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    ysdr/まだ何も知らない

    あいつはいつも変なやつだった。
    ドーラは、初めて社築に出会った時から今までずっとこの印象を変わらず持ち続けている。
    例えば、今まで自分のことを怖がっていた人間達とは180度違い、きらきらと目を輝かせながら接された事。自分の事を少しも知らない筈なのに、お前は優しいだの、出来たやつだの散々褒めては、笑顔を向けてくる事。ピンチになったらすぐ助けてくれる事。そして今、少年のようにはしゃげる事。
    まだ出会って少ししか経っていないけれど、社築とはこういう人間なのだとまざまざと見せつけられてしまったのである。
    ドーラは、はあとため息を吐くと、目の前にいる築に注目する。
    「ドーラ! 楽しいぞ!」と子供のように笑顔で花火をぶん回す築は、本当に楽しそうで、ドーラの気持ちをざわつかせた。
    人間はどこか遠いものだと思っていた。自分のような人外には格別に。
    人間はどこか脆いものだと思っていた。自分のような長寿種には尚更。
    ただ彼は違うのだ。きっとどこかが。
    花火で遊んだ事など無かった自分に、2人で花火大会をしようなんて誘ってきた彼を思い浮かべると、築くの言葉に「いま行くー」と返事をする。
    まだ出会ったばかりで築はドーラの中身などほとんど知らない。けれど今共にいる。それだけが全てだった。
    花火をほいと差し出す築に近寄り、それを受け取ると、はたと気がついたように、ドーラは質問をした。
    「なぁ、誕生日いつ?」
    「えっ何で」
    「………」
    「ん?」
    「……知りたいから! わかれ!」
    途端にぶはは!と築が笑い出す。
    その態度にドーラが真っ赤になってポカポカ叩き始めると、築はまだ笑いながら「11月23日だよ」と答えた。
    「何で誕生日?」
    「何となく」
    「ふーん」
    じゃあ誕生日プレゼント楽しみにしとく、と笑った築の表情をドーラは眩しく感じた。
    2人だけの花火大会は、まだ始まったばかりだった。
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