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    maruo10101

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    maruo10101

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    シンヤが過去にタイムリープし、当時8才のウシミツと出会う話。

    ※シンウシ二次創作
    ※ウシミツがの忍者言葉は日本に来てから「にんじゃもんじゃ」で学んだと思っているので過去のウシミツは忍者言葉ではありません。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
    また、無断転載・使用はご遠慮ください。
    ※明るくないのでなんでも許せる人向けです。

    #シンウシ

    未来で待つん? ここは……どこだ………?

    気づけば、厳粛な雰囲気の教会の中で佇んでいた。
    「まさか、また地獄か!? いや、教会にいるってことは天国ってことも……」

    ――周りを見渡すと、近くの椅子に座る小さな少年を見つけた。



    その少年がシンヤに話しかける。

    「……もしかして、日本の方ですか……?」

    ……ウシミツだ。
    一目で確信した。しかし、金色の髪は短く、格式高い制服の襟はきっちり留められていて、語りかけてくる言葉はか弱く――
    今のウシミツとは、まるで別人のようだった。

    何より、俺が知っているウシミツは、無邪気に笑ったり、泣いたりするくせに、
    このウシミツは、笑うことすら忘れたような顔をしていた。
    つまり、このウシミツは――俺と出会う前の、



    「僕、日本語、少しだけ。勉強しています」

    たどたどしい日本語。
    雲の少ない夕方。
    夕暮れの教会裏のベンチに並んで座る、今は8歳だというウシミツ。



    シンヤ「……お前さ、なんか元気ないな?」

    ウシミツ「……元気に、見せるのは……得意でなくて……」

    ウシミツは空を見上げた。雲の切れ間から夕陽が差し込む。

    ウシミツ「……僕、忍者が、好きなんです」

    突然の告白だった。

    シンヤ「ん? ……ああ、かっけーよな、忍者」

    ――そこは昔から変わらないのか、と少し嬉しくなる。

    ウシミツ「はい……。でも、父と母に、それを言ったとき、“そんな考えは恥だ”と、言われました」

    シンヤは言葉を失う。
    ウシミツは静かに、けれど震える声で続けた。

    ウシミツ「家では、“こうしなさい”と決められたことしかしてはいけなくて……
    自分の好きなものも、夢も、恥ずかしいことになるんです」

    ウシミツ「僕が“忍者になりたい”とは……言ってはいけないんです」

    諦めたような声色に、手を差し伸べたくなった。

    シンヤ「……なぁ、俺はお前の夢は、恥なんかじゃねぇと思うぞ」

    ウシミツ「でも……僕は、父の望むものを選ぶのが当然で……
    それを破ったら……僕の価値が、なくなります」

    シンヤは、ウシミツの小さな頭に手を置いた。

    シンヤ「じゃあよ、せめて俺になら……お前の夢、語ってもいいんじゃねーか?」

    ウシミツ「……いいのですか?」

    シンヤ「ああ、俺は絶対にお前の夢を笑わねぇ」

    その言葉に、ウシミツは少し嬉しそうに、小さく頷いた。
    そしてウシミツは忍者の夢を、たどたどしくも語り、シンヤと徐々に打ち解けていった。

    ウシミツ「それで……! 僕は、大人になったら、日本に行って……忍者になりたいんです!」

    ウシミツ「大切な人を、守れるような忍者に……!」

    シンヤは、にっと笑った。

    シンヤ「よっしゃ! じゃあ俺は、お前が夢叶える姿、そばで見てやるよ!」

    その時、ウシミツの目に、初めてうっすらと涙が浮かんだ。
    それは、救われた気持ちのようで――ウシミツは初めて、心からの微笑みを見せた。

    ウシミツ「嬉しい……です」



    シンヤ「(こんな小さい体で……夢を捨てそうになって。でも、やっと笑えたんだ。夢を言葉にして――やっぱ、俺はコイツを……守りてぇ)」

    けど、俺には……未来で待ってるウシミツがいる。
    きっと、ずっとここにはいられない――

    そう思い至ると、徐々に身体に光が差し、これから元いた場所へ帰るのだと悟る。

    シンヤ「その夢、絶対に捨てんなよ。すまねぇが、俺はそろそろ帰らなきゃなんねぇ」

    ウシミツ「……どこへ、ですか」

    ウシミツは立ち上がり、俺の前に立って言った。

    ウシミツ「……行かないでください!」

    その声は強く、そして震えていた。

    ウシミツ「貴方といる時間は、すごく……あたたかくて、貴方は……僕の夢を笑いませんでした……お願いです……!」

    小さな手が、俺の身体を掴む。

    ウシミツ「あなたがいなくなったら……僕、また、独りぼっちに……!」

    シンヤ「(……ウシミツ)」

    ウシミツ「貴方が僕の夢をちゃんと聞いてくれて、受け入れてくれて、本当に嬉しかったんです……! そんな人に、初めて出会えたのに……どうか……もう少しだけ……」

    こんなにも感情をぶつけた小さなウシミツを見るのは、初めてだった。

    シンヤ「(こんな顔、させたくなかったな。でも……)」

    シンヤ「……俺もさ、お前のこと、守ってやりてぇよ。けど、俺は……未来にいる。お前が“忍者”になる未来の世界にいるんだ」

    その言葉に、ウシミツは目を大きく見開く。

    ウシミツ「……僕、なれるんですか……?」

    シンヤ「ああ! お前は日本で俺と“闇プリ”で喧嘩やって、俺のことを“殿”って慕ってくれて――
    未来のお前は、俺の隣でちゃんと夢を叶えてる」

    ウシミツの涙がこぼれた。

    光が強くなる。
    ウシミツが、震える手で俺の手を握る。

    ウシミツ「忘れないでください……! 僕のこと……絶対に……!」

    シンヤ「忘れるわけねぇだろ。お前の夢、俺が最初の証人だからな」

    ふっと、光が包み込み――
    ウシミツの手が、するりと離れる。

    ウシミツ「殿っ……!」

    そして俺は、元いた未来へ――



    俺がよく知る今のウシミツの姿が、目の前にあった。

    シンヤ「ウシミツ……! ははっ、お前大きくなったな!」

    あっけに取られた表情をしたウシミツの頭を、思わず撫でる。
    ウシミツの目には、涙がぼろぼろと溢れていた。

    ウシミツ「……!!! 殿ぉお……!! 一体! いままで! どこに行っていたのでござる!!!
    拙者……心配のあまり、本当に腹を切ってしまおうかと……!」

    胸に飛び込んできたウシミツの姿に、奥がぎゅっと痛む。
    あの小さな手が、こんなにも大きくなったんだな。

    ウシミツ「……殿、どうかもう……拙者の前から、いなくならないでくだされ……」

    抱きしめる手に、力がこもる。

    シンヤ「………そっか。お前は、とっくに俺のこと見つけてくれてたんだな」

    ウシミツ「……!……はい…、拙者、ずっと、殿のことを信じて、この時を待っていたでござる………!」

    シンヤ「ウシミツ…、ありがとうな。俺も、あの時の約束、もう一度守るから」



    ただいま、ウシミツ
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