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    かいこう

    @kaikoh_h

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    かいこう

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    壁/花流
    花流の日まで後18日~
    年齢間違ってたらすいません

    #花流
    flowerFlow

    「じゃあな、桜木、流川」
    「キャプテン、桜木先輩、お先です!」
    「気をつけて帰れよ」
     後輩や同級生たちが居なくなると、さっきまで騒がしかった部室がしんと静まり返る。去年の今頃、キャプテンだった宮城から職務を引き継いだ流川は、挨拶に頷き返すために上げていた顔を、部誌へと戻した。部室の奥の机に座って部誌を埋めていた流川にところに、お喋りに夢中になって着替えの手が止まっていた桜木が、ようやく練習着から制服姿になって、近づいてくる。
    「よお、さっきの、聞いてたかよ」
     机の端に腰かけた桜木の尻から、下敷きになった部誌を引き抜いた。
    「知らねー」
    「桜木センパイ、高校からバスケ始めたのにすごいですね、だってよ、今年の一年坊主はよく分かってやがるぜ」
     着替えの最中に一年生から告げられた言葉をにやにやと繰り返す桜木に流川はため息をつく。もう聞き飽きていた。広島での山王戦に感銘を受けて湘北に入ってきたと言う部員は何人もいるが、その中の一人が、特に桜木を慕っている。去年の四月に入部してからずっと、短期間で山王戦であんなふうに活躍できるぐらい上達するなんて、とあの夏の試合に感銘を受けたことを繰り返し桜木に伝え、その度に、桜木はだらしなく顔や態度を緩ませていた。流川はちらっと桜木を見上げる。
    「お?何だよ」
    「俺もそー思う」
    「はっ?」
    「最近はまあまあ」
     いつもなら練習が足りないだの下手くそがいい気になってんじゃねーだのと言ってやる流川が同意したからか、桜木はぽかんと口を開けた。マヌケ面。そんなことを思いながら顔を見ていれば、驚きから我に返った様子でがばっと立ち上がった。
    「マジで言ってんのか」
    「嘘吐いてどーする」
    「ふ…ふふ、ふははは、そうか、とうとうキツネも、俺様のバスケの凄さがようやく理解できるように…」
    「今まで払ってきた税金戻ってきた、これぐらい」
     そう言って流川は、顔の前で人さし指と親指で丸を作ってやる。桜木がまじまじと丸を覗き込んできた。それからぐっと眉をしかめる。
    「…お前、それ、ゼロってことだよな」
    「よく見やがれ」
    「ほとんどゼロじゃねーか!」
     丸を作っている二本の指の僅かな隙間がよく見えるようにと桜木の顔に突きつけてやった。一年の頃、海南戦の後で負けたのは俺のせいだと落ち込む桜木に、どれほど周囲が期待していたと思うかと示してやった時より少ない。桜木がかぷるぷるとからだを震わせた。
    「ゼロではねー」
    「…ったく、相変わらず性格悪ぃキツネだぜ」
     さっきまでは後輩に誉められて嬉しそうだったくせに、今は拗ねている。ぷい、と反らされた横顔に、本当に認められたいのは誰かの名前が書いてある気がして、流川は笑った。俺じゃねー奴の言ったことに、へらへらしてんじゃねー。
    「これでも誉めてやってる」
    「へーそうかよ全然分かんなかったぜ、いっつも嫌味ばっかなのに、今日はどうした、明日、槍でも降らす気かよ」
     流川からすればまだまだど素人だ。時々目を瞠るプレイをすることもある。負けん気と恵まれたスタミナや身体能力を使って必死に食らいついてくる姿は、多くの熱を孕んでいて、流川をいい気分にさせた。簡単に認めてやるつもりはない。それは流川なりの期待だった。
    「この前、誕生日だった」
    「それがどうしたら」
    「年上だから、たまには誉めてやる」
    「そこは彼氏だから、じゃないんかよ」
    「年上を敬え」
    「年下を労りやがれ」
     十八歳と十七歳が睨み合う。ライバルで、恋人だ。くだらない喧嘩でも、コートの上でも、これからも対峙していく。
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    かいこう

    DONEタオル/花流
    花流の日まで後6日~
    タオル 自分の洗濯物を片づけるついでに、流川のシャツや下着類もしまってやろうと棚の引き出しを開けようとすればがたがたと引っかかる。ふぬっと強引に開けてやった。中の衣服は雑然としていて、これが開けにくかった原因かと、桜木は呆れる。
    「あいつはよぉ…」
     バスケ以外はずぼらなところがある男の引き出しの中身を、仕方がないなと整理してやることにした。ここのところ、遠征や取材で忙しかったのを知っている。甘やかしているな、と思いながら、それでも普段の生活で、不得手ながら家事に勤しむ姿に接しているので、まあいいか、と畳み直し、きれいに詰め始めた。
    「ぬ…?」
     引き出しの奥に古びたタオルが入れられている。見覚えのある薄れた色合いや洗濯を重ねて薄くなってしまった生地の具合に、目を瞬かせた。それは、桜木の親が桜木が生まれる前に赤ん坊の肌かけにと桜木のために買ったもので、赤ん坊の時分から、幼稚園、小学校、中学校と育つ中、ずっと桜木の手元にあったタオルである。おしゃぶりの代わりにタオルの角をよく吸っていたと言われたり、そのタオルがなければ、昼でも夜でも寝られないと泣き喚いたり…自身の記憶に残っているもの、いないもの、合わせても思い出がたくさん刻まれている桜木の大事なタオルだった。小学校を卒業する頃にはもう肌かけにはしておらず、代わりに枕カバーとして使っていたものの、高校入学を翌日に控えた夜、中学校での最後の失恋から立ち直れなくて、可愛い恋人なんてこの先現れないんじゃないか、もしいるなら顔が見てみたい、好きになった相手とつき合いたい…と、布団に入って枕を、大事なタオルを、べそべそと涙で濡らしていれば、視界の端で模様がひとつ、すっかり消えて元々のタオル地の色が露わになっていることに気づき、束の間失恋の辛さも忘れて、桜木は起き上がると慌ててタオルを確認する。白いタオルに淵をぼやかせた青空と、元気よく飛び跳ねているキツネたちが描かれているはずだった。これまでの洗濯で全体的に色が薄くなってきたとは言え、一匹のキツネが、まるまる消えてしまったなんてことはない。初めての事態に、これ以上使って残っているキツネたちも褪せて見えなくなってしまうのは嫌だと、桜木はその夜から、タオルを使わなくなった。畳んで大事に取っておく。しばらくは長年使っていたタオルが手元にないことが寂しかったが、高校生活が始まれば、バスケに出会
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    かいこう

    DONE最高のバレンタイン/花流
    14でバレンタインだなってなったけど、たくさんのチョコをもらうるかわに嫉妬を爆発させて暴れるはなみち、を回避しようとして中途半端
    最高のバレンタイン 恋人がいると公言していようが、流川のバレンタインは盛況だった。本人はむっつりと面白くなさを前面に出して靴箱に入れられているチョコレートをスポーツバッグに詰めている。朝練を終え、いつもなら教室に上がる時には素通りする玄関で、中に入れられたプレゼントのせいで閉まらないロッカーから中身が落ちてくる前に片づけを始める流川を待つために、桜木も玄関に立っていた。色も形も様々なチョコレートの箱を、流川は、もう何度もこういうことをしてきたと分かる手つきでバッグへ放り込む。去年の秋の終わりからつき合い始めた男の横顔を桜木は見やった。桜木から告白してつき合うようになって、いいけど、と交際を了承したものの、果たしてこいつはバスケ以外の交流はできるのかと危ぶんだ桜木の予想に反して、一緒に登下校したいと言ってみれば頷いてくれたり、帰り道でまだ別れたくねーと呟かれたり、バスケ同様、流川は恋人としても、最高で、流川と恋人になってからというもの、桜木の心はぎゅんぎゅんと甘く満たされている。廊下の奥や背後の階段の上から、朝練の最中にチョコレートを入れたのだろう生徒たちの忍び笑いや囁き声が聞こえてきて、ぐるりと首を捻って視線を巡らせる桜木の足元で、流川がため息をつきながら、スポーツバッグから紙袋を取り出した。最初からバッグじゃなくてそっちに入れりゃよかったんじゃねぇの。流川の杜撰さやものぐさに対して呆れたが、口には出さなかった。
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