犬も歩けばホオズキに当たるこれまでの闇/病五は基本的に夏油が離反している世界線でしたが今回はnot離反で書いてみました。相変わらず私の趣味趣向の垂れ流しですのでご了承下さい。Twitterでは途中まで投稿しましたが何度も何度も加筆してここまでの話でまとまりました〜。それでも終わり方雑かもしれないです!
タイトルは完全に造語です。下記の言葉をくっ付けただけです。
●犬も歩けば棒に当たるの意味は何かをしようとすれば何かと災難に遭うことも多いと言う事
●ホオズキの花言葉は偽り
●イヌホオズキの花言葉はうそつき
_________
『ズーーーン』
「いや、さすがにさぁ〜わたし!婚活する!は反応しずらいって」
『それくらい大胆な事言ったら少しは意識してくれるかなとか思うじゃん。』
「そもそもお前なーーーんにもアピールもしてないのに反応伺ったって意味ないでしょ?」
『グサッ』
「もう大人なんだし回りくどい事やめて直接ぶつかりなよ。」
『見込みは?』
「ん?」
『親友としてだよ!傑の親友として見込みがあるから私にアドバイスしてくれてる?』
「すみませーーん。つくね追加で〜」
『話を逸らすな!せめてちゃんと否定してよ!!』
「うるさい。ウジウジしてるお前を励まそうとした僕の優しさを返せよ。」
いつもの居酒屋。いつもの個室で五条悟と高専時代からの腐れ縁である夢主が恋愛トークに花を咲かせていた。恋愛トークと言っても二人と同じく同級生の夏油傑への夢主の片思いの話で、もはや珍しい話でもなんでもない。学生時代から何百回と重ねられて来た同じみの会話である。
「さっきの話さ〜冗談でもないよ?案外直接行ったらいけた!みたいな事もあるかもよ?まずは意識してもらうところからでもいいでしょ?」
『おっしゃる通りです。今まで自分磨きって言いながらお化粧もファッションも手料理も何もかも習得したけど傑に対しては何一つアピール出来てないって言うね。』
「それが悪いとは思わないよ。ただ使い道がってだけでしょ?だって男からしたら自分の為にって思ったら嬉しいしね。」
『うん。』
「と言う事で最終的にダメならもう押し倒しちゃう?♡」
『ドン引きされるでしょ?最低過ぎ〜』
「それくらいの気で行けって事だよ。」
『当たって砕けたら慰めてくれる?』
「当たる前から砕ける気まんまんじゃん。うける。」
『保険かけるだけ!』
「良いよ。何年相談乗ってると思ってんの?」
『ありがとう!持つべきものは五条悟様だわ!』
「今の言葉!硝子とか歌姫とか僕の可愛い生徒たちにも言ってくんない?」
『それは日頃の行いでは?』
「おい。でもさ〜僕優しいし話も聞くし嘘もつかないし約束も守るしいい奴過ぎじゃない?」
『いい奴過ぎる〜〜それなのに私と来たら』
「ネガティブな発想禁止!まずは一つ一つ問題をクリアしていこ!」
『分かったよ!分かりましたよ!よし!気合い入れる為にもう一回乾杯しよー!』
「あ、こら!それ僕のグラス!あぁぁぁ」
__________
翌朝...
『な、なんでこんな事に....』
「傑押し倒す前に僕押し倒しちゃったね?なんてね!あはははは、、、はは。」
五条の乾いた笑いと夢主の力のない声が響くのはピンクなホテルのとある一室。ベッドの上でありとあらゆる布を掻き集め体を包む二人が正座をして向かい合っていた。完全なる二日酔い。頭痛で額を押さえながら何とか記憶を呼び覚ます。
『ごめんなさい!』
「はい?」
『私が昨日無理矢理付き合わせたよね?ふざけて悟のノンアル飲んじゃってしかも私のお酒のそのまま飲ませたんだよね?嫌いなのにごめん!私なんてことを...』
「いやいやお前心配するのは自分でしょ?」
『だって悟にご飯付き合わせた挙句、無理矢理飲んで騒いで最終的に...私下品な女だよね。しかもあの五条悟を...死罪かな?』
「だ・か・ら!お前が大丈夫かって聞いてんの?初めてだったでしょ?ごめん。さすがにそこら辺記憶ある。」
『・・・・猛烈に体が痛いです。』
「まじでその...いや、ここで謝るのもなんか違うのかな?とりあえず僕は何にもないから安心して。むしろ肌がツヤツヤだよ。」
『ばか。』
「身体キツくない?」
『だ、大丈夫!むしろこの歳まで経験なくてごめんね!』
「あのさ〜お前なに」
『と、とりあえずさ!その...悟が気にしてないなら私も気にしてないから忘れよ!そしてまずはここから出よ!』
「え?あ、まぁお前がいいなら...」
『(これ以上私が気にしたら悟に罪悪感を与えるだけだし。)』
ホテルを出た所で五条のスマホが鳴り出した。
「あ、今から任務だ。」
『え?昨日ないって』
「実は傑と任務でさ...それ言ったらお前気を遣って飲みに行かないって言いそうだったから」
『も〜悟のくせに良いやつ!』
「褒めるか貶すかどっちかにしろよ。」
『とりあえず出た方がいんじゃない?もう部屋も出たし大丈夫でしょ?』
「ちょっとだけ遅刻しそうだから上手いこと話をする....よ」
『え、』
ホテルの敷地内から出ると目の前にはスマホを耳に当てた夏油が立っていた。
「え...二人とも」
二人の背後にある建物を見て驚いた様子だ。
「あ、傑!早いね〜。任務近くだっだもんね!」
「これはどう言う事かな?まさか悟が無理矢理連れ込んだわけじゃないだろうね?」
五条の適当な言葉に納得いかないようで眉間に皺がよる夏油。咄嗟に夢主が間に入り。
『おはよう傑!朝から驚かせてごめんね。悟を責めないであげてほしいの。その、本当になにもなくてですね。昨日はずっと悟に付き合ってもらってて』
「よく飲みに行ってるのは知ってるよ。でもここに泊まらないといけないくらい飲んだのかな?そもそも悟は飲んでないよね?」
『無理矢理付き合わせたの!』
「どうして?」
『いつもの飲み会とは違うくて...し、失恋しちゃったから!』
「え?○○が?そんな人がいたの?」
『い、いたの...』
さすがにいっぱいいっぱいな夢主に五条が助け舟を出そうとするが
「だとしてもだよ?それが理由でホテルで泊まるのは危機管理がないよね?それに悟、君は仮にも教師だよ?いくらアルコールが入ったからって付き合っていない女性とホテルに泊まるなんて、」
『(だとしてもだよ...か。好きな人がいるって知っても悟とホテルから出て来ても全然意識してくれなかった。と言うかそもそも付き合ってない二人がお酒でハメを外してホテルで一泊する時点でドン引きだよね。悟まで巻き込んだし...終わったな。)』
夏油は何一つ間違った事を言っていない。ただ段々と視界が滲んでいく。目の前で言い合いをする夏油と五条の言葉が遠くなる。お酒で記憶は飛ぶし大切な友達を巻き込んでホテルに連れ込むし処女喪失するし...それもお互い望んでいない形で...お陰様で巻き込んだ五条にまでめちゃくちゃ気を遣わせるし最終的には夏油から全く意識されてない現実を突き付けられ本当に失恋してしまった。
『ほ、本当大人として情け無いよね。』
「「っ」」
言い合いをしていた二人が夢主の様子に気付きギョッとする。一生懸命に笑っているが瞳には涙がこれでもかと溜まり
『悟も任務なのにごめんね!!傑も朝から驚かせてごめんね!二人が朝から任務で私なんかが今日オフなんて申し訳ないな。あぁまだ頭痛あるから高専に戻って薬もらいます!本当ごめんねー!』
夢主は限界になり無理矢理笑いながらその場から逃げた。
_________
それからしばらくして...
「お待たせ。」
陽も落ちた頃、誰もいない高専の教室に任務を終えた五条がやって来た。先に座って待っていたのは苦笑いを浮かべる夢主。
『お疲れ様。』
「辛気臭い顔をするな。」
ちょこんと座る夢主の前に立つとペシッと優しく頭にチョップをする五条。
『失恋したから仕方ないでしょ?約束したよね?その時は慰めてくれるって』
「ん〜?当たって砕けてなくない?」
『そうなんだけど...もう当たる必要もなくなったから。悟』
「なに?」
真っ直ぐな瞳で五条を見上げる夢主。
『今までありがとね。』
「はい?」
首を傾げる五条に
『だってもう相談する事なくなるから。だから今日は失恋会と解散会もするんだよ。』
「勝手な奴だな〜。しかも高専の教室だし何それ?」
机の上の物を見つめて
『コンビニで買って来たの。ジュースとかお菓子とか』
「ガキかよ。」
『教室で!そしてジュース!これでいいの!』
「この前の事気にしてる?」
『そりゃするでしょ?危機感ないって傑にも言われたし』
「なら僕らは一生外で会えない訳?そしてお前は僕の前でお酒を飲まないの?」
『それは...』
「ごめん。」
『え』
夢主の手を引くと腰を抱き寄せ自身は背後の椅子に座った。無理矢理五条を跨ぐように座らせられた夢主は少しだけ狼狽える。
『な、なに??』
「泣いて良いよ。」
と胸元に抱き寄せ優しく優しく頭を撫でた。
『ちょ、やめてよ...もう散々泣いたから...涙とかもう...出...な...いから』
しばらくすると肩を揺らしながらシクシクと泣き出した。五条は更に強く抱きしめて
「慰めるとかそんな事じゃなくてもっとちゃんと話したい事がある。大切な初めてを奪ってごめん。」
夢主は泣きながらただただ首を横に振った。
「傑に勘違いされたのもお前が傑を諦めなきゃいけなくなったのも全部僕のせいにしたらいい。僕があの日もっとしっかりしてれば良かったんだよ。女の子なんだから最低だって僕を責めればいいのにお前は僕にまで気を遣ってさ...こんな歳まで初めてだった事が悪かったって?お前は大馬鹿者だよ。」
夢主は強く首を横に振り続ける。涙は止まらず両手で五条の上着を握り締めながらひたすら泣いた。
「お前は何も悪くない。」
_________
『ごめんっ...泣き過ぎた。』
しばらく泣き続け少し落ち着きようやく顔を上げると思ったよりも近い距離。
「もう大丈夫?」
『な、なんかあんな事があったからかな?距離感バグってない?』
「僕らの絆だよ。」
『ふふ』
目は腫れてしまったが夢主も少しずつ笑顔を取り戻しはじめた。
「本当に諦めるの?」
『う、うん。嫌いにはなれないけど...でも高望みはやめる。』
夢主をじっと眺める五条は
「あのさ...あ、やっぱり言わない方が良いか。」
『どうしたの?』
「ずっと色々アドバイスして来たけどその...伝えて来た事あれが全部じゃないんだ。」
『え?』
目隠しをしていても分かるほど真剣に夢主を見つめている五条。
「お前はピュアだから言わなかったんだけど...最終的に傑を押し倒しちゃえば?って話をしたよね?」
『は?あれは冗談で話したんじゃ?』
ゆっくりゆっくりと頭を引き寄せて耳元で
「傑ってさ積極的な子が好きなんだ。」
耳元で囁かれたのがくすぐったかったのか少しだけ夢主の体が跳ねた。
『そ、それって』
「うん。セックスのこと」
ダイレクトな言葉に思わず夢主の顔が熱くなった。
『(傑ってそんな...)か、仮にそうだとしても私には無理でしょ?悟の言う通りピュアッピュアで色気ゼロだし!』
あまり得意な会話ではないしそれを理解して五条も今まで話題を避けて来たはずなのに...最終手段を取らせようとしているのか。それほど自分は哀れな事になっているのかと夢主は顔を引き攣らせながら無理矢理笑って返事をした。
「そうかな?○○って色っぽいと思うけどギャップってやつ?」
『は?....あ、』
「ん?」
五条が自身を色っぽいと思う?今までの二人の仲を考えるとあり得ないと言う顔をしたがすぐにあの日の事を思い出しハッとした。
お酒も飲んでいて覚えているはずなんて....
だからもうお互い忘れようと決めたはずなのに...
それでも
「○○」
耳元で甘く名前を呼ばれるとあの夜馬鹿みたいに名前を呼ばれて愛を囁かれた記憶が...あるはずない。事故的な事だった。欲をぶつけただけで愛なんて囁かれるはずがない。それなのに背筋がゾクゾクする。背中を這う指先に体中の熱が集まる。
『っ』
体が覚えているのだ。
体験した事のない感覚に困惑していると手を取られて五条の熱くなった中心に導かれた。
「傑はさ...こう言う事されるのが好きなんだ。学生時代からそんな話をしてたんだ。」
『そ、そんな、で、出来ないよ。』
目を逸らし赤くなる夢主に五条の口角は上がり、
「大丈夫。嘘じゃないよ。ほら...そう...触って、」
大丈夫。僕はいい奴だから。お前の一番の理解者だよ。だから信じて...さぁ僕に全てを捧げてごらん。
・・・
・・・・・
数時間前のこと〜
「ねー傑。○○って可愛くない?」
「はぁ?」
「この前失恋したって言ってたでしょ?」
「ホテル事件かな?」
「そこは本当に何にもなかったからさ〜。いやさ、○○ってすんごい一途でさ。話聞いてたら健気だし最終的にベロベロになってずっと一緒にいたらさ〜あれ?こいつ可愛いくね?ってなった訳よ。」
「何が言いたいのかな?」
「いやだから〜好きになっちゃおうかなって。そう言うきっかけもありでしょ?傑は○○どう思う?何ともないはなしね。傑みたいなタイプは平気で嘘付いて油断させて来るでしょ?怖い怖い。」
鼻歌を歌いながらその場を去って行く五条に夏油は鼻で笑った。
「嘘吐きだって?よく言うよ。」
軽快に歩いていた五条の足が止まる。
「嘘吐きは君じゃないか?悟。今回の事がきっかけじゃなくても君...元々あの子にべったりじゃないか。あの子に男の気配がないのは君のせいだしあの子が私と接点が持てないのも全て君のせいだよね?僕が一番の理解者みたいな顔してやる事がえぐいよね?」
五条は振り返りはせず黙って夏油の話を聞いていた。
「この前のホテルだってそうだ。翌日の任務の場所が近いのも私があの時間に集合するのも分かっていてあのホテルに行ったんだろ?ホテルに連れ込んだのは君だ。好きになろうかなだって?ホテルでは何にもなかっただって?笑わせるね。あの子の首元にあれだけマーキングしておいて?...それにあの子が綺麗になる度に思うんだよ、全部君好み。あぁ怖い怖い。」
五条を真似するような言葉を使いクスクス笑っている夏油にようやく五条が振り返る。
「別に○○にあの日の僕との事がやらかしの一つだったと思われても良いんだ。」
「え?」
「あいつの事だから次はきっと失恋会を開くんだ。今度はお酒を飲んだとか飲まないとかあやふやな事はやめておくよ。慰めてあげるっていいながらあいつがシラフの状態でもう一度セックスをする。ベタベタに甘やかしてゆっくりゆっくり堕とすんだ。傑もさ、中途半端な興味なら邪魔しないでね。」
「・・・・清々しいほど最低な男だね。別に君たち悪い仲じゃないだろ?素直にあの子に好きだって言えばいいのにいつまで嘘を吐くのかな。」
「油断を与える為には嘘も必要なんだよ。最初から恋を否定したら僕は酷い男で終わるでしょ?過去に僕が告白したってそう簡単には叶わないだろうし。そう言う美味しい所を頂くみたいな計算高い男だってバレバレなのも癪だし。」
「歪んでる。」
「僕はいい奴でいたいんだよ。だからあの子の恋を否定した事なんてない。あの子の自分磨きだって全力でサポートした。そしてあの子を一ミリも傷付けないで最終的に初めてを貰ったよ。恋の傷は僕が付けた訳じゃない。どっかの誰かさんが傷付けちゃったからあとは僕が○○を...」
目隠しをしていても分かるほどニコニコと笑う五条に夏油はため息をついた。
「最終的に私のせいだと?私が○○に気がないと分かっていたくせに見込みがあるとかなんとか吹き込んでべったりくっ付いていた君が言うセリフかな?やれやれ、君が珍しく相談役に向いているからって学生時代から健気に君を頼りにしている○○が可哀想でならないよ。」
「傑がダメだったから僕にしたなんて妥協はしてほしくない。"僕だから"選んで欲しいんだよ。信じてよ、傑。...愛してる気持ちは純粋なんだ。」
「こんな嘘吐きに愛されて...運の尽きだ。」
「なんとでも。」
五条が再び歩き出すと着信を知らせる音が鳴る。五条はスマホのディスプレイを見つめ相手が夢主だと分かるとニヤリと笑った。
「僕っていい奴だから...慰めてあげなきゃね?」
ま、そんなの口実の一つに過ぎないんだけど....
__________
補足?
多分ですね...後日立ち位置的にあまりにも面白くないなって夏油が夢主にちょっかいかけ始めて最初は調子に乗りすぎた五条に自分を噛ませ犬にした腹いせに痛い目を見せようとするけど実際夢主の事を悪く思ってなくて...みたいな事が起きて夢主もやっぱり夏油が好きだなモードになったところを五条に見られて今度こそ夢主は強制的に強引に...ってなると思います!!
夢主!逃げろ!