離坤お勤めのない今日、坤が見習いたちと肩を並べて笑っている。
普段は物静かでまったく隙のない完璧な弟子である坤が、たわいのない会話で年相応の顔をして、笑い声まで響かせている。
通りがかった乾の方などは坤もあのような顔をするのだなぁなどと感心しているようだった。
八卦の中で1番若い坤為地は、まだ十歳になろうかという年頃に八卦として見出され、離を師に持って数年が経つ。
その間少しのわがままも言わず、教えたことは一度で覚える聞き分けの良さに離も感心していたものだが、同じ年頃の見習いたちと会うと、ああして自分には一度も見せたことのない年相応の青年に戻る。
その姿を見るたびに、離の胸は言いようもないざわざわとした感触が残った。
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