3.次の日のナルミツ目を覚ますと、そこは極楽だった。
すべすべした触り心地の何かに包まれている感覚で、目覚めた成歩堂の脳内に浮かんだ言葉だ。
「起きたのか」
「御剣…抱きしめてくれてたのか?」
身じろいだのを敏感に悟った御剣は、自らの胸の中にいるツンツンした黒髪を撫で付け話しかけた。成歩堂は動かないまま返事をする。昨夜、一晩中お互いを求め合った二人は一糸纏わぬ姿ですべらかなシーツに身を包まれている。
「見れば分かることを、不満かね?」
「はは、まさか…ありえないな。そんなこと。……あ"〜……ふぁ…さいこう…しあわせ…」
寝起きの低い甘え声を出しぐりぐりとおでこを御剣の胸に押し付ける。ちゅ、と唇を押し付けても文句は返ってこないのでもう何回か感謝を伝える代わりにしておく。満足したので上半身だけ起こし大きく伸びをすると肩の骨がぱきぱき音を立て、気持ちいい。同じく起きた御剣は音を聞くと片方の下瞼をくいと持ち上げた。
「すさまじい音だな…大丈夫なのかそれは」
「ふぁあ……。…えぇ?あ…伸びた時の?普通、じゃないのか?オトナのオトコなんだから。寝てたらなるよ。」
「ム…?私はその様な音は鳴らないが。」
「御剣、身体柔らかいもんな。」
いつも助かってます。へらり笑えば無言で頭を軽くはたかれる。ばかもの、とだけ呟くがそれ以上は怒らなかった。床へ爪先を下ろした御剣は大きな窓の方へ歩いて行って、遮光レースを残してカーテンを開けると成歩堂の方へ振り向く。
「そういえば。キミが昨日持ってきた食事を頂いた。美味しかった、…ありがとう。」
「食べてくれたのか、お粗末さまでした。…ふあぁ…。」
「ム……。成歩堂、先ほどから何度かアクビをしているが…寝足りないのか?もう陽を取り込んでしまったが、寝たければ寝ても構わない。…今は…八時か。三時間程しか寝ていないのだぞ。」
開けた布を少し閉じ、成歩堂の身体が丁度日陰に覆われるように調整してやる。眠そうな男は手のひらを左右に振って「おきるからいいよ」とベッドから身を乗り出したので、それならば遠慮なくもう一度全開にし、窓際にあるフックに纏めた布をひっかける。反対の方は歩いてきた成歩堂がのんびりとした動きで溜めてくれていた。
「まあ、あんまり寝てないんだけど、大丈夫。夜寝れないと寧ろ困るから。御剣こそ寝てないんだろ?平気なのか?」
「それについては私も同感なのだよ。お互いがそれで良いのならばこれ以上言うまい。…取り敢えず、コレらを洗濯しなければならないな。」
「眠気覚ましにやるよ。ついでにお湯張る?一緒に入ろう。……そんな、赤くならなくたっていいだろ!変なことしないって!」
汚れたシーツをくるくる腕に巻き取った成歩堂は、お互いの脱いだ衣類を両手に持った御剣に入浴を提案する。目が合い顔を赤らめてしまったのがバレて、成歩堂にも移った。思いっきり眉間に皺を寄せる。誤魔化す為に、共に入ろうと言ったのは其方だと非難しながら。
「な、なっていない!それに!変なことをするなとも言っていない!」
「おッおまえ……、(僕をコロす気なのか…?)」
「と、兎に角歩くのだ成歩堂っいつまでも突っ立っている時間は無いッ」
「ちょっ、言ったな!ちょっと…変なコト、するからなっ!」
「臨むところだっ、できるモノならばやってみたまえ!」
「やっぱりさ、防水シーツ買った方がいいと思うよ、僕は。こんな良い布なんだし、もう何回かやっちゃってるけど洗濯機に回すのもって思うし、何より汚すのもったいないよ。」
「……確かに、合理的だが、私は…その、あのごわごわした感触がキライなのだ。大きさもあって、値段もそれなりに張る。購入意欲が湧かない。…それに…そこまで汚れるワケでは無いし、ん、ム……消耗品なのだからまた買う。それで良いだろう。」
「まあそうなんだけどさ…。」
浴槽にお湯をたっぷりと入れている間。二人は暖かい浴室内の床で汚れたシーツのおおまかな部分を洗っていた。取り敢えずシーツを単体で洗いたいので、洗濯カゴに脱いだ衣服を入れた御剣は新しく下着を履こうとしたが、風呂に入るのにわざわざ洗濯物を増やすのは面倒だと成歩堂に説かれ結局お互い裸のまま過ごす。
自分はきちんと浴槽の淵に腰掛けて、壁に背を充ててバランスを取り、脚を組んでいるのに。対する成歩堂は普段通り脚を開いてしゃがみ込んで、ざぶざぶ水音を立てシーツの汚れを落としている。御剣は開いた脚の間にある数時間前まで己のナカに入っていたモノが気になって、気になって仕方が無くなってしまうので意識しない様にしていたが、身体は正直で、時折ちらちら♡とその方角へ視線を合わせようとする瞳が憎い。
「(こ、これではまるで私が、ヘンタ……。…ヘンシツシャのようではないか!!キサマのせいだ、成歩堂…!!)」
「こんなもんで良いか。えーと、ネット入れて…ぬるま湯…やっぱり水とは落ちがちがうのかなあ。…よし動いた。」
一度浴室を出て、独り言と共に洗濯機をぽちぽち操作する。静かな音を鳴らし始めたのを確認した成歩堂は、御剣の理不尽な憤りには気が付かない。いいなあ、ドラム式温水洗濯機って。心の中で設備の豊潤さに感動していた。
「(そもそも先程変なことをしてやると言ってきたのは成歩堂だ、忘れるとは何事だ!い、いや私は別に、するなとは言っていないと、言っただけであってしろと言ったワケでは決して…!)」
「御剣?御剣…?大丈夫か?お湯沸いたけど…。」
「ム、っ?そ、そうか…ッそれでは…入浴を開始する!」
声をかけると急にすっくと立ち上がり、事件現場でも捜査する意気込みで入浴の意思を見せる御剣。顔はマジメなのだがここは風呂場でお互い素っ裸の状況では滑稽なだけである。
「(どうしたんだ急に。まあなんでもないならいいけど。…それにしても、ホント…綺麗な身体してるな…男のクセにきめ細かいというか、なんというか。よく見たいけど、いつも急かされて中々じっくり見たコトないんだよなあ。…あ、そうだ)」
「…成歩堂?今度はキサマが黙ってどうするのだ。」
「思い出した。」
なにを、とシャワーヘッドに手を伸ばし口を開きかけた。急に両手を掴まれ何か平たい物が後ろにぺた。と当たる。御剣の背は浴室の壁にくっつけられており、真正面には至極真顔の成歩堂が自分に影を作っていた。状況を理解すると、あけすけな裸体をじろじろ見ていることが判明し身体の熱が悲鳴を上げる。
「なっ、…急に…何を…」
「いやあ、さっき変なコトするって言ったの思い出してさ。まあ触ったりとかじゃなくて、ちょっと身体見せて欲しいだけなんだけど。」
「今更思いだしたのかキサマ!それにっなんだその要求は、私になんの得があるのだっ」
「え。それを言われると、なんの得か…ん〜、……僕のでよければ見ていいよ。なんて…お互いにってことで、…やっぱダメ?」
「駄……!………クッ…卑怯者ッ!好きに…しろ…」
「(良いのかよ…僕が言っといてなんだけど、メチャクチャダメ元だったぞ。)
元々そこまでなかった抵抗心を無くし、後ろ手で壁に手を付く御剣。敗北した女戦士のようだなと大変失礼なことを成歩堂は思った。しかしそれだと自分が無体を働く野蛮人になるので訂正しておく。流石に本気で嫌がることはしない。了承してくれたので、有り難く見させてもらう事にしただけなのだから。
「壁…冷たくない?」
「た、大したコトはない…。」
「良かった。…。」
壁に片手をついた、渦を巻いた瞳に捕捉される。目が合って、また下の方へとゆったり下がっていく伏せ目には男の色気がある。じっくりと見られて羞恥心が全身の血液を沸かせると、身体の肉はそれに応じて形を変える。
「かわいい…綺麗だなあ。御剣…。おっぱい、勃ってきてるよ。」
「は……♡はっ………はぁっ…♡」
ぷっくり腫れた乳首は交際を初めてから少しずつ大きくなった。気のせいではすまされない程度には。初めて触られた時など、くすぐったさと、一生懸命に快感を与えようとしてくれる男に母性のような感情まで沸くほどだったのに、今では立派な性器の一つとして存在している。大分薄くなっている、昨日付けられた成歩堂の歯型がじくじくと疼く感覚。もう一度つよく噛んで欲しい。あの熱い舌で舐って、柔らかくて厚い唇で何度でも吸って欲しい。確かにそう思っている自分は酷く淫猥で、そう変えたのはコイツだ、私のセキニンではないと誰に言うわけでも無いのに心で言い訳する。
成歩堂は次に御剣の下腹部をじっとりと鑑賞し始めた。性器と、下生えをじっとり見つめられてイヤでも、…イヤではないけれど。ぴこ♡と反応したが彼はそこでは何も言わない。恐らく態と言わなかった。言えば行為がヒートアップしてしまうことが分かりきっているから。そこまでして眺めたいのか、毒吐くものの、どくどく鳴る心臓にウソを吐くことはできない。自分とてこの状況に非常に興奮している。
そういえば、と昨日の行為で服を脱がされた時もソコを見つめられた事を思い出す。性的嗜好…好み、なのだろうか。一応手入れを欠かさず行っているが、自分の身体を見る際にそこだけが黒めで嫌に目立つのが御剣は恥ずかしかった。しかし体毛の色なんて、わざわざ染めるような事まで出来ない。そもそも肌の薄い部分に染料を使うのも良くない。せめて形を整え薄くして目立たなくさせている。
「最近、ソコ、を…ん…♡じろじろと、見てくるのだな…」
「あぁ、…バレてたかあ…なんか…恥ずかしいな…。結構、いや凄い、好きなんだ」
「なにを、恥ずかしいのは私の方だ…!悪びれもせずにそんな事を言って…」
「恥ずかしいのか?こんなに綺麗じゃないか。」
「ム。これは…きちんと手入れをした結果なのだよ。綺麗かは知らないが、整っているのは当たり前だ。」
へえ、そうなんだ。生まれつきだと思ってた。他の所はあんまり生えないみたいだから。手入れについて興味が沸き始め、先程より欲熱の冷めた瞳がじろじろと無遠慮に見つめてくる。急に冷めるな、珍しい草でも見るような目で。スキなのでは無いのか。愛しさ余って、御剣は苛立ちすら覚えた。
「おい、成歩堂。キサマ、私は観葉植物では無いのだぞ。」
「ごめんって、相変わらず丁寧だなあって感心しただけ。…ところで…思うんだけど。」
「フンッ、何だ。」
「整えてるってことは、本来ならもっと、えっとぉ、濃い…って考えても良いのかなって……。」
「……………、」
「ちょっ……だ!黙らないでくれよ…!僕だって、ヘンタイっぽくて、キモチワルイこと言ってるのは分かってるよ!ごめんてば!」
「ムッ、そのようなこと、キモチワルイとは言っていないだろう!」
「思っただろ!」
「思っていない!」
想像より深いシュミだったらしい。色々な意味で。ちょっと、まあ、変態クサイなとは思った。ただ正直分からないでもないし、好いた相手に、そのままの姿を想像され興奮されることは決して悪い気はしない。彼以外に言われたら気持ち悪くて仕方ないと思うが。すっかり気まずそうに自分から目を背けた成歩堂の顎を掴んで無理矢理こちらに向けてやる。
「み、みふるぎ、…おこっへる…?」
「怒っていない。…フ……そんなに、私が好きなのかと、仕方のない男だと思っただけだ。何か反論は?」
「う……その通りです…。」
「フフン、素直ではないか。悪くない。」
「悪くないって…、じゃああの、今後…見せてくれたりとか、したりとか、ないかな……。お、お願い…。」
「みっ……ム……本当に、本当に!仕方のない男だ!キサマは……ッ♡…分かった、そのうちに…考えておく。」
お願い。悪い気がしないモノに追い討ちで言われてどう断れと。
それにこの男には、自分の体質で随分とガマンと苦労をさせている。不満の顔色を見たことは無いし、常々好意を口にしてくれる。否、例え言葉で出力されなかったとして、些細な行動で深く愛してくれている事は胸が苦しい程に伝わってくる。関係に不安は無く、罪悪感すら忘れて行為に没頭するばかり。だからといって、労わって当然だろうと思う日など来る筈も無い。要望には応えてやりたい、そう思うのは恋人としてごく自然的な発想だろう。非常に恥ずかしい、恥ずかしいが。
「え。え良いのかっ、うわあ…御剣…嬉しいよ!」
「喜びすぎだップレゼントでも貰った子供か!」
仕方のない上に恥ずかしい男だ。
「ごめんごめん、…じゃあ、もう入ろっか?風呂。あ…まだ全然あったかい。いいな…保温機能。」
「は……?私の番が回って来ていないのだが?約束が違うでは無いか。」
「え、見たいの?僕のカラダ。そんな大したもんじゃないよ。」
「それはキサマが決めて良いことでは無い。」
「ええ…。わ、分かったよ。」
「さっさとしろ。壁に背をつけ。」
「(なるほどう、なるほどうのっ……♡)」
御剣は口に考え事をするように握った手を充て目の前に広がった、いつも愛してくれる、己よりも濃い肌色の身体を穴が空く程見ていた。主に下半身を中心に。
「う…これ、思ったより恥ずかしい…、おまえよく我慢できたな…。」
成歩堂は壁に手をつけて大人しくしているが、紅潮した顔で目を瞑って唇をむにゃむにゃさせ羞恥に耐えている。
「ふん…。堪え性が無いぞ、成歩堂。それより…なんだ、これは…?勃ってきているではないか…♡こんな状態では湯に浸からせることなど出来んな。」
「絶対言うと思った!そうなるに決まってるだろ!御剣だって…だから僕は言わなかったのに!おまえも十分ヘンタイだよっ」
「黙れ。私のコレは私のセキニンでは無い。」
「…そればっかり言う…はいはい。ごめんなさい。僕のせいデスネ。」
「うム」
「(うム、じゃないよ!)」
責任を取ると言ったのは間違いなく昨日の自分自身であるので、文句は言わないけれど。
御剣は興味津々なのを隠す気が無く床にしゃがみ込み、じ…♡と一点集中で見つめる。
ふう♡と温かい息がかかって、むず痒くぴくぴくハネるのを見逃してくれる訳がない。白い唇が弧を描く。腰を引きたいのに、壁に突き当たっているお陰で叶わない。
「うっ♡、みつるぎ…まさかとは思うけど、最後までシないよな?ダメだよ、今日は流石に…」
「ふぅ…そこまで私が考え無しの人間だと…?こちらとて準備も出来ていないのに迫れるワケがないだろう。」
「なら良いけど…」
そうは見えなかったんだけど。
色香をたっぷり含んで、下から上へ視線で舐め上げて来た御剣は、成歩堂の顔を見ながらそういえば。と形の良い口で紡ぐ。
「キミは全く口淫を迫って来ないな。何故だ?」
「こういん…、……。…フェ…な!?そ、いきなり何言い出すんだ!?」
「驚くことか?キミの深いシュミより大衆的な嗜好だろうに。」
「うるさいなぁ!悪かったよ!普通にスキだよ!多分!」
「そうか。ならばしてやっても良いのだが」
今!?…。成歩堂龍一驚嘆の声が浴室に響く。今だが。寧ろいつやるのだと呆れた様に言われた。そんな顔をされる道理は絶対無い。
「ダメだって、触ったりしないって話だったじゃ無いか」
「それはキミが勝手に言っていただけの筈。私はそのようなことは一切発言していない。記憶を捏造するのは良くないぞ?これは経験則から来る助言だ、しっかりと胸に刻むことをお勧めする。」
「ほんっっとに笑えない冗談言うよな!おまえは!もう何も返せないだろ!はあ、もう、尊敬すら感じる。」
「ふム。いい心掛けだ。」
嫌味すら通じない。
「もう降参だよ…して欲しいよ、お願いします。」
「構わない。」
「(なんて図太いんだ。…呆れより嬉しさの方が大きいんだから僕も救えないよな…。)」
折角して貰うのだ。もうヤケだ、楽しもう。成歩堂はシャワーヘッドに指を伸ばす。
御剣はそれをパン!とはたき落とす。想定内の動きと言わんばかりだった。
「いて!な、何!今度は何だよッ…うあ!?ぅ"っ♡!?み、みつるぎっ!みつるぎ、ってばぁ!あっ!あっ!うぁあ"♡」
「ひみが、っ♡ん……ちゅっ♡ぢゅっ…♡んぐ、んぷ、ぷはッ♡…は♡…余りに奥手なモノだから少々苛立ってしまった。申し訳ない。謝罪する。」
「だって、き、汚いと思って…うっうう…」
「泣くな、成歩堂。私が綺麗にしてやる。」
洗おうと思っていた自身を遠慮なく舐めしゃぶられ、オクテだと揶揄される。こういうのは普通、初回ならお互いもっと恥じらいを待って行うのではないのか。ムードも何も無い。生娘のように啜り泣く成歩堂にいつになく優しく微笑んだ御剣。叩かれた手の甲を慈しむよう摩られ、襲われ濡れた可哀想な先をちろちろ♡と紅い舌で慰められると、素直で何も知らない愚息はより硬度を増す。
「う…、っ♡ありがとう…ぜんぶおまえのせいだけど…」
「んム♡ 」
御剣は後半の言葉を思い切り無視するとまた成歩堂の聳り立つペニスを口に含み始めた。
「(はぁ♡先程も思ったが、なんて、味なのだ…♡少し塩味があって、とても苦くてッこれが…成歩堂の…、たまらないっ♡眩暈がする♡)」
口内に興奮で蕩け粘った唾液が溢れる。それに泳がせるように、ペニスをたぷたぷ動かしてやる。情欲に染まった瞳で、必死に腰を手で抑えて、膝を子鹿のように震わせ涙を貯めている男の可愛い顔をちらり見据えると口を小さく窄ませ唾液ごと先走りを思いっきり吸い上げ追い討ちを掛ける。成歩堂はもう、脚で身体を支えられない。
「ぁああっ!!あ…っ、アッ…!あ…っ!あ、
いやだ、う"っ!♡ふ、ううぅっ!♡ああっ!ぎもちいいっ!もう"、う!みつるぎ…もうたてないっ、離して、…いっかいすわらせてくれっ!うごきたくなるっ!」
「ンッ♡じゅるっ♡ちゅッ♡ちゅ…♡……そんなに気持ち良ければ…我慢しないで、んム♡わたひの頭れも掴んでっ♡無理矢理♡おしこんでみえばいいのだっ♡頭だけならば、へいきかもわからないだろう♡」
「できないっ!!なんで、そんなこと!ぐ、ずっ…きずつけたくないっ…ぼくは…ゔっ♡♡」
「(成歩堂…♡こんなにも、スキ勝手にされているというのに…まだ私のことを…!キミがそんなことを言うからだっ!きもちよくなってほしい……やさしい、私だけの男…。)」
「みちゅるぎっ♡おねがいっ…!」
「♡んぱっ…♡フ、フフフ…っ♡わかった…まっていてやる…。」
成歩堂の背中が壁を伝いゆっくりゆっくり降りてくるのを凝視する瞳、獲物が諦めるのを待っている。法廷で、異議をぶつけ合う時の自信に満ち満ちた微笑みとは似ているようで、まるで違う。膝立ちをして成歩堂に奉仕していた御剣は、尻餅を付いたのを確認すると四つん這いの姿勢になる。艶やかに見せつけられる肢体。ぞわぞわ欲情するのと同じくらい、恐ろしい。ぺた。そろり、あくまで優しく近寄ってくる。美しい獣に抵抗する術も無い。心まで喰われる代償に快感を享受する。
「はあっはぁっ…はア…ッ…あ、まって、まっああっ!!みつるぎ!!♡そんな、っ……!?おくまでっ……!」
「ふ……っ、ングッ♡♡んむう……♡ん"!ん♡
ゔえっ、ぐずっ、ふぐ♡ん"、ムむっ!」
「あ!ぅううっ…!♡あうっ♡むり、むりしないでくれっ…御剣っ!みつるぎっ!」
「ひへいないッ♡いいからッ!こいのをッだへ♡わたひの!おぐにっ!♡」
「あっあっ!!みつるぎッ♡♡で、るっでる!!ア"…あアッ!!」
「ぁぐっ♡お、あ"っ……う"ぇッ♡♡えっ♡ん"…………ッ!!…ふぅッ…ふう…♡んぐ、ん…ぐ…♡」
喉がきつく締まる、苦しいに決まっているのに、御剣は根元まで咥え込んで、ぶるりと身悶えながら瞳を隠す。生理的な泪を流し精液を胃の中へ収めていく。濡れる睫毛が嫋やかで麗しくて、言い訳出来ない無い卑猥な光景である。
かぽっ。と水音を立て、すっかり萎えたものは漸く外へ解放された。唾液と精液が混ざった物が口からまろび出して浴室の床に流れ落ちる。御剣は、まあ予測はしていたが、苦しかっただけで特に何かイヤなことを思いだしたり、気分が悪くなったりはしなかった。成歩堂が頑なに動かなかったから、加減を調整出来たのも大きい。自分が彼にしてやれることがまた一つ、増えた事が幸せだ。
荒い息を整えていると、顔が近くにあって刺激したのか、出しきれなかった成歩堂の子種が元気よく少量飛び出して、反射で目を瞑った顔へかかる。苦くねばっこい白濁液はまるで舐めろと催促するように、唇の稜線を執拗になぞる。そのせいで先程もっていた嗜虐的思考とは真反対の、被虐的なココロが首を擡げ、指で掬い取って猫の毛繕いの如く舐めて綺麗にすると、成歩堂は肩で息をしながら据わった目でその一部始終を見ていた。
「ん…♡はあ、けほっ…はあ…♡にがいな…♡」
「はぁっ…は、ッ…!みつるぎ…!!!」
「んム!?♡なるほどうっ…?いま、口付けはっ…私はキミのものをっ…!?」
自分の為にだけ出された子種に夢中になっていればいつのまにか、成歩堂と同じ体勢で向かいあい、直ぐに口付けをしてきたので、イヤな顔をされては困ると思い拒否しようとした時、世界が回り、腰を高く上げた四つ這いの姿勢で成歩堂に押し倒されていた。
「な、!こんな、いやっ♡は、はずかしいのだよっ…♡」
「煩い。はぁっ…静かにしてろ。どうでもいいんだよ。」
「ひ、っ…♡わ、わかった…すまない…。あっ……♡成歩堂っ、硬いのがっ当たって…♡あっ!そこは!♡やぁっ!いや、ああっ…!♡そんなところを触っては…!!♡」
此方の異議を冷たく吐き捨て卑しめる声は少しばかり心を萎縮させたが、被虐心が快楽も同時に拾う。成歩堂の、先程までふにふにと小さく可愛らしくなっていた筈のペニスがまた膨らんで下半身を押す。腹がきゅうきゅう寂しがっているのを必死に耐えていても、頭が勝手に挿れられた時のことを懸想し、無意識に腰を揺らすのは止められなくて、余計に成歩堂の苛立ちを煽ってしまいずっと昂っていた性器を掴み叱るように扱きおろされた。
「いい加減にしろッ……襲えって言ったのはおまえなんだよ!!それにここは!さっきまで旨そうにっベロベロベロベロ、しつっこく舐めてきた所と同じだろッ!?くそ、もう、おまえも!出せよ御剣!!」
「ひうっ!!♡あんっ!♡イくっ!イッ、いくっ!いってしまうっ♡成歩堂ぅっ♡♡ゆるして♡ゆるしてほしいっ♡ごめ…ん…なさっ…♡あ!い、イッ……!あ"うぅうっ!!♡」
思い切り濃い自分の精液がぴゅちち、と床に散らばる。羞恥で震えていると太ももの内側に温かいものが沢山かかって落ちていく、成歩堂の絶頂の証だ。
「も、風呂…いい加減……入ろ……」
「ぅ、………♡」
雌のような姿を起こされて、背後から抱き締められる。そっと、頭を撫でてくれた。掠れた低い声を発する唇がうなじに当たっているのが心地良い。頷く言葉に代わり、彼に擦り寄った。
「ごめん、言いすぎて…。」
随分とほったらかしにされた、柔らかなお湯は疲れた二人の身体を癒す。先ほどと同じく背後から抱き締められて、多幸感が胸を締め付ける。成歩堂は荒っぽい行為について謝り、水面からはみ出た白い肩をふと見ると両手で掛け湯をし始めた。暖かくて、愛されているのを実感する。
「ン……。あの程度、言われたところで私は傷付きはしない。気にしなくてもいい。」
「そりゃ、そんなヤワじゃないのは分かってるけど。」
大切にしたいんだよ、本当に。背後から聞こえてくる声は、自分自身が許せないのだと、そんな感情が含まれている。別に傷付かない。その言い方を変えなければ彼は納得出来ない。ならば。
「本当に気にしなくてもいい、……私は…ああいったモノは存外…結構…す、…性的嗜好に当てはまっているので問題無いッ…!!」
「……。そ、そっか…スキなんだ…ああいうの。」
「煩いっ何か文句が!?」
「な、無いよ!ありがとうな、御剣。」
「うム…」
「僕も、凄く気持ちよかった。あんな凄いのは大変だから、お互い。アレだけど…またしてほしい。今度は…ふふ、負けないからな。」
「ム…っ、承知した……。…因みに本日中のリベンジも可能だが」
「また今度でお願いします……。」