しい。
どちらかの家に行こうか。なんて話をひと目を憚りながらこそこそ相談し、とりあえず簡単に外で夕食を摂った。
忙しない予定の中すぐに支度できるよう、協議の結果御剣の家に行くことになった。のだが。
「電車止まってる。…無理だな」
「うム…」
とんでもない豪雨。数メートル先も見えない。こんな状況で、徒歩はキツい。晴れならば兎も角、風に巻き込まれた看板やら何やらに当たりかねない。繁華街だというのにこの酷い天気のせいで殆ど人が居ない。人が居ないのだからタクシーとて一台も見当たらなかった。呼ぶのも忍びない。到着出来ないと思うし。
「参ったな、いまから泊まれるところ…なんて…」
「…」
「あっ…」
降りすぎて霧のようになった景色に煌々と光る大きな建物。まさに昨日話していた厄介なモノ。
今はまるで遭難中に発見した、希望の灯台に思えたのだ。
どさどさごうごうびゅうびゅうと煩い中びしょ濡れになりながらも何とか目的地へ。
赤いジャケットとふりふりしたクラバットを脱げと指示した。意図を理解したのか文句は返されず言う通りにしてくれる。ワイシャツとズボンだけにさせて自分の着ていた青いジャケットを顔に被せれば、頭や目元が隠れて御剣だとすぐ分かることは無い。完璧でもなんでもない浅知恵だけれど、繁華街のラブホテルなんていつ事件やら何やらで関わるか。やらないよりはマシだ。
雨宿りしに仕方なく来ました。という距離感で入り淡々とチェックインする。特に何か言われるようなことも無く、タキシードを着た好好爺然とした風貌の受付人は柔和な笑顔でカードキーを丁寧に寄越してくれた。有難い。ジャケットで作った御簾から受付人を訝しげに観察していた御剣の「違った…」には苦笑せざるを得ない。イヤな思い出だ。
設備が非常に整った部屋に入ることが出来た。柔らかいオレンジ色のライトが二人を包んでくれる脱衣所に行って二人で皺にならないうちにジャケットをぱんぱん叩いて、ズボンなんかも脱いで、なるべく早く乾くように干す。タオルを惜しみなく使えるのが宿泊の醍醐味だ。置いてあったバスローブ。すぐ脱ぐことになると思うが裸のまんまもアレなので適当に羽織る。ふわふわしていて、気持ちが良い。スマートに腰紐を結ぶ御剣は浴槽を見て、ジャグジーか、と呟いた。
「大きくて良い。二人なら余裕だろう。成歩堂…その…どうする。共に…」
「うん一緒に入ろう。その方が速く終わるもんな。」
「…速くとはなんだ。」
「だって御剣、明日も忙しいだろ?すぐ寝れた方がいいじゃないか。あと明日、早く出ような。誰かに見られたら困るし」
「……。ああ」
御剣が一緒に入ろうと提案してくれたので乗る。時短になるし、彼は疲れているだろうに大雨で濡れて冷えてしまったのだから早く寝た方が良い。大人のカゼは辛い。ついでに明日、別々に出る了承を得たのでちらりと懸念していた財布の事情を確認する。
「…外見た時から分かってたけど結構、その…お高めというかそんな感じだよな。宿泊になると、特に。」
「うム、価格帯の高い施設に入ってしまったようだ。雰囲気が落ち着いていて、私は好みだが。」
「そっか…、御剣、ほんと申し訳ないんだけど、少しお願いしたいことがあって…」
「…そのように顔を青くせずとも、持ち合わせはある…気にするな。分かっているのだよ。」
「うっ、ごめん…現金少ないしカード今無くて、立て替えといてくれ…後日返すから」
「別に返さなくても良い。なにか他に欲しいものがあれば、言ってくれて構わないが。」
「は!?」
借りなければいけないのは申し訳ないけれど、御剣が此処が良いと決めた訳でも無いのに全額払わせるなんて出来ない。
「そういう訳にはいかないだろ!なんで御剣が全部払うんだよ。そんな理由ないじゃないか。」
「…理由が、無い?」
「うん。大丈夫、それなりの金額なんだから流石にちゃんと払うってば。」
そこまでビンボーじゃないから安心してよ。なんて、軽口を叩いても返事がない。
「えと…御剣…?」
「ハッ……。…そうだな?不愉快にさせてしまったか。確かに『特別』な関係でも無い限り、払って貰う理由など全く。思い当たらないだろうな。『知り合い』二人が雨宿りに泊まるだけならば、キサマの対応は至極真っ当だ。契約書も無しに金を払わせて、後で何を言われるか分からない。そう、警戒するのも、…当然……。勝手なことを言って、失礼した。」
「え」
「先に入る。」
急な事に返事も、顔も見れないまま。
カチャ、パタリ。と優雅な手つきで静かに開閉されるドアノブと浴室の扉。
お前は入って来るな、ということだろうか。
御剣が脱いで空になったバスローブが寂しく大理石の大きな洗面台に置かれている。背中に冷水をかけられた気分だ。怒りの理由を反芻。
思い当たると同時に脂汗が出てきた。
「(やばい………やっちゃった…)」
とにかく御剣が男とラブホテルに入ったのがバレないように必死だったのがアダになった。気にしすぎて。大切に思うあまり『恋人』としての時間を完全にぶち壊してしまった。頭からすっぽ抜けていたのだ。元々は逢瀬を、行為を…するつもりでいたのだから忙しさがどうのこうのなど、雑な言い訳で、拒絶されたようにしか聞こえなかったのだろう。それに付け加えて先程の他人行儀な対応。思い返せばちらほら、甘い空気を出そうと頑張ってくれていたのは明確だったのに。
御剣が出てきたら謝らなければ、そう思い脱衣所で立って待っていると、五分程しか経っていないのに閉じられたお洒落なドアがカチャ、と開いて身体が跳ねる。姿は見えず、扉の隙間から濡れた、整い、可憐な桜貝のような足の爪だけが見えた。
「み、御剣っ…」
「……どうして来ない」
「え。ぼ、僕入っていいのか」
「何故入ってはいけない?…入りたく、無いのであれば無理にとは言わないが…」
「ま、待った!入る。今からっ」
「…うム…」
大きなジャグジー。二人が脚を伸ばして入れるような広さ。シャワーを浴びても御剣は未だ入っておらず後ろに居る。視線で肌がぴりぴりする。恐る恐る端っこに詰めて出来る限り身体を丸め体操すわりの姿勢で大人しくする。
御剣も続けて入って来て、びっくりした。扇状的な身体が至近距離に。入った位置は自分の肩に触れるか触れないかくらいの距離。てっきり真反対に行くと思っていた。だだっ広いジャグジーは殆ど空いている。
なんて…いじらしい事をするのかと、胸が痛くなった。怒ってなんかいない。…悲しんでいる。それに気づいた瞬間、罪悪感で頭が一杯になりそうだったけれど。今、御剣が好意を表に出してくれた。歩み寄ってくれた。謝罪するチャンスをくれた。それなのに、いつまでもウダウダといじけている訳にはいかない。
「成歩堂…」
「御剣っ…」
「…」
「…」
御剣は音もなく手のひらと指先を此方に向ける。勇気を出して、遠慮なく口を開かせて貰った。
「御剣…ごめん、他人行儀にしてっ…イヤだったよな。本当に、…もうしないから…。」
「…そんな、私、こそ、私の方こそ、イヤミを言ってすまなかった。謝るべきは私だ。わかっていた、検事という立場を案じてくれていた事は。昨日から…自惚れていたのだ。本当は私と同じ気持ちだと、心配故に言葉を濁しただけだと…。」
本当にこういった場が好みで無かったなど考えもしなかった、と。
「え、」
「他人のように接されて、どうしようもなく頭に血が登った。途中から、ただの身勝手と気づいていたのに。引っ込みが付かなかった。キミは始めから不可抗力で此処に泊まっただけであって、全く乗り気で無かったのに…私が一人で…。浮かれていた分際で機嫌を損ねて、その上先に、謝らせるなど…!」
「違う!!!!」
背を向け段々距離を取ろうとする御剣。大きな声を上げて腕を強く掴んで引き寄せる。波が荒れて床にじゃばじゃば流れ落ちた。後ろから抱き閉じ込めてキツく手を握ってしまう。腕の血管が浮いてしまうくらい。御剣の背中が小さく跳ねた。こわい、のか。
「行くなよ……ッ、違うっ、クソッ…そんなことじゃなくてっ…僕がッ、御剣を心配してたのも合ってる。一緒に来たかったのもちゃんと合ってる…!昨日はっきり言っていれば、ほんとに、ほんとうに僕だっておまえと来たかったよ…二人きりの時は、人の目なんて気にしなくて良かったのに…」
手が痛かったかもしれない。顔を見るとお湯に浸かっていても色の良くなかった頬は血色を取り戻し、殆ど動かせないのにおずおずと指で握り返してくれた。視線をウロウロさせて戸惑ってはいるものの、嫌がっていない様子に安堵する。
「次はちゃんと言う。おまえを連れていきたい。だから、…僕にチャンスをくれないか?」
「…。そう…か。そうだったのか…。よかった。私だけでは無かったのだな…。」
「うん…」
「成歩堂…私はキミと、愛し合う為に行きたいのだ。私を連れて行って、くれるだろうか?」
「うん…っ!絶対連れて行くよ、御剣…!何処行くか、二人で決めような…。」
強く握ってしまった手を一つ一つ慈しむ。手の甲から爪先まで陶器のような滑らかな触り心地。ちゅ、ちゅ、と唇を贈ると心がくすぐったいのか頬を薔薇色に染めて目を逸らすのが可愛らしい。
「(綺麗だな……。いつも僕を追い詰めて、真実を追究する指、僕を…助けてくれた指……。)」
「ん、う…そんなに念入りにせずとも…。手などにして…楽しいのかね…?それよりもやっと、こういった…雰囲気の場合には、他のところに……」
「うん…そうだね…へへ、ちゅーしよっか。」
「ムッ、ち、ちゅ…、う…うムっ…」
「かわいいよ…ッみつるぎ…♡ちゅ♡ちゅぱちゅぱ♡ちゅぱッ♡れろ♡舌もっ唇も…柔らかい…おいしい…♡♡」
「ん♡ちゅうっ♡ンン〜っ♡♡ちゅ♡ちゅ♡ちゅぱっ♡うれひいっ…♡♡なるほどう♡もっと、もっとっ…!♡」
遂に訪れた恋人の時間。贖罪も兼ねてとびっきり甘やかす時間にしたい。思ったままの言葉を伝えると、御剣も同じように甘くてかわいい態度を返してくれるのが、想いが通じ合っていることを感じられてうれしい。
唇が腫れそうな程飽きもせず、ちゅうちゅうちゅうちゅう、れろれろちゅぱちゅぱ、れろれろちゅぱちゅぱ。だが永遠に続ければ茹だってしまうので、やっとのことで唇を離して漸くこの広い浴室はジャグジーが泡をぽこぽこ出す健気な音を取り戻した。相変わらず隅にひっついてやっていたので、面積の三分の一程度も使われていない。お互い目もくれていなかった。
「はあ…っ♡♡なるほどう…♡ぷは、一度…上がる…準備をしたいのだよ…♡」
「うん…♡…あのさ御剣…」
「…?なんだろうか」
「……変なこと聞くケド、おまえって…ちょっと強引なのすき、だよな?」
「………………すきだ」
「そっ、そっか。じゃあ…」
「ぁっ…う、うムっなんだろうか?♡」
賢い頭脳には自分がやろうとしていることが理解出来たようで、既に非常に期待した瞳で此方を伺っている。肩を掴んでジャグジーの縁にぺちょ、と押し付ける。
「早く抱かせろよ御剣。……だから、準備を、してきて貰えると、いや…っし、して。ガマンできない。」
「っ…わ…分かった…ッ♡♡今すぐに…。フフ…っ♡寝室で待っていてくれ♡」
す、と唇を親指で撫でられる。御剣はだいぶ発情しているのに静かな動きでジャグジーから抜け出しさっさと出て行ってしまった。身についた品格というのは凄い。
「(はっずかし……!!!)」
恥ずかしかった。ジャグジーから出て此方もさっさと身体を洗い始める。さっきまでの雰囲気に合わなすぎるだろ。なんだ抱かせろよって。めちゃくちゃに吃ったし全然強気な雰囲気など出なかった。どんどん鈍る完成度の低い間抜けな演技に対して御剣は喜んでくれた。
でもあれは多分可愛い、という方向の満足顔だ。
優しくされるのも勿論幸せに思ってくれているだろうが、強引に求められたい。そう思ってくれているのを知っている。だからやったものの、演者を志していた人間とは思えない大根ぶり。犬真似の方が余程上手かったとはどういうことだ。エチュードなんかは結構得意だったんだけどな。
…もし…。あんなふにゃふにゃ演技では無く、本気で強引に求められようと思うのならば、話もせずに勝手に自分の元から離れようとすれば簡単に叶う話ではある。さっきみたいに。ただその時の自分は、御剣の望んでいる状態では無いし、死に物狂いで捕まえた後、何をしてしまうか分からなくて怖い。だから気付かないで、お願いだから大根で満足して側に居て欲しい。
「(役作りの時間絶対必要だな)」
反省会開始の合図として、シャンプーボトルのポンプを押した。
しっかり洗って、言われた通りこれまただだっ広いベッドの上で待つ。
バスローブは着心地が良くて着ていたがだんだん捲れてきて鬱陶しくて脱いだ。どうせ脱ぐからいいだろう。偏見だがこういう所のベッドは全て回転するのだと思ってた。どうでも良いことで気を紛らわせているとバスローブを纏い直した御剣が入ってくる。
蕩けた表情で歩を進めあっという間に自分の膝の上に跨る。目が脱がせろと訴えるので結んであった紐をプレゼントを開けるように解けば露わになる上気した温かい人肌。眼前に広がる艶やかなサーモンピンクの乳首が堪らなくて、快諾を得てちょっとだけ、吸わせてもらった。…十分くらい。すべすべ、ぷりぷり。頭も撫でて貰うともう、最高だった。
ひとしきり赤ん坊の如く堪能させて貰うと、ボルテージの上がりきった御剣は抱きついてくる。愛情を深める抱擁では無く、お互いの同じ所をびったりくっつけ合う、セックスアピールでしか無いいやらしい密着。胸の頂同士がぷりゅぷりゅ擦れ合う。さっき自分で付けまくった唾液がぬるぬるして気持ちいい。下半身も当然擦り合う。緩慢に押し付けられていた御剣の腰が段々とぬちぬちくちゅくちゅ音を立てていく。激しく揺れてしまったら体調が悪くなるかもしれない。心配したのだが、此方にがっちり抱きつくことで身体を固定し腰だけを掻き回すように動かしている。
これは…だいぶ卑猥な動きだ。
「んッ…♡あン♡あ♡は…♡ん"っ♡キミのとこすれてぇッ♡はンッっ…!♡きもちいぃっ…!♡♡ふうっ…♡ふうっ♡ふーっ♡♡ふッふッ♡は、♡……あ、きもち、っはあっハアッ♡あ"っすきっすき、ンッ…ふっふッ♡ふう…っ♡ん"、ふぅ…♡♡」
「うぐっ…♡あ"ッ、やば…アっ♡♡みつるぎッ!ちょっと、擦り付け方がっ♡エロすぎっ……♡なん、かっ…御剣…?あの…もしかして、…オナニー…してる?」
「ぁっ……!?…そんなっ…そんなつもりは…わたしはっ…たしかに、快感は得てしまったがっ!キミと二人で行為をしているのだ!!今は自慰など絶対にしていないッ!!そのようなことッするハズないっ!!」
「ご…ごめんっ…わかった…」
自慰をしているのかと質問すると、顔をこれ以上無いくらい赤く染めて猛抗議された。硬く目を瞑ってじんわり涙まで滲んでいて焦る。ウソを吐いていると思われたく無いようだった。
「(じゃあたまたま動きがとんでもなくエロかっただけなのか。…それはそれで恐ろしい才能だな…。)」
下半身がおかしくなるから変な二物を与えるな。と天を睨んだ。
「ア"あアッぐ、うっ…はあはあっ…みたまえっ…絶頂っ…していないだろう…!♡はあっ」
「ほんとだ…っいやべつに…怒ってたワケでもなんでもないけど…。」
「はあっ…♡ああ…。知っている、結局…待たせてしまったな、興奮してしまってすまない…♡さあ♡折角だ、私が挿れてやる♡ふふ…♡♡」
「うっ…♡うんっ」
スキンを着けてくれる手つきは非常に丁寧。それが寧ろいやらしさを増長させる。御剣の人差し指と中指によって縦に割れた肉壷がぐにい♡とご開帳。興奮した荒い息で自慢げに見せつけてくる。そんなことをされては更に張り詰めた肉がズキズキ痛くなってしまう。
御剣は此方の甘い苦しみで苦悶する表情をうっとり見つめて、対面座位でぬぷぬぷ勃起し太った性器と内壁をびったりひっつけるように飲みこんでしまった。性器を美味しそうにしゃぶりうねるねっとりほかほかのナカで気が狂いそうだ
「ア"ッ♡♡っ…!!♡あっ、あ!すごいっ…!!とろとろッうあっ!ああ"〜……ッ♡」
「んううっ…!!♡ああっ!あんッ…♡硬…ッ♡入ったっ…♡きちんと入ったぞ♡♡なるほどぉっ♡♡どうだねッ♡私の…っあ♡具合は…♡♡」
「きもちいい"ッ!きもちいいっ♡♡なんか、いつもより熱くてっ…!」
「そうか…♡備品の潤滑剤が温感の物しかなくてな…気に入るか心配していたが、杞憂だった…♡」
「ほんとにっ…凄いよ…♡♡」
「フフフッ…♡うれしい…♡…ハアッ…もうっ…♡我慢出来ないッ…♡♡キミの立派なペニスで…っ♡私のナカを…たくさんほじくってほしいッ♡♡」
「…凄いこと、言うな…っ!?じゃあっキツいのするからっ…」
対面座位からまずは静かに寝かすと、腰だけを上げる浅いブリッジのような姿勢にさせる。割れた白い腹筋と勃ち上がったペニスをぷるぷる晒す御剣。身体を震わせていたので、辛いか聞くと『はやくっ♡』と返って来る。とりあえず続けることにした。
「ああっ…♡♡ふ…っ♡ふ♡♡はやくっはやくぅっ…♡きてっ…♡」
普段の冷静沈着さのかけらもない媚びた牝の声を上げ誘う。低く甘い音が鼓膜と脳をむずむずさせてくるのが劣情を酷く掻き立てた。
「御剣ぃっ♡いくよ….っ♡」
「はあ♡あ♡くるぅっ♡♡♡あ、あ、ア"〜〜…ッ♡♡おご、っ♡♡いいっ…♡なるほどうのっ♡♡」
「はあ、はあ…っ、お腹の方、擦るからっ…」
「ぉ、♡ぁあ"っああーっ♡あ!!♡♡あぇっ♡ひぎ♡♡オっ…!!♡お…♡お"っ…♡いやぁ♡せつないぃっ♡腹がッ♡ああ"!!ア!!♡」」
大きな動きでペニスで腹の内側を押し上げて、そのままズリ、ズリ、と擦りあげてみる。ぽこりと僅かに膨らむのがいやらしい。
天に向かって聳り立つ綺麗な色の肉棒から鯨のように潮を噴き散らす御剣。よっぽど気持ちいいのか既にブリッジは無残に倒壊し白いシーツの海に沈んでいたので掴んで持ち上げている。
これは調べて初めてわかったことだが。とにかく揺らさないようにと考えた腰の動きは、一般的に受け入れる側にとって闇雲にピストンするよりも快楽を得るそうだ。技術が無いと、激しければ激しいほどお互い良い。とはならないらしい。優しく、それでいてねちっこく。実際御剣はいつもそれで十分狂ってしまいそうなほど善がっている。
もし御剣の体質がなければ経験の無い自分は猿のように腰を振っていたのは確実だったし、我慢もすぐ覚えられたか正直わからないし、御剣を満足させられなかったかもしれない。人生万事塞翁が馬とは良く言ったものだ。実際自分が世間から見て上手いのか下手なのかはもう一生涯わからないが。
「なるほどう…♡ぜんりつせん…して…っ♡♡オ"ッ…!♡オ"♡それぇ♡♡すごいぃっ♡あぁあ〜っ♡♡あたまがっ♡おがしくなるッ♡♡♡こんなのぉっ♡♡すぐっ♡イグ♡いぐッいぐぅうっ…!!!♡あッあッ♡♡はへっ…♡へ…♡あッあッ!?♡♡ほ、おぉ"っ…!!♡♡ああぁ…っ♡なぜっ♡なゆほどっ♡♡まだいくっまたいっていりゅ"ッ♡」
「ぐぁッ…!?♡し、締め過ぎ…!!ふうー…ッはあッはあ…あ"ぅっ…や、やばかったっ、みつるぎ…、イクの止まんないのッ?大丈夫…?」
「ふっ…、…う、あ"…ッ…♡つらい…っ…なるほどうっ♡すまないっすこし、すこしやすんでも、っはあ、いいだろうか…っ?」
「…!もちろん、当たり前だろ…っゆっくり休んでよ…」
「は…、ふ、ふふ…っ!けほっ、なにも…泣かなくてもいいだろう…っ」
初夜の時。行為を止めることをあんなに悲しんで拒絶していた御剣が、自ら休みたいというなんて。お互いにだが、慣れて来た証拠だ。思わず涙ぐんでしまったのを笑われる。その笑顔はなにより幸せそうだったので心に喜びしか湧いて来ない。
休んでいる間も離れてほしくないのか頭を引き寄せられて顔一面に魅力的な胸板がむっちり広がる。呼吸の度良い匂いがする。自分の吸う空気だけ、全部これになってくれないかな。御剣も深呼吸をしているからナカが緩まったり絞まったりしするのがかなりクる。胸の空気をボンベに溜める方法を真剣に考えていると段々と落ち着いて来て良かった。
何分か極楽を満喫すれば呼吸の落ち着いた御剣が抱えていた頭を解放する。
「は…♡もう平気だ…。おかげで、すっかり落ち着いたのだよ…♡」
「良かった。じゃあ、たくさんえっちしよう…御剣…♡」
「うム…ッ♡」
先程最初の一練りで既に御剣はべちゃっとシーツに倒れ込んだので始めから両手で腰を持ち上げておく。
「入れたばっかりで前立腺はキツすぎたかな…もっと手前からにしよっか…♡」
「あッ♡あっ♡承知ひたっ♡おねがいするっ♡」
「はは、御剣…これすきだよな…♡」
「あ…♡あん…ッ♡あん♡あんっ♡んううぅ〜……ッ♡♡ああっ♡きもちい♡はう♡やんッ♡やんっ…♡だめっ♡音がッ♡ひうぅっ♡♡…ペニスをっ♡縁にひっかけるのはぁっ…♡♡」
「気持ちいいねみつるぎ…♡は、あッ♡お尻の浅いとこっ、くぽくぽされるといっつも、高い声出ちゃってるぞ…っ♡」
「ひぁ♡♡あさいところだめぇっ♡だめなのだっ…♡あ♡あ♡ふちがっ♡きみのさきっぽと♡きすしているっ♡♡こんな…あまやかされてはっ…緩くなってしまうのにいっ…」
「ゆるいのもかわいいよっ…ナカ丸見えでぱくぱくしてて…!♡あとで見せて…ッ♡」
「ああっ…♡なるほどう♡♡みせる…♡♡みて♡わたしをみて…ッ♡」
御剣が淫乱で開放的な性格になる度すらりとした脚はどんどん外に開いてきて所謂ガニ股になる。内腿の肉が汗ばんでしっとりしている。
ねだるように腕を掴まれると思いっきり腰を叩きつけたくなって良くない。引き腰を意識しながらまた浅くてよわいところを大きく間を開けて肉棒を前後させたり、ねっとりした柔らかい肉壁を深く押し潰したりして飽きさせないような動きでいじめる。
「きもちいいっ!♡あっ♡あ♡ぁんっあん♡はあっ♡はあ♡いい♡いい"っ♡♡すき♡すきいっ」
「御剣、せっかく両手開いてるんだし…おっぱいいじってもいいよ…っ」
「あ、…っ♡で…では…遠慮なくっ♡ん♡んん♡あ♡あッ♡あっ♡あ、♡はっ…♡♡とまらないぃ♡すきなうごきバレてしまうのにッ♡こんなっ…なんて♡はずかしいっ…♡♡」
「おっきい先っぽ、カリカリするの大好きだもんな…♡抓るのは強いの好きみたいだけど、コレはどっちが好きなの…?」
「わっ…あっ♡あ♡わたひは♡かり、…か、り…はそのっよわい、のを…♡こうしてはやく…うごかされるのがすきっ…なのだっ…♡」
「(うわぁ……な、なんだこれ…えっろ…鼻血出そう)」
まさか実演付きで答えてくれるとは。しっかりと心に刻みつける。
「いっぱいかりかりしててっ…おまえのおまんこゆるゆるにするからっ!」
「おま…っ♡♡ひあぁっ♡ひがうのにっ♡わたひのはしょれではないのにいっ♡あんッ♡あう…♡♡」
「おまんこだよっ大好きなっ…僕だけのおまんこッ♡言って♡御剣のはおまんこだって言って…っ♡」
「言う♡♡言うからあっ♡もっと…ッ♡私を…わたしをほしがって…っ、あん♡ぁんっ♡あん♡♡わたしの…コレはっおまんこ…♡キミだけのもの…♡なるほどうだけのおまんこ♡♡」
「ハアッハアッ…!!♡みつるぎっ!!♡みつるぎだいすきっ♡♡だいすきだよっ!♡♡」
「うれしいっわたしもっ……♡だ…だい…すき……♡♡」
ちゅぱっ♡ちゅぱっ♡と敢えて音を立てるキスをして興奮を底上げし少しずつ、挿入の深さを変えていき、先ほどの前立腺の方まで辿り着くとぐにぐにねちねち、ねちねちといつものように揺さぶらないように捏ねくりまわしていく。たまに一回だけ、ぐにッ…と大きく押し潰す。比例するようにピン!と突き出る舌がかわいい。さっきまで夢中になって乳首を弄っていた手にもう力は入らない。だらんとシーツに投げ出されて快楽を享受するのみだ。
御剣の男で低い声なのに、あんなに可愛かった声が獣のように変化していく。別人のようだ。さっきのも好きだし、御剣の綺麗な顔から発せられる下品な喘ぎ声も大好きなので満遍なく聞けて嬉しく思う。
「あ"……ッん"♡ん"♡ぉ…♡お、ゥッ♡んぅ"♡んお♡おっぎいっ♡しゅぎっ♡♡う"〜ッ♡むりぃっ♡♡うごけないっかりかりできないぃっ♡♡ぉ"おっ♡ごわれりゅッ♡ばかになりゅっ♡♡お"うッ♡♡オう"ッ♡オ"〜ッ…♡♡」
「うんっ…ごめんね…♡…ッ♡やばっ…♡奥すっごい締まるッ…♡♡きもちい…ッ♡♡」
「あ"ぁ〜っ♡あ"、お"っ…んぎっ♡ィっ…!!♡♡そこ!!ふかしゅぎるッ♡もういぐ♡いぐッ!!イッ♡♡んうぅ"う〜〜ッ!!!♡♡♡」
「……くッうあっ……」
御剣の使われていない色の薄いペニスは音が鳴りそうなくらいに勢いよく射精。ねばつく肉壺から自身の赤黒い可愛くないモノをずるんっ♡と引き抜く。抜かれた刺激で断続的に続き持ち上げられた腰が大きく見事に跳ね、ゆるゆるでぽっかりになってしまった縁が呼吸に合わせてぱくぱく収縮。息も絶え絶えなのに約束通り惜しげなく糸を引くねとついた肉のナカまではっきり見せつけ、目を楽しませてくれる。
「はっ…♡あ…♡♡は、へ…♡なるほろお♡わっわたひを…みてほし…♡♡はア…はあっ…♡♡」
「すご…♡相変わらずえっちな色だな…っ♡」
「は……♡き、キミのカタいモノこそ…ッ♡♡…!?な!なる、ほどうっ…!?」
「ん…?っなに…?♡」
「…なぜ何も!、…先ほど出していないっ…のか…?」
「え…あっ……これは…」
美しい恋人のあまりに淫乱すぎる見せつけショーを楽しんでいて忘れていたが、先程共に絶頂することは叶わず未だ薄いスキンの中でじくじく熱を昂らせている怒張。いつもであれば存在している筈のでっぷり溜まった白濁が見受けられなかったことに上気していた顔色は一気に青褪めていく。
「そ、んな…ぅ……っわ、わたしのなかはもうっ…だせないほどっ…、ゆるいのかっ……!?」
「ちがう!違うって!!凄い締まってた!最高だったよッ…!ただなんか、我慢してるとどうしても、回毎に図太くなってる気がしてて…でも寧ろ御剣を満足させられるし、良いこと…じゃないかな…?」
「ふざけたことを!わるいにきまっているだろう!!わたしばかり…!そんなことでは嫌だっ!!成歩堂、もういちど…っ」
「え、で、でも…ぜえぜえいってたし、流石にさ…」
「なぜ…っ!?…たくさんすると、言ったくせに!!…いやだ…こんな……っ…」
「なっな、なかないでっわかった!分かったからおねがいっ…それだけは…っ!?あっ…!!まって!!駄目だめダメッ!おねがいまって騎乗位だけはダッ…ゔぁあ!!♡♡入ッ……♡♡♡」
「アあっ♡♡ぅ、うごけなっ…♡♡しゅまなっ…ひさしぶりでっしつねんして…っ」
「うごいちゃだめなんだってっ…!おまえっ…♡あ、っ♡くっ…、う、♡ちょっとでも体調崩したら言えよ…っ!?もし黙ってたらもう二度とセックスしないから…!!」
「いや!いやだッ!キミとセックスしたいっ♡♡わたしのおまんこでイッてほしいのにっ!成歩堂っ!なるほどおっ…!!♡わたしは…キミでないとダメなのに…ッ!わたしのおまんこじゃないと、満足出来ないと……ぐすっ…言って……」
「ウ"っ…!!?みっ…♡みつるぎっ…♡♡ごめんっなかないでよっ僕が悪かったからッ…あともうおまんこって言わなくていいから…ッ♡♡すごいクるそれ、だ、だいじょうぶやばいッいまのでっ…あ"っ♡ぜんぜんっ…イキそうだからあ♡♡」
「あ…ッ♡♡…なら……ッならはやくいいたまえ…ッ♡わたしの、キツいッキミ専用おまんこで…♡♡イくと…ッ!わたしのおまんこじゃないとダメだと言えッ♡♡早く出せ!♡濃いのを出せッ!!♡♡」
「やっ…!!締めないでッ♡♡普通にでる♡♡ごめんなさいっ♡みつるぎのおまんこじゃないとダメッ♡きもちいっ♡みつるぎのおまんこでイくから!!♡♡あッ♡あっ♡ゆ、ゆるひて…っ♡♡むりぃっ♡♡もうイッ……!!出るうっ♡♡イクッ!ああっぁ"あ〜〜ッ♡ああ〜〜っ!!♡♡♡」
「あつ…っ♡♡あ…い、イッたのだなっ…?ああっ…!!よかった…♡成歩堂♡ありがとう…♡すき…♡あいしている…んちゅ…ッ♡ちゅ♡ちゅっ♡れろ♡れろッ♡」
「ン"!!!!ン〜〜ッ!!!!♡♡♡」
(じぬっ!!息はさせてぇっ……♡♡足攣るッ♡しぬ………っ♡ほんとにしぬからァ……………ッ♡♡)
こんな会話をしたような気がする。会話と言って良いのか、もう知らない。意識も失わず鼻血も出さなかったのは進歩したと言わせて欲しい。
ヒューヒューゴホゴホうるさく上下する背中を正気に戻って心底申し訳ないといった顔の御剣に優しく摩って貰った。爺さんみたいだ。
「成歩堂…、本当にすまなかった。…どうだね。気分は」
「うん…しあわせ…もっとなでて…」
「ああ…もちろん」
息を整えたのを確認するとベッドの端に正座し俯く灰色の頭。風呂場での自分は多分こんな感じだったのだろうと想像すると可笑しくて吹き出してしまう。男らしい魅惑的な太ももに頭を置くとびっくりするのが愛おしい。年寄りになっても背中摩ってよと軽口を叩けばガマンできなかったのか御剣も笑う。長生きしなければ。と、頭を撫でてくれた。
そして現在、二人でシーツと布団の間に潜り込んで御剣に抱きしめて貰っている。顔をひっつけて呼吸する。汗ばんだ胸板の香り。後頭部に感じる手のひらの温もり。安心する。堪らない、ずっとここに居たい。
「キミは本当に胸がスキなのだな…♡そんなにくっついては、また酸欠になるのではないか?」
「うんふっごいふき。だいひょうぶ。…はぁ…」
「なら良いが…ふふ、こそばゆい。」
「ん〜…♡…あ。…そういえば…どうだった?ラブホテル。楽しかったか?」
頬擦りしていた顔を上げ感想を聞く。急に話が変わったので何処かきょとん。とした顔の御剣、かわいい。
「ム?……すまない…私が言ったのに。正直な所、家と内容が変わらないような気がした。」
「ははっやっぱり?おまえんちだって、十分トクベツって感じするからなあ。大丈夫、ヘンなオモチャとか、そこにしか置いて無いモノとかあるからさ。そのうち行こうよ。」
「ヘンな、オモチャ…」
「興味ある?一回だけ、使ったことあるよな」
「…そッ…うだな…。あの、例の…っ」
「そうそう。」
もう一人の親友、または悪友に押し付けられてなんやかんや楽しく使った犬耳(イケナイしっぽプラグ付き)のことである。
初めてのオモチャ。というかあれは最早コスプレ、イメプレの域だ。概念をフグサツにするとまた面倒なので取り敢えずオモチャ、と言わせて頂く。
「(…よく考えたら初めてがアレなのか…。)」
豪勢な天井に星座の如く浮かぶ白い耳と尻尾。改めて、初心者同士にしては随分とステップを飛ばしてしまっている。
「っまあ、それは置いといて。ホテルでぶっつけ本番は流石にマズいから…。一回なんか買ってみようか。他にも。」
「うム、そうだな…。」
次の予定が決まり。ようやく目を閉じても、輝かしい日の出は一瞬でやって来る。アラームのつんざく音は二人の気怠い身体に鞭を打ったが、目覚めたばかりの顰め面同士目が合って、それだけで、幸せだった。